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『地上(ここ)より永遠に』 [洋画(カ行)]

「地上(ここ)より永遠に」(1953)★★★☆70点
原題: FROM HERE TO ETERNITY
監督: フレッド・ジンネマン
製作: バディ・アドラー
原作: ジェームズ・ジョーンズ
脚本: ダニエル・タラダッシュ
撮影: バーネット・ガフィ
作曲: ジョージ・ダニング
音楽監督: モリス・W・ストロフ
出演:
 バート・ランカスター(ミルトン・ウォーデン曹長)
 モンゴメリー・クリフト(ロバート・E・リー・プルーウィット上等兵)
 デボラ・カー(カレン・ホームズ)
 フランク・シナトラ(アンジェロ・マジオ上等兵)
 ドナ・リード(アルマ・"ロリーン"・バーク)
 ジョン・デニス(アイク・ガロヴィッチ軍曹、分隊長)
 アーネスト・ボーグナイン("ファッツォ"・ジャドソン軍曹、営倉部)
 フィリップ・オーバー(ダナ・ホームズ大尉)
 ジャック・ウォーデン(バックリー伍長)
 バーバラ・モリソン(キプファー夫人、"ニュー・コングレス・クラブ" のオーナー)
受賞:
 アカデミー賞
  ■作品賞
  ■助演男優賞 フランク・シナトラ
  ■助演女優賞 ドナ・リード
  ■監督賞 フレッド・ジンネマン
  ■脚色賞 ダニエル・タラダッシュ
  ■撮影賞(白黒) バーネット・ガフィ
  ■編集賞 William Lyon
  ■録音賞 John P. Livadary/COLサウンド部(Columbia Studio Sound Department)
 カンヌ国際映画祭
  ■特別グランプリ フレッド・ジンネマン
 NY批評家協会賞
  ■作品賞
  ■男優賞 バート・ランカスター
  ■監督賞 フレッド・ジンネマン
 ゴールデン・グローブ賞
  ■助演男優賞 フランク・シナトラ
  ■監督賞 フレッド・ジンネマン
 アメリカ国立フィルム登録簿
  ■新規登録作品
製作・ジャンル: 米国/ドラマ/118分

地上より永遠に [DVD]








M・クリフトは優男のイメージが強いが
あんな鍛え抜かれた体をしているとは驚いた。

M・クリフトを見るとトム・クルーズを思い出す。
クルーズを見ても、クリフトを思い出さないのは
彼には、クリフトのような憂いが無いからだろうか。

D・カーの美しさには品がある。

プルーの同僚・アンジェロを演じる
F・シナトラの陽気さ・一本気なところが
この作品の重要なアクセントとなっている。

ボーグナインの悪役ぶりも重要なポイント。

演技も確かな素晴らしい俳優がキャストを固め
プルーとアンジェロの友情、
プルーとロリーン、ウォーデンとカレンの恋愛
そしてプルーとウォーデンの信頼関係が
繊細かつ丁寧に描かれた良作。

ただ、脚本には魅力がなく、
クライマックスがはっきりしないために
真珠湾攻撃による唐突なエンディングに
カタルシスが生まれない。

軍隊の中には、ボクシング部があり
休暇には街に繰り出す。
上官の妻との不倫さえある。
こんな国に日本が勝てるはずはない。

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『クール・ランニング』 [洋画(カ行)]

「クール・ランニング」(1993)★★★★☆70点
原題: COOL RUNNINGS
監督: ジョン・タートルトーブ
製作: ドーン・スティール
製作総指揮: クリストファー・メレダンドリ 、 スーザン・B・ランドー
原案・脚本: リン・シーファート
原案: マイケル・リッチー
脚本: トミー・スワードロー 、 マイケル・ゴールドバーグ
撮影: フェドン・パパマイケル
音楽: ハンス・ジマー
出演:
 ジョン・キャンディ(アービン・"アーヴ"・ブリッツァー )
 レオン・ロビンソン(デリース・バノック )
 ダグ・E・ダグ(サンカ・コフィー )
 マリク・ヨバ(ユル・ブレナー )
 ラウル・D・ルイス(ジュニア・バヴェル )
 レイモンド・J・バリー (カート・ヘンプヒル )
 ピーター・アウターブリッジ (ジョセフ・グルール)
 ポール・クール(ロジャー)
 チャールズ・ハイアット(ホイットビー・バヴェル・シニア)
製作・ジャンル: 米国/コメディ・スポーツ/98分

クール・ランニング [DVD]








カルガリーオリンピックを目指した
ジャマイカのボブスレー・チームを題材にした映画。

同じカナダはバンクーバーでオリンピックが開催されている今、
タイミングを合わせて観ることに。

個性的なチームメイト4人のボケとツッコミぶりが、とても愉快。

温かくコミカルな役どころを得意としたジョン・キャンディ。
この作品では、
できの悪い我が子たちを引っぱる温かい父親的存在として
コーチ役を好演している。
この映画公開の2年後に心臓発作で急逝してしまうが
太りすぎが祟ったのかもしれない。
残念至極。

転覆シーン。
首の骨が折れて死んじゃったのでは?
と、すごく心配してしまった。
元気に立ち上がりソリを担いでくれてホッ。

実話に基づいているとはいえ
かなり脚色はされているだろう。
それでも、ボブスレーに対する取り組みは勿論、
特に、デリースの考え方がとても前向き。
ぶつかり合いながら、少しずつ絆を深めていくチームメイト。
ジャマイカ人らしいポップで陽気な乗りの良さに
観ていて元気になる作品。

今回のバンクーバーオリンピック。
思わずジャマイカのエントリーを探してしまったが
ボブスレーはおろか、どの種目にも出場はないようだ。
身体能力は高そうなイメージのある民族だが
常夏の地でのウィンタースポーツはやはり難しい。

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『ガンジー』 [洋画(カ行)]

「ガンジー」(1982)★★★☆☆60点
原題: GANDHI
監督・製作: リチャード・アッテンボロー
脚本: ジョン・ブライリー
撮影: ビリー・ウィリアムズ 、 ロニー・テイラー
音楽: ラヴィ・シャンカール 、 ジョージ・フェントン
出演:
 ベン・キングズレー(マハトマ・"バブー"・ガンジー)
 キャンディス・バーゲン(マーガレット・バーク=ホワイト、カメラマン)
 ジョン・ギールグッド(アーウィン卿)
 マーティン・シーン(ヴィンス・ウォーカー)
 エドワード・フォックス(レジナルド・ダイヤー将軍)
 トレヴァー・ハワード(ブルームフィールド判事)
 ジョン・ミルズ(チェルムズフォード総督)
 ロヒニ・ハタンガディ(カストゥルバ・M・ガンジー夫人)
 イアン・チャールソン(チャーリー・アンドリュース牧師)
 ロシャン・セス(パンディト・ジャワ=ハルラール・ネルー)
 ダニエル・デイ=ルイス(コーリン)
 ハーシュ・ネイヤー(ナートゥーラーム・ゴードセー、暗殺者)
 マイケル・ホーダーン
 アムリッシュ・プリ
受賞:
 アカデミー賞
  ■作品賞
  ■主演男優賞 ベン・キングズレー
  ■監督賞 リチャード・アッテンボロー
  ■脚本賞 ジョン・ブライリー
  ■撮影賞 ビリー・ウィリアムズ、ロニー・テイラー
  ■美術監督・装置  Stuart Craig(美術)、Bob Laing(美術)、Michael Seirton(装置)
  ■衣装デザイン賞 John Mollo、Bhanu Athaiya
  ■編集賞 John Bloom
 NY批評家協会賞
  ■作品賞
  ■男優賞 ベン・キングズレー
 LA批評家協会賞
  ■男優賞 ベン・キングズレー
 ゴールデン・グローブ賞
  ■外国映画賞
  ■男優賞(ドラマ) ベン・キングズレー
  ■監督賞 リチャード・アッテンボロー
  ■脚本賞 ジョン・ブライリー
  ■新人賞 ベン・キングズレー
 英国アカデミー賞
  ■作品賞
  ■主演男優賞 ベン・キングズレー
  ■助演女優賞 ロヒニ・ハタンガディ
  ■監督賞 リチャード・アッテンボロー
  ■新人賞 ベン・キングズレー
製作・ジャンル: 英国=インド/歴史・伝記/188分

ガンジー コレクターズ・エディション [DVD]








インド独立の父マハトマ・ガンジーの半生を描いた映画。

ベン・キングズレーの風貌は、まさにガンジーに生き写しだ。
演技も含め、主演男優賞を総なめにしたのも納得。

非暴力主義を貫いたガンジー。
無抵抗でなく、暴力に拠らない抵抗で英国からの独立を勝ちとる。
その信念たるや、神・仏の領域だ。

パキスタンとの分離に直面しても
最後までその信条を貫いたガンジー。
その真意を汲み取ることのできなかった
狂信的ヒンドゥー教徒の銃弾に倒れることになったことは
さぞ無念だったろう。

パキスタンがイスラム教国であること、
恥ずかしながら全く知らなかった。
正式名、パキスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Pakistan)。
自分の無知に恥ずかしさを覚えた。

ガンジーの素晴らしさ、
そのガンジーを見事に演じきったキングズレーの名演
には、惜しみない拍手を送る。

だが、史実を追う作品であるだけに
ドラマとしては迫力やメリハリに欠ける印象。
多分に好みの問題と思うが
尺の長さも手伝って、退屈することしばしばだった。

冒頭に関して一言。
南ア時代の列車から始まるが
駅の外景がいかにもセットでござい、というのは気に食わない。
製作費との闘いだろうが、
やはりセットにも細心の注意を払ってほしい。

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『激突!』 [洋画(カ行)]

「激突!」(1971)(再)★★★★★100点
※(再):私が以前に観たことのある作品
原題: DUEL
監督: スティーヴン・スピルバーグ
製作: ジョージ・エクスタイン
原作・脚本: リチャード・マシスン
撮影: ジャック・A・マータ
美術: ロバート・S・スミス
編集: フランク・モリス
音楽: ビリー・ゴールデンバーグ
アシスタントディレクター: ジェームズ・ファーゴ
出演:
 デニス・ウィーヴァー(デヴィッド・マン)
 キャリー・ロフティン(タンクローリーの運転手)
 ジャクリーン・スコット(マン夫人)
 ティム・ハーバート(ガソリンスタンドの店員)
 チャールズ・シール(老人)
 シャーリー・オハラ(ウェイトレス)
 ジーン・ダイナスキー(カフェの男)
 エディ・ファイアストーン(カフェの主人)
 ルー・フリッゼル(バスの運転手)
 ルシル・ベンソン(蛇屋の女性)
 アレクサンダー・ロックウッド(車の老人)
 エイミー・ダグラス(車の老婦人)
製作・ジャンル: 米国/サスペンス/89分

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スピルバーグ、衝撃の映画デビュー作。
幼い頃、テレビの放映で初めて観たとき抱いた恐怖は鮮烈だった。

車庫の闇の中、エンジンがかかる音から映画は始まる。
恐怖のドラマにもエンジンがかかるという
冒頭から天才的演出アイデアの一端がうかがえる。

劇場版ではD・ウィーバーのナレーションはないそうだ。
久しぶりに観た本フィルムは、ナレーション付き。

ウィーバー演じるマンが乗る車は
クライスラー社製プリマス・ブランドのバリアント(valiant)。
年代は違うが、
父が渡米当時乗っていた車と同車種で、少し親しみを覚える。

バックにFLAMMABLE(引火性)と書かれたトレーラーのタンク。
"火がつきやすい" とは、
まさにドライバーの性格をアピールしているよう。
俺に触ると火傷するぜ、ってわけだ。

電話ボックスめがけて始動するタンクローリーのカット。
エンジンの始動音、
運転席の天板越しに光る太陽、
煙突から吐き出される煙、
ローアングルから映るタイヤの横っ面、
そして、車体下から大写しになる回転軸のアップは圧巻。
監督自身が "怪物" に例えたタンクローリー。
戦闘モードに入るその様子はまさに生き物だ。

ドライバーが姿を見せないことが
タンクローリーそのものに意思があるように見せているが
顔の見えない人間というのも無気味。
未知は人間の好奇心を刺激する一方で
不安や恐怖を植えつけるからだ。
カフェでドライバー探しに考えをめぐらせるマンの焦りが
ひしひしと伝わってくる。

マンを執拗に追い回す頭のイカれたドライバーだが
表では、スクールバスを助けて善人ぶっている。
裏表のある人間の恐ろしさをここにも見ることができる。

以前見た印象では
ほぼ全編、路上の駆け引きだったように思っていたが
ガソリンスタンド、カフェ、蛇屋、スクールバスとの遭遇などなど
多くの停車シークエンスが配されている。
だから、ラストの攻防も20分程度。
こういった観客を飽きさせないプロット構成も天才たる所以。

無機物に生命を吹き込んで怪物に仕立てたスピルバーグは
この後、生きた怪物をテーマに「ジョーズ」を製作する。

個人的には
これがスピルバーグのデビューにして最高傑作。

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『氷の微笑』 [洋画(カ行)]

「氷の微笑」(再)(1992)★★★☆65点
※(再):私が以前に観たことのある作品
原題: BASIC INSTINCT
監督: ポール・ヴァーホーヴェン
製作: アラン・マーシャル
製作総指揮: マリオ・カサール
脚本: ジョー・エスターハス
撮影: ヤン・デ・ボン
特殊メイク: ロブ・ボッティン
美術: テレンス・マーシュ
音楽: ジェリー・ゴールドスミス
出演:
 マイケル・ダグラス(ニック・カラン、SF市警刑事)
 シャロン・ストーン(キャサリン・トラメル、小説家)
 ジョージ・ズンザ(ガス・モラン、刑事)
 ジーン・トリプルホーン(ベス・ガーナー、精神科医)
 レイラニ・サレル(ロキシー・ハーディ、キャサリンの友人)
 ドロシー・マローン(ヘイゼル・ドブキンス)
 ウェイン・ナイト(ジョン・コレリ、地方検事補)
 デニス・アーント(フィリップ・ウォーカー、警部補)
 ブルース・A・ヤング(アンドリュース)
 チェルシー・ロス(タルコット、本部長)
 ダニエル・フォン・バーゲン(マーティ・ニルセン、内務調査部員)
 ビル・ケーブル(ジョニー・ボズ、元ロックスター・クラブ経営者)
 スティーヴン・トボロウスキー(ラモット、精神病理学者)
 ウィリアム・ダフ=グリフィン(マイロン、精神鑑定医)
 ジェームズ・レブホーン(マクウェイン、精神鑑定医)
受賞:
 MTVムービー・アワード
  ■女優賞 シャロン・ストーン
製作・ジャンル: 米国/サスペンス・ミステリー/128分

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高いIQ・美貌を誇り過激な言動で知られるS・ストーン。
シャロン・ストーンの名を世に知らしめた官能サスペンス。
大胆なベッドシーンで抜群の肢体を晒し、口汚い言葉を吐く姿は
演じるシャロンそのものである。

「トータル・リコール」で既にスターへの一歩を踏み出していた彼女が
ここまでやる必要があったのか、と疑問を持つが
公開当時、この作品・彼女の演技が世間に与えた衝撃は大きく
セックスシンボルとして
彼女を一気にメジャーに押し上げたのは言うまでもない。

久しぶりに観て思うのは
ニックをじらして性的興奮を高めるシーンはやはり上手い。
ただいくら綺麗な体だとはいえ、セックスシーンが多すぎる。

取調室でキャサリンが足を組みかえるシーンは有名。
ニックが彼女に毒され魅了されていく過程で
ニックの取調べにもそのアナロジーが使われていて面白い。

ベスの過去にまつわる一連の流れは面白いが
この作品に限っては、謎解きを複雑にしても
観客は "キャサリンが犯人" という視点を持ち続けるのだから
話をどう展開し、キャサリンをどう行動させるかが非常に難しい。

直前のシークエンスで、
彼女は不運の犠牲者で犯人ではない、という認識と安堵を
ニックだけでなく観客も共有していなければ
ラストのアイスピックは利いてこない。

ちなみに、撮影は
のちに「スピード」で監督としてブレイクするヤン・デ・ボン。

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『氷の微笑2』 [洋画(カ行)]

「氷の微笑2」(再)(2006)★★☆☆50点
※(再):私が以前に観たことのある作品
原題: BASIC INSTINCT 2
監督: マイケル・ケイトン=ジョーンズ
製作: モリッツ・ボーマン、マリオ・F・カサール、ジョエル・B・マイケルズ、 アンドリュー・G・ヴァイナ
脚本: レオラ・バリッシュ、ヘンリー・ビーン
撮影: ギュラ・パドス
プロダクションデザイン: ノーマン・ガーウッド
衣装デザイン: ベアトリス・アルナ・パッツアー
音楽: ジョン・マーフィ
テーマ曲: ジェリー・ゴールドスミス
出演:
 シャロン・ストーン(キャサリン・トラメル、小説家)
 デヴィッド・モリッシー(マイケル・グラス、精神鑑定医)
 シャーロット・ランプリング(ミレーナ・ガードッシュ、精神鑑定医)
 デヴィッド・シューリス(ロイ・ウォッシュバーン、刑事)
 ヒュー・ダンシー(アダム・タワーズ、アーベイン誌記者)
 インディラ・ヴァルマ(デニース・グラス、マイケルの元妻)
 スタン・コリーモア(ケヴィン・フランクス、サッカー選手)
 フローラ・モントゴメリー(ミシェル・ブロードウィン、精神薬理学者)
 ヘースコート・ウイリアムス(ジェイコブ・ゲルスト、精神学の権威)
受賞:
 ラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)
  ■ワースト作品賞
  ■ワースト主演女優賞 シャロン・ストーン
  ■ワースト脚本賞 ヘンリー・ビーン、レオラ・バリッシュ
  ■ワースト前編・続編賞
製作・ジャンル: 米国/サスペンス・ミステリー/114分

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前作「氷の微笑」の続編。

禁煙の取調室で、前作同様のやり取りがなされるが
パート1の中でもすでにアナロジーとして用いているだけに
前作を観ている人間にとってはくどく映るだけだし
観ていない人間には通じない遊びだ。
もっと特別な意味を持ってくるなら別だが
そうでないのに
その後もやたらとタバコにこだわりすぎ。

マイケルがキャサリンに惹かれるインセンティブが見えない。

そのインセンティブの性質も、本来は前作同様
知性の高い女性が
本能(basic instinct)に付き従うから面白いんじゃないのかな。
知性が痴性に成り下がり
金持の淫乱女が気取って男釣ってる風にしか見えないのが悲しい。

少しトウがたったとはいえ、
撮影当時47歳だったことを考えれば、シャロンの美貌は素晴らしい。
2008年、50歳を迎えても
仏雑誌 "PARIS MATCH" 誌にトップレスを披露したくらいだ。

sharons.jpg

マイケルがキャサリンに魅せられる理由も弱ければ
キャサリンが次々に殺人を犯す理由も弱い。
"危険中毒" という言葉で片づけるのでなく
それを体現する姿が描かれていなければ伝わってこない。

前作から14年の歳月が流れた。
前作とのつながりがほとんどなく
美貌の女性が同一人物・キャサリンである必要もなく
またキャサリンを再びシャロンが演じる必要もないストーリー。
この程度の続編なら、作るのに何故ここまで待ったのか。
折角なのだから、
タイムギャップを利用した作品作りを期待したかった。

ラストの語りで全部タネ明かしというお粗末な結末、
主役たちの人物像がまったく確立されていない、など
脚本に大きな責任はあるが
この映画はまず、製作の無能に尽きるのではないだろうか。

ただ、サスペンスを何も生み出せなかった失敗作だからといって
これほどラジー賞をあげなくても。
少なくとも、シャロンはじめとする俳優陣には同情する。

それにしても、主役の名前のマイケル・グラス。
前作の主演俳優マイケル・ダグラスもじった名前ってのも興ざめ。

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『殺しのドレス』 [洋画(カ行)]

「殺しのドレス」(1980)★★★☆☆60点
原題: DRESSED TO KILL
監督・脚本: ブライアン・デ・パルマ
製作: ジョージ・リットー
撮影: ラルフ・ボード
音楽: ピノ・ドナッジオ
出演:
 ナンシー・アレン(リズ・ブレイク、娼婦)
 マイケル・ケイン(エリオット、精神科医)
 アンジー・ディキンソン(ケイト・ミラー)
 キース・ゴードン(ピーター・ミラー、ケイトの息子)
 デニス・フランツ(マリーノ、刑事)
 デヴィッド・マーグリーズ(リーヴィ、精神科医)
 スザンナ・クレム(ベティ・ルース、女性刑事)
 ケン・ベイカー(ウォレン・ロックマン)
 ブランドン・マガート
製作・ジャンル: 米国/サスペンス/105分

殺しのドレス スペシャル・エディション [DVD]








「サイコ」の影響を強く受けたデ・パルマ作品。
公開前年に監督と結婚し(のちに離婚し)たN・アレンが主演。

男女の心理的な駆け引きを描いた
美術館からタクシーまでのシークエンスは秀逸。
作品にぐっと引き込まれる。
これだけでも、この映画を観る価値は十分にある。

その冒頭からリズが地下鉄で追われるシーンあたりまでと
それ以降の事件解決に至るまでのメインの展開。
この2者の間から受ける印象が、
まったく別の作品を見ているのではないかと思うくらい違う。
台詞の有無がその印象を大きく変えているだけでなく
演出自体がガラリと変わっているのではないだろうか。

事件解決後、リズの悪夢から最後のシーンについては
殺人を犯すような性倒錯と多重人格を患う精神病者が未隔離
という非現実的な設定を含め、また冒頭の「サイコ」テイストに戻る。
結果的なのか意図的なのか
作風の非統一性がとにもかくにも気になってしまった。

観客はまず、その俳優が犯人役であろうと推測するような
クレジットの重い俳優が "やっぱり犯人か" では面白くも何ともなく
全くといっていいほどサスペンスを感じられなくなってしまう。
誰を配役するかを間違えたと言うより
そもそものキャスティング方針が間違っていたのではないだろうか。

スタートダッシュしか決まらなかった。

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『殺しのテクニック』 [洋画(カ行)]

「殺しのテクニック」(1966)★★★★☆80点
原題: TECHNICA DI UN OMICIDIO(英語題 PROFESSIONAL KILLER)
監督・脚本: フランク・シャノン
撮影: エリック・メンツァー
音楽: ロビー・ポイトヴァン
出演:
 ロバート・ウェバー(クリント・ハリス)
 フランコ・ネロ(トニー・ロ・ベロ)
 ホセ・ルイス・デ・ヴィラロンガ(ゴールドスタイン、医師/フランク・セッキ)
 ジャンヌ・ヴァレリー(マリー)
 ミシェル・バルディネ(バリー)
 セク・リンダー(ガステル)
 アール・ハモンド(フランク、クリントの兄)
 シアドラ・バージャリー(ルーシー、フランクの妻)
製作・ジャンル: イタリア/サスペンス・アクション・クライム/97分

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B級感漂うイタリアン・フィルム・ノワールの傑作。

冒頭の射撃練習シーンは
同時代に日本で人気だった日活の無国籍映画を思い出させる。

タイトル以外何も知らない状態で観はじめたので
ブルックリン橋をマンハッタンに向けて疾走する車と
イタリア語の題字に、
どんな映画が始まるのか、のっけから引き込まれた。

仕事の身支度を手伝ったり、自ら盾となって弾丸の犠牲となったりと
フランクの、弟を思う愛情がよく伝わってくる。
そんな兄の姿あってこそ
引退宣言撤回の理由を "復讐" かと問われて
普段はクールなクリントが垣間見せる人間らしさが
絶妙な間(ま)となって生きてくるのだ。

空港で見かけた新聞記事から展開急となる時にはテンポよく
緊迫感あふれる場面ではゆっくりと、
多彩なカメラワークと相俟って
JazzyなBGMがサスペンスを巧みに盛り上げる。

服装を含めて地味な風貌。
クラブでも酒・タバコを飲まず、コーヒーをすする。
きっと、プロのヒットマンとは
こんな風にスッと世間に溶け込めるのが
本来の姿なんだろうと思わせる。
甘い言葉も口にせず、クールに女とベッドイン。
のちの "殺し屋" の原点とも言われる、
孤高の暗殺者ぶりがカッコイイ。
ハリウッドでは目立たない役どころの多いウェバーが
本作にプロの俳優として見事な演技を見せる彼自身とダブる。

確かに、もう少し甘いマスクなら、
「007」のロジャー・ムーアに似ていなくもない(?)ウェバー。
ボリュームのUPしたまま流れる音楽の中
傷と悲哀を背負いながら遠ざかっていく後姿がイカしている。

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『吸血鬼ドラキュラ』 [洋画(カ行)]

「吸血鬼ドラキュラ」(1958)★★★☆70点
原題: DRACULA(英語題HORROR OF DRACULA)
監督: テレンス・フィッシャー
製作: アンソニー・ハインズ
製作総指揮: マイケル・カレラス
原作: ブラム・ストーカー
脚本: ジミー・サングスター
撮影: ジャック・アッシャー
美術: バーナード・ロビンソン
衣装デザイン: モリー・アーバスノット
音楽: ジェームズ・バーナード
出演:
 クリストファー・リー(ドラキュラ伯爵)
 ピーター・カッシング(ヴァン・ヘルシング博士)
 マイケル・ガフ(アーサー・ホルムウッド)
 メリッサ・ストリブリング(ミーナ・ホルムウッド)
 キャロル・マーシュ(ルーシー・ホルムウッド)
 ジョン・ヴァン・アイゼン(ジョナサン・ハーカー)
 ヴァレリー・ゴーント(吸血鬼の女)
 チャールズ・ロイド・パック(スーアード医師)
 ジョージ・ベンソン(インシュタット通行所の官吏)
 オルガ・ディッキー(ゲルダ)
 マイルズ・メイルソン(葬儀屋)
製作・ジャンル: 英国/ホラー/82分

吸血鬼ドラキュラ [DVD]








「フランケンシュタインの逆襲」につづく
英国ハマー・フィルム・プロダクション製作のゴシック・ホラー第2弾。
ドラキュラ映画としては初のカラー作品。
C・リーとP・カッシングの黄金コンビを配したドラキュラ映画は
以降シリーズ化され、その数9本に及んだ。

ユニバーサル映画「魔人ドラキュラ」(1931)同様、
B・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」を原作とするが、
地名やキャラクターの設定は微妙に変わっており、
小説の映画化とは言い切れない。

本作によって、前年にフランケンシュタインの怪物を演じているリーは
ベラ・ルゴシと並ぶドラキュラ俳優としての名を確固たるものとした。

冒頭から緊張と恐怖心を煽る不気味な音楽。
ドラムの低音と管弦楽器の高音に、シンバルが効果的に響く。
そして、おどろおどろしいクレジットの書体。

映画化にあたり単純化しすぎた嫌いのあるストーリーと
夜と昼の画質の明るさに違いが薄いなど、明るいカラー画面から
小説に描かれた陰鬱としたイメージはない。

吸血鬼たちが棺おけの蓋を開けっ放しにして眠るのを目にして
原作はそうであったろうかと記憶の曖昧さを思い知る。

冒頭の、妖鳥の装飾を施したドラキュラ城のショット
ラストの、ドラキュラの灰が風に飛ばされた後に残る指環。
吸血鬼 or ドラキュラ映画としては勿論、古典的怪奇映画の傑作。

昔から実在したドラキュラ伯爵に関心の高い私。
せいぜいB・ストーカーの小説どまりだったが
これを機会に架空の吸血鬼もかじってみようか。

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『カサノバ』 [洋画(カ行)]

「カサノバ」(2005)★★★★85点
原題: CASANOVA
監督: ラッセ・ハルストレム
製作: ベッツィ・ビアーズ、マーク・ゴードン、レスリー・ホールラン
製作総指揮: スー・アームストロング、ゲイリー・レヴィンソン、アダム・メリムズ
原案・脚本: キンバリー・シミ
原案: マイケル・クリストファー
脚本: ジェフリー・ハッチャー
撮影: オリヴァー・ステイプルトン
プロダクションデザイン: デヴィッド・グロップマン
衣装デザイン: ジェニー・ビーヴァン
音楽: アレクサンドル・デプラ
出演:
 ヒース・レジャー(ジャコモ・カサノヴァ)
 シエナ・ミラー(フランチェスカ・ブルーニ)
 ジェレミー・アイアンズ(プッチ、司教)
 オリヴァー・プラット(パプリッツィオ)
 レナ・オリン(アンドレア・ブルーニ)
 オミッド・ジャリリ(ルポ・サルヴァト)
 チャーリー・コックス(ジョヴァンニ・ブルーニ)
 ナタリー・ドーマー(ヴィクトリア)
 ヘレン・マックロリー(カサノヴァの母)
 リー・ローソン(ティト、その恋人)
 ティム・マキナニー(ドージェ、ヴェネチア総督)
 フィリップ・デイヴィス(グアルディ)
 ローレン・コーハン(シスター・ベアトリス)
 スティーヴン・グリーフ
 ケン・ストット
製作・ジャンル: 米国/ロマンス・コメディ/112分

カサノバ [DVD]








一昨年に急逝したH・レジャーが主演。

実在の人物・カサノヴァは
女たらしの放蕩者の代名詞として
そのキャラクターを主人公に数多くの映画が撮られてきた。

女性関係やギャンブル好きの面が
最も目立っていたことは事実のようだが
カサノヴァは政治・外交・宗教から哲学まで、その多才ぶりも有名。

この映画は、オリジナルストーリーだが
カサノヴァの両親が役者であったこと、
総督ドージェも実在であることなど
その実像を設定にかなり投影している。

また、カサノヴァが恋に落ちるフランチェスカとその弟の名は
彼の実際の異父弟フランチェスコ、ジョヴァンニにちなむ
と推測できる。

時代は18世紀。
シェイクスピアとは150年ほど時期を後にするが
中世ヨーロッパを舞台に作られたこの映画は
シェイクスピア・テイストを意識している。

ドタバタの決闘に、人の取り違え。
カサノヴァとフランチェスカの関係は
「から騒ぎ」のベネディックとベアトリスを思わせるし
カサノヴァの裁判で男装で博士として恋する人の弁護に立つ姿は
その土地も含めて「ヴェニスの商人」のポーシャそのままである。

ジュード・ロウと婚約していたこともあるS・ミラーは
知的で自立した女性を的確に演じている。
その美貌からもヒロインとしてナイス・キャスト。

「ブロークバック・マウンテン」と同年に出演したヒースは
スター俳優にのし上がった勢いそのままに
自由で意気のいい演技を披露している。

主人と別れ、2代目カサノヴァに仕えることを決意する
O・ジャリリ扮するルポに粋を感じる。

ロマンスコメディの性格上、爆笑するシーンはほとんどないが
バラエティに富む趣向を凝らし
L・ハルストレム監督がウェルメイドに仕上げた。

ラブコメと呼ばずにロマンスコメディと呼んだのは
恋愛の行方がメインストリームではあるが
その情を深く描くことにさほど重点を置いておらず
また、エロティシズム満載の
他のカサノヴァ映画とも一線を画すからである。

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