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『禁断の惑星』 [洋画(カ行)]

「禁断の惑星」(1956)★★★☆☆60点
原題: FORBIDDEN PLANET
監督: フレッド・マクロード・ウィルコックス
製作: ニコラス・ネイファック
原案: アーヴィング・ブロック、アレン・アドラー
脚本: シリル・ヒューム
撮影: ジョージ・J・フォルシー
メイクアップ: ウィリアム・タトル
美術: セドリック・ギボンズ、アーサー・ロナーガン
編集: フェリス・ウェブスター
出演:
 ウォルター・ピジョン(エドワード・モービアス博士、言語学者)
 アン・フランシス(アルタイラ・"アルタ"・モービアス、博士の娘)
 レスリー・ニールセン(J・J・アダムス、艦長)
 ウォーレン・スティーヴンス(オストロウ中尉、船医)
 ジャック・ケリー(ジェリー・ファーマン中尉)
 リチャード・アンダーソン(クイン准尉)
 アール・ホリマン(料理兵)
 ジョージ・ウォレス(ボースン)
製作・ジャンル: 米国/SF/98分

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宇宙移民時代に突入した23世紀。
20年前に連絡を絶った移民船ベララホン号を追って、
惑星アルテア4の調査に出た宇宙船C-57-D一行の顛末を描く。

艦長アダムスを演じるのは
「裸の銃を持つ男」などコメディで人気を博したL・ニールセン。
本作では真面目な役どころ。
外見的にも地味で、主役の一人ながら目立たない。

万能ロボット "ロビー" は親しみ深い存在。
その形状は、
本作の10年後に放映・ヒットするTVドラマ
「宇宙家族ロビンソン」の "フライデー" そっくり。
どちらも同じデザイナーが担当したようなので、当然ではあるが
"ロビー" や "フライデー" が
後のロボットのモデルとなったのは間違いない。
一方、動きが至極人間的。
当時の技術では仕方のないことだろうが
手足の関節の動きで、中に人間が入っているのが丸分かり。

ベララホン号の乗組員の中で
何故、モービアス夫妻だけが殺害されずに生き残ったのか。
博士の言を聞いても納得いかず、不明のまま物語は進行する。

さらに、姿の見えない怪物についても疑問が。
宇宙船の船内を破壊する怪物。
その足跡を基に作り上げた足型の大きさから、
恐ろしく巨大であることが判明。
人がやっと通れるほどのハッチから船内に進入したことと、
足跡から推測できる巨大な実体があることの間に、
明らかに矛盾が生じ、ここでもモヤモヤした疑問がわくのである。
のちに、攻撃を受け、レーザー光の中にその輪郭が浮かび上がるが
そこでも、やはり
人間の数倍ある巨大な体長であることが再確認されるから
疑問が見過ごせないものになるのは当たり前だ。

しかしながら、
観客にフラストレーションを溜めさせる、こうした疑問も
最後にきちんと解明される、という展開。
謎や疑問で観客の心理を引っ張る構成も、よく考えられたものだ。

あれだけ高度な技術がある星で
博士がある程度、理解・利用しているのであれば
一行は、博士に協力してもらえば
地球への交信だって、容易にできそうなもの。
尤も、それを言っては、この物語が成立しなくなってしまうが。

一時、恋敵となった艦長とジェリー。
怪物との闘いを前に、"君とはいろいろあったが" などと、
まるでこれが最期のようなやり取りがある。
そして、案の定、ジェリーは怪物にやられてしまうのである。
恋のさや当ても全く描いていないのに、
この流れは上っ面ばかりで、何ともお粗末。
恋愛など、端から描かなくていい。

謎解きのオーラス。
クレル人はイメージを客体化する技術を開発した。
ところが、それは潜在意識をも実体化する結果を招き、
それが "イドの怪物" となって自らを滅ぼした、という。
クレル人がいなくなれば、潜在意識の怪物も消えるはず。
クレル人とともに、20万年前に消滅したはずの怪物が
何故存在するのか。
それは、博士の潜在意識が新たな怪物を生んでいたから
と、心理的作用に原因を求めるアイデアは斬新。

突き詰めれば、
ここで問題となる潜在意識は、憎悪や破壊であり
それが "イドの怪物" の形をとって襲ってくるわけだが、
潜在意識に含まれる領域には、
正義や良心といったものだって存在するはず。
であれば、正義や良心が実体化した怪物も生まれてもおかしくない。
悪魔の怪物 vs 理性の怪物。
そんな人間心理の代理戦争が展開しても面白かった。

クレル人が、10進法やマイル単位のサイズが採用している点などは
地球人、殊、マイルを採用している欧米人を想起させ、
クリアできるはずの不備に、発想の限界をみる。

ドラマ的な面白さは皆無だが
時代を考えれば、
高度に進んだ文明の描写など、
テクニカルな部分も評価できるSF作品の佳作と言えよう。
 
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『グリーンフィンガーズ』 [洋画(カ行)]

「グリーンフィンガーズ」(2000)(再)★★★★☆80点
原題: GREENFINGERS
監督: ジョエル・ハーシュマン
製作: トラヴィス・スウォーズ
製作総指揮: ダニエル・J・ヴィクター
脚本: ジョエル・ハーシュマン
撮影: ジョン・デイリー
音楽: ガイ・ダガル
出演:
 クライヴ・オーウェン(コリン・ブリッグス)
 ヘレン・ミレン(ジョージーナ・ウッドハウス)
 デヴィッド・ケリー(ファーガス・ウィルクス)
 ウォーレン・クラーク(ホッジ、エッジフィールド刑務所長)
 ダニー・ダイア(トニー)
 アダム・フォガティ(ロウ)
 パターソン・ジョセフ(ジミー)
 ナターシャ・リトル(プリムローズ・ウッドハウス)
 ピーター・ギネス(ダドリー、看守長)
 ルーシー・パンチ(ホリー)
 サリー・エドワーズ(スーザン・ホッジ)
 ドナルド・ダグラス(ナイジェル)
 ケヴィン・マクモナグル(ローレンス)
製作・ジャンル: イギリス=アメリカ/コメディ・ドラマ/91分

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実話に基づいた心温まる映画。

公開当時に観ているのだが、
どこでどう記憶違いしたのか、
主役のコリンを演じていたのは
ラッセル・クロウだとばかり思っていた。

その主演は、クライヴ・オーウェン。
どこか影のある顔立ち。
芯が強く、それでいて心優しいコリンを好演している。

時系列的には、のちに再現されるシーンであるが、
映画冒頭、花を盗んだコリンは街中を逃げ回る。
緑あふれる小じんまりした街並みがとても美しい。
追いかけるパトカーも通れないほど道幅の狭い橋が
小川に架かっている一角など
箱庭を見ているような錯覚を覚える。

そして、時間を遡ること一年前。
コリンは、一般刑務所から
開放的な特別刑務所・エッジフィールドに移送される。
他人との交流を避けるコリンだったが、
ルームメイトの老人・ファーガスが
ガンをはじめ、いくつもの病に冒されているのを知ったことで、
心を開き、彼との距離を急速に縮めていく。
ファーガスがクリスマスに、コリンにプレゼントしたスミレの種が
花を咲かせたことをきっかけに、
刑務所でのガーデニング作業がスタートする。

タイトルの「グリーンフィンガーズ」は
天才園芸師を意味する。

囚人たちの園芸指南役となるカリスマ・ガーデニストを演じるは、
近年、犯罪ドラマ「第一容疑者」で再注目を浴びた名優H・ミレン。
流石、ただいるだけで気品がにじみ出る。

ハンプトンコートのフラワーショーに向けて
強盗や殺人を犯してきた囚人たちが
思い思いの理想の庭を真面目に語る場面は愉快。
大会を前に、花に語りかけるコリン。
優しく励ますその言葉は、自分自身に向けられているようでもある。

民間労働先での盗難事件による
フラワーショー辞退から程なくして、
コリンの釈放が決まる。

"霜が来たら、バラに袋がけを頼む" というコリンの頼みに、
"I won't forget. You can depend on me, Son.(忘れないよ。任せておけ、息子よ)" と答えるファーガス。
Son(息子)という言葉が象徴するように、
2人の絆は、いつの間にか
親子と言えるまでに深く強いものに育っていたのだ。
字幕では、この "Son" を無視しているが、
直訳調の硬い言葉になっても、
訳出しなくてはならない大切な単語だと思うのだが。

出所するコリンをプリムローズが迎えにやってくるシーンでは
我らがBoss、ブルース・スプリングスティーンの歌が使われている。
イギリス映画に、アメリカのスーパースターのバラッドが流れることに
ちょっと不思議な感覚を覚えた。

一度は駄目になったハンプトンコート・フラワーショー。
一年後に再度の招待を受けるのだが、
コリンの出所後であったために
仲間からの要請を受けたコリンは、
軽罪を犯してエッジフィールドに舞い戻る。
これが、冒頭のシーンである。

大会を待たずして世を去るファーガス。
彼の遺志で、"野草の庭園" で大会に挑むコリンたち。
審査前に、コリンはファーガスの遺灰を庭に撒いてやる。
遺灰を入れた缶が、
庭に据えたファーガスの人形の頭の中から現われるのはご愛嬌。

受賞こそならなかったが、
コリンたちは女王への謁見を許される。
女王の元へ向かう3人の笑顔は素敵だ。

思えば
濡れ衣で逃亡犯と化したトニー、
可哀想だなあ。

ところで、現実には
この後、エッジフィールドの囚人たちは
主要な大会での受賞を重ね、
ついには
ハンプトンコートの最高賞・チューダーローズ賞を
獲得したそうである。
事実は小説よりも "輝" なり(拍手)。
 
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『駆逐艦ベッドフォード作戦』 [洋画(カ行)]

「駆逐艦ベッドフォード作戦」(1965)★★★☆70点
原題: THE BEDFORD INCIDENT
監督: ジェームズ・B・ハリス
製作: リチャード・ウィドマーク 、 ジェームズ・B・ハリス
原作: マーク・ラスコビッチ
脚本: ジェームズ・ポー
撮影: ギルバート・テイラー
音楽: ジェラルド・シャーマン
出演:
 リチャード・ウィドマーク(フィンランダー艦長)
 シドニー・ポワチエ(マンスフォード)
 マーティン・バルサム(ポッター少佐、軍医)
 ジェームズ・マッカーサー(ラルストン少尉)
 エリック・ポートマン(シュレプケ代将)
 ウォーリー・コックス(ケフル)
 マイケル・ケイン(アリソン中佐)
 コリン・メイトランド(ジョーンズ)
 エド・ビショップ(ハッカー大尉)
 ドナルド・サザーランド(ナーネイ医務員)
製作・ジャンル: 米国/戦争・ドラマ/102分

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メルヴィルの『白鯨』を下敷きにしたこの作品。
冷戦の緊張下、異常なドラマが展開する。

冷戦時代の米国駆逐艦 vs ソ連潜水艦の攻防。
水面下に潜むソ連潜水艦の内実が全く見えず
シュノーケルしか姿を現さないのが無気味であり、
観る者の想像を膨らませる。

真摯なジャーナリズムを貫かんとする黒人従軍記者マンスフォード、
医師としてのプライド回復を求めて服役した軍医ポッター。
この2人の存在が
戦艦ベッドフォードの独裁者フィンランダーの
横暴と執拗に好戦的な性格を浮き立たせる。

予備知識の全くなかった私にとって
結末は衝撃的であり、唐突な幕切れが得も言われぬ感慨を残す。

有能で忠実なラルストン少佐、通信士たちは
ポッターの心配どおり
長すぎる張り詰めた緊張のあまり、ついに精神に破綻をきたす。
それが最後の悲劇につながるのだが
特に、ジェームズ・マッカーサーの端整で誠実に見える顔立ちが
突発的で常軌を逸した行動が周囲に広げる絶望感を
印象的に決定づけている。

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『荒野の1ドル銀貨』 [洋画(カ行)]

「荒野の1ドル銀貨」(再)(1965)★★★☆70点
※(再):私が以前に観たことのある作品
原題: UN DOLLARO BUCCATO(英語題: ONE SILVER DOLLAR)
監督・脚本: カルヴィン・ジャクソン・パジェット[ジョルジオ・フェローニ]
脚本: ジョージ・フィンレー[ジョルジオ・ステガーニ]
撮影: トニー・ドライ[アントニオ・セッチ]
音楽: ジャンニ・フェリオ
美術: ハリ・ホース[アリーゴ・エクイニ]
衣裳: エド・ミケルソン[エリオ・ミケーリ]
編集: ローズマリー・ウェア[アントニエッタ・ジータ]
出演:
 モンゴメリー・ウッド[ジュリアーノ・ジェンマ](ゲイリー・オハラ)
 ニック・アンダーソン[ナッツァレーノ・ザンペルラ](フィル・オハラ "ブラックアイ"、ゲイリーの弟)
 イヴリン・スチュワート[アイダ・ガリ](ジュディ・オハラ、ゲイリーの妻)
 ピーター・クロス[ピエール・クレソワ](マッコイ)
 ジョン・マクダグラス[ジュゼッペ・アドバッティ](ドナルドソン)
 フランク・ファレル[フランコ・ファンタジア](アンダーソン保安官)
 トール・オルトマイヤー[トゥリオ・アルタムラ](ピーター)
 マックス・ディーン[マッシモ・リーギ](ブラッド)
 ベニー・リーヴズ[ベニート・ステファネッリ](ジェームズ)
 フランク・リストン[フランコ・ランティエリ](スリム)
 アンドリュー・スコット[アンドレア・スコッティ]
 ジーン・マーティン[ジーノ・マルトゥラーノ]
 ピーター・サーティース[ネロ・パッツァフィーニ]
 ベニー・ファーバー[バーナード・ファーバー]
製作・ジャンル: 伊=仏/西部劇/95分

荒野の1ドル銀貨 [DVD]








G・ジェンマ主演のマカロニウェスタン代表作。
ジェンマはじめ、スタッフ・キャストがみな
ハリウッド名でクレジットを連ねている。

ジェンマはスズキ製スクーターのCMにも出演し
日本でも人気を博した。
鋭さのないジェンマは精悍とは形容しがたいが
その正統派の甘いマスクが彼をヒーローたらしめている。

ヒーローの早撃ちは常套だが
ガンファイトは壮絶とまでは言いがたく、スリルには欠ける。

銃身を切り落とされた拳銃、1ドル銀貨
の小道具がストーリーの展開に巧みに利用。

とりわけ、冒頭で弟にもらった1ドル銀貨。
もらった相手に誤って撃たれる主人公を守るのがその銀貨で
悪党の正体を暴く指名手配の紙を隠した柱時計へと導くのも
その1ドル銀貨。
銀貨に弟の魂が宿っているようであり
死してなお、兄弟愛を感じさせる。

こじんまりとまとまりすぎている嫌いもあるが
何度観ても好感を抱く良作。

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『ガフールの伝説』 [洋画(カ行)]

「ガフールの伝説」(2010)★★★☆70点
原題: LEGEND OF THE GUARDIANS: THE OWLS OF GA'HOOLE
監督: ザック・スナイダー
原作: キャスリン・ラスキー「ガフールの勇者たち("Guardians of Ga'Hoole")」
脚本: エミール・スターン、ジョン・オーロフ
声の出演:
 ジム・スタージェス(ソーレン)
 エミリー・バークリー(ジルフィー、ソーレンの親友)
 デヴィッド・ウェナム(ディガー)
 アンソニー・ラパリア(トワイライト)
 エイドリアン・ディフェリア(エグランタイン、ソーレンの妹)
 ジョエル・エドガートン(メタル・ビーク、"純血団" 総裁)
 ヘレン・ミレン(ナイラ、メタル・ビークの妻)
 ライアン・クワンテン(クラッド、ソーレンの兄)
 ヒューゴ・ウィーヴィング(ノクタス、ソーレンたちの父/グリンブル、"聖エゴリウス孤児院" 幹部)
 エッシー・デイヴィス(マレラ、ソーレンたちの母)
 アビー・コーニッシュ(オツリッサ)
 ジェフリー・ラッシュ(エジルリブ "キールのライズ")
 サム・ニール(アラミア卿)
 リチャード・ロクスバーグ(ボロン)
 ミリアム・マーゴリーズ(ミセス・"P" プリサイバー)
 アンガス・サンプソン(ジェット)
 サシャ・ホーラー(ストリクス・ストルーマ)
 ビル・ハンター(ブボ)
 リー・ワネル(ジャット)
製作・ジャンル: 米国=豪州/アニメーション・アドベンチャー・ファンタジー/104分

gafool.jpg

ファンタジー小説「ガフールの勇者」の3Dアニメーション映画化。
若きフクロウの冒険と闘いを描く。

フクロウの世界を描いているので
ほぼ全編、かなり暗い画面。
英国のファンタジーである
「ハリー・ポッター」「ロード・オブ・ザ・リング」に似たテーストを感じる。

飛ぶこともままならなかった子どもフクロウが
勇気を持って悪に立ち向かい成長していく物語は月並みだが
善か悪かという区別がここまで一義的だと
世界の警察を自負する米国が "我こそは正義" と主張するがごとく
却って不健全な気がした。

試写会により、2D字幕版での鑑賞だったが
それでも、一見無表情に思えるフクロウが
予想以上に愛くるしく喜怒哀楽豊かに見える。

ここは3Dで観たいなあ、と思ったのは
嵐の中でも飛翔の訓練シーン。
体に叩きつける雨風が迫ってくる様は迫力が増しそうだ。
「ヒックとドラゴン」でもドラゴンが飛びまくっていたが
空を飛ぶシーンというのは3Dに打ってつけなのだろうか。

夢、家族愛、兄弟愛、正義感、
勇者を探す旅を共にしたり共闘する仲間との友情、など
物語が包含する要素も充実していれば
登場するキャラクターも多岐に渡っており
十分に練り込まれた作品[原作]である。

ただ、前述したように
勧善懲悪ばかりが前面に出ていて
恋愛・友情など、キャラクター同士の心の交流が薄い。

ソーレンが悪に洗脳された兄クラッドの目を覚まさせての
ハッピーエンドと思っていたので
クラッドが改心せぬまま、炎の中に落ちていってしまう結末は
少々消化不良。

15巻からなる原作だから
映画もシリーズ化する構想もあるのかもしれないが
ナイラが難を逃れたこと、クラッドの生死が不明なことを考えると
続編がありそう。

エンドクレジットが流れる間も
子どもを退屈させないためであろう、
手塚漫画の "ヒョウタンツギ" よろしく
ちょっと間抜けなキャラのフクロウが
画面の下端に登場することを付け加えておく。

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『コヨーテ・アグリー』 [洋画(カ行)]

「コヨーテ・アグリー」(2000)★★★☆65点
原題: COYOTE UGLY
監督: デヴィッド・マクナリー
製作: ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮: スコット・ガーデンアワー、チャド・オマン、マイク・ステンソン
脚本: ジーナ・ウェンドコス
撮影: アミール・M・モクリ
編集: ウィリアム・ゴールデンバーグ
音楽: トレヴァー・ホーン
主題歌: Can't Fight the Moonlight(作詞・作曲: ダイアン・ウォーレン)
出演:
 パイパー・ペラーボ(ヴァイオレット・"ジャージー"・サンフォード)
 アダム・ガルシア(ケヴィン・オドネル)
 ジョン・グッドマン(ビル・サンフォード、ヴァイオレットの父親)
 マリア・ベロ(リル、"コヨーテ・アグリー" の支配人)
 イザベラ・マイコ(キャミー "ロシアの小悪魔")
 タイラ・バンクス(ゾーイ、"コヨーテ・アグリー" の元バーテンダー)
 ブリジット・モイナハン(レイチェル "NYのアバズレ")
 メラニー・リンスキー(グロリア、ヴァイオレットの親友)
 マイケル・ウェストン(ダニー、グロリアの結婚相手)
 リアン・ライムス("Can't Fight the Moonlight" を歌う本人役)
受賞:
 ■MTVムービー・アワード
  音楽シーン賞 パイパー・ペラーボ(パイパー・ペラーボが歌う"One Way Or Another")
製作・ジャンル: 米国/ドラマ・青春/101分

コヨーテ・アグリー 特別編集版 [DVD]








NYに実在する "Coyote Ugly Saloon" がモデルのバーを舞台に
ソングライター志望の女の子のサクセスストーリー。

これが映画初主演のP・ペラーボがとてもキュートで溌剌としている。
それにしても
警察ドラマ "クローザー" の主役を務め、
今年のエミー賞に輝いたキーラ・セジウィックといい、
アメリカ人は、ジュリア・ロバーツ系の顔立ちがお好きのようだ。
若さを別にしても、3人の中ではパイパーが一番品がある。

"コヨーテ・アグリー" のバーテン娘たちは
まさに、肉食系女子ばかり。
アキバ系の幼い女の子がもてはやされる日本を振り返るに
国民性の違いはここでも明らか。
かく言う私は、どちらかと言えば肉食系で
女性も肉食系のほうが好みではあるが。

あんなバーが実在していることを知っていれば
NYに滞在している間に一度は行ってみるべきだった。

バーの女主人であるリルは
ヴァイオレットが前もって断ってあった、
ライヴ出演のための早上がりを忙しいからと言って認めない。
その上、それが原因で起きてしまう暴力沙汰も
"彼氏を連れ込まない" という店の掟を破ったからという理由で
ヴァイオレットをクビにしてしまう。
この一連のリルの言動は、至極勝手な言い草で
男気(?)のある彼女のキャラクターに反するように思う。

残念ながら
ヴァイオレットとケヴィンを仲たがいさせ
本音をぶつけさせ合う場面を用意するための
ご都合主義で書かれたようにしか感じられない。

それを除けば、
総じて、爽やかな青春映画。

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『グリーン・ゾーン』 [洋画(カ行)]

「グリーン・ゾーン」(2010)★★★☆70点
原題: GREEN ZONE
監督・製作: ポール・グリーングラス
製作: ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ロイド・レヴィン
製作総指揮: デブラ・ヘイワード、ライザ・チェイシン
原案: ラジーフ・チャンドラセカラン「インペリアル・ライフ・イン・ザ・エメラルド・シティ」
脚本: ブライアン・ヘルゲランド
撮影: バリー・アクロイド
プロダクションデザイン: ドミニク・ワトキンス
衣装デザイン: サミー・シェルドン
編集: クリストファー・ラウズ
音楽: ジョン・パウエル
出演:
 マット・デイモン(ロイ・ミラー、米国陸軍上級准尉・MET隊隊長)
 グレッグ・キニア(クラーク・パウンドストーン、米国国防総省高官)
 ブレンダン・グリーソン(マーティン・ブラウン、CIA諜報員)
 エイミー・ライアン(ローリー・デイン、"ウォール・ストーリト・ジャーナル" 特派員)
 ハリド・アブダラ(フレディ、イラク市民)
 ジェイソン・アイザックス(ブリッグス、米国陸軍少佐)
 イガル・ノール(アル・ラウィ、将軍)
製作・ジャンル: 仏国=米国=スペイン=英国/戦争・アクション・サスペンス/114分

greenzone.jpg

イラク中心部にある米軍駐留地区 "グリーン・ゾーン" を舞台に
大量破壊兵器の所在を突き止める命を受けた兵士が
イラク戦争の欺瞞を暴く戦争活劇。

全般的に、緊迫感が薄いだけに
"息をもつかせぬ" とは表現できないが
観客を全く飽きさせることのないテンポ良い展開は、特筆に値する。
この映画の醍醐味の一つと言えよう。

また、メインキャラクターの5人である
ミラー、パウンドストーン、ブラウン、フレディ、ローリー
の立場・性格の違いが明快であることで
慌ただしさと混乱の中に埋もれがちな人間模様も
くっきりと浮かび上がっている。

ただ、それによって対立軸が明確であるはずなのに
肝心の対立のドラマ・せめぎ合いが弱いこと、
孤高の存在たる主人公の追い詰められ方が甘いことで
スリルやサスペンスがもう一つ盛り上がらない。

原作小説はノンフィクションであり、
それに忠実であることが
ドラマチックな演出を制限してしまったのかもしれない。

同時多発テロを称賛するイラクの姿勢は
ブッシュの "悪の枢軸" 発言を誘発し、
国連、諸外国を巻き込んで、イラク戦争に踏み切る。

その戦争の主たる大義こそが
世界の安全を脅かす、
イラク自身がその保有を公言した大量破壊兵器の排除であった。

ブッシュがイラク戦争の旗印を掲げた2003年、
NY滞在中の私も、イラク戦争反対のデモの列に加わった。
それはそれは、おびただしい数の人たちが参加したイベントで
参加者たちはプラカートを手に
それぞれ独自のアピールに熱を上げていた。

20世紀に世界の警察を標榜してやまなかった米国は
新世紀を迎えても、その本質を変えなかったのだ。

この映画を見ても分かるように
すべての戦争に共通することだが、一番の犠牲者は一般市民だ。

劇中、フレディのとった行動は、
実質的にイラクの自立を遅らせたものとして描かれているが
果たして真実は如何なるものだったのか。
それは、各国・各人の思惑や利害が複雑に絡み
今もなお深い霧の中である。

冒頭に書いた絶妙なテンポ・構成のおかげで
俳優の演技云々にストーリーへの興味をそがれることなく
事件の真相解明や糾弾の世界に没入できた。

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『決断の3時10分』 [洋画(カ行)]

「決断の3時10分」(1957)★★★☆70点
原題: 3: 10 TO YUMA
監督: デルマー・デイヴィス
製作: デヴィッド・ヘイルウェイル
原作: エルモア・レナード
脚本: ハルステッド・ウェルズ
撮影: チャールズ・ロートン・Jr.
美術: フランク・ホテイリング
編集: アル・クラーク
音楽: ジョージ・ダニング
装置: ウィリアム・キアーナン、ロバート・プリーストリー
衣裳: ジーン・ルイス
出演:
 グレン・フォード(ベン・ウェイド)
 ヴァン・ヘフリン(ダン・エヴァンス、牧場主)
 レオラ・ダナ(アリス・エヴァンス、ダンの妻)
 フェリシア・ファー(エミー、酒場の店員)
 ヘンリー・ジョーンズ(アレックス・ポッター、酒場主・金貸し)
 ロバート・エムハート(バターフィールド、駅馬車会社のオーナー)
 リチャード・ジャッケル(チャーリー・プリンス、ウェイドの手下)
 フォード・レイニー(ビズビーの連邦保安官)
 シェリダン・コメラーテ(ボブ・ムーンズ、ビルの弟)
 ボイド・ストックマン(ビル・ムーンズ、駅馬車の御者)
 バリー・カーティス(マシュー・エヴァンス、ダンの長男)
 ジェリー・ハートルベン(マーク・エヴァンス、ダンの次男)
 ガイ・ウィルカーソン(コンテンションシティのホテルオーナー)
 ビル・ヘイル(デイヴ・キーン、町民)
 ロバート・エレンスタイン(アーニー・コリンズ)
 ドロシー・アダムス(ポッター夫人)
 ジョージ・ミッチェル
製作・ジャンル: 米国/西部劇・ドラマ/92分

決断の3時10分 [DVD]








日照り続きで荒れた牧場。
金の為に強盗団の首領の移送に加わる牧場主を主人公に
奪還を狙う一味の手下たちとの闘いを描く。

ウェイドはいい男で、何故強盗団など率いているのかと思うほど。
人を惹きつける色気と冷静さを備え、善人としても大成しそうなのに。

アレックスが撃たれ縛り首にされた様を影だけで見せる演出は
直接的に見せて映像がグロテスクになるのを避けると同時に
バターフィールドの恐怖心を煽る上で非常に効果的。

1万ドルで逃がしてくれるよう
ウェイドに取引を持ちかけられるダン。

仲間のアレックスも殺され、
バターフィールドも依頼を取り下げ逃げようとする。
心配した妻もやって来る。
移送のための列車の到着時刻が迫る中、
一人残されたダンの決断は…

ダンのような家族を持ちたいと夢を語るウェイド。
復讐をしようとしたボブから守った借りを返して
進んでユマ行きの列車に乗り込むウェイドに、男気とハートを感じた。
やっぱり、ウェイドはいい奴だ。

恵みの雨の降りはじめる中、手を振って夫を見送る妻。

冒頭では
声と歌い方の男臭さが少し厭らしいと感じたテーマソングだが
この美しいラストのバックに流れると、
爽やかさを感じ非常に勇壮に聞こえる。

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『吸血鬼ボボラカ』 [洋画(カ行)]

「吸血鬼ボボラカ」(未)(1945)★☆☆☆30点
※(未):日本未公開作品
原題: ISLE OF THE DEAD
監督: マーク・ロブソン
製作: ヴァル・リュートン
脚本: ジョセフ・ミッシェル、アーデル・レイ
美術: アルバート・S・ダゴスティーノ、ウォルター・E・ケラー
音楽: リー・ハーライン
撮影: ジャック・マッケンジー
衣装: エドワード・スティーヴンソン
出演:
 ボリス・カーロフ(ニコラス・フリーディス、将軍)
 エレン・ドリュー(シア、オーバン夫人の付添い人)
 マーク・クレイマー(オリヴァー・デイヴィス、「ボストン・スター」紙の米国人従軍記者)
 ヘレーネ・ティーミッヒ(キーラ、元家主)
 アラン・ネイピア(セント・オーバン、在トルコ英国領事館)
 キャサリン・エメリー(メアリー・セント・オーバン夫人)
 ジェイソン・ロバーズ(アルブレヒト、考古学者)
 エルンスト・ドイチュ(ドラソス、軍医)
 スケルトン・ナッグス(ヘンリー・ロビンス、ブリキ商人)
製作・ジャンル: 米国/ホラー/72分

吸血鬼ボボラカ [DVD]








バルカン戦争を背景にしたギリシャの孤島を舞台に
島の伝説である、狼の魂に取り付かれた人間ボボラカの恐怖を描く。
「キャット・ピープル」をはじめとするRKO製作のB級クラシックホラー。

突然発生した伝染病のために
島に軟禁状態となって展開するストーリーは舞台的である。

吸血鬼フリークの私は、かなり楽しみにして臨んだんだ。

オーバン夫人が、死んだ夫をピンで刺したのが
何か後々意味を持ってくるのだろう、
そう期待して観進んでいくが
待てども待てども、ボボラカらしきものは登場しない。

詰まるところ、この映画は
敗血症らしき伝染病に人々が蝕まれていく物語なのだ。

一人、また一人と、実際の伝染病に倒れていくのだが
軍医による科学の力で防げず、神に祈るしかなくなった状況下、
キーラが吹聴するボボラカの迷信に
将軍も洗脳され、シアに対して疑心暗鬼となる。
悪霊や吸血鬼による恐怖ではなく、
身体を襲う伝染病と、心を冒された人間の恐怖を描いたと言えよう。

ついでに言えば
"南風が吹けば病気がなおる" という軍医の見解も
科学的とは言えず、極めて迷信的ではある。

ただいずれにしても
その恐怖のテイストが非常に薄いので、スリルは全く感じない。
それでも、飽きずに観られるのは
尺自体が短いこと、吸血鬼の登場を心待ちにしていることに加えて
ドラマはしっかり描かれていることが挙げられる。
それでもやはり、ホラーと呼ぶのが憚られる。
"吸血" という要素に至っては微塵も表れない。

"持病で無呼吸で1日以上昏睡状態になることがある" という訴えと
"生き埋めにされる悪夢" の話を受け流された領事夫人は、
生きたまま棺に納められてしまう。
棺を這い出た夫人の行動は、
ヤスまで持ち出して、何かに憑かれたように描かれているが
所詮は、何度もうなされた悪夢が正夢となった恐怖と恨みから
キーラや将軍の殺害に走るだけである。

「吸血鬼ボボラカ」というタイトルに踊らされてしまったが
原題は「死の島(ISLE OF THE DEAD)」である。
画家アルノルド・ベックリンの作品「死の島」がモチーフらしい。
ベックリンは同題のもと、5枚の絵を書いているが
確認される4枚の作品を挙げておく。


1.jpg

2.jpg

3.jpg

5.jpg

将軍とオリヴァーがボートで向かう島の描写は、この絵そのまま。
不思議と想像力を掻きたてられる絵だ。

船着場の3つ首の狼の像ともども
導入となる舞台設定は興味を引くのだが…

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『キャットピープル』 [洋画(カ行)]

「キャットピープル」(1942)★★★☆☆60点
原題: CAT PEOPLE
監督: ジャック・ターナー
製作: ヴァル・リュートン
脚本: ドゥウィット・ボディーン
撮影: ニコラス・ムスラカ
音楽: ロイ・ウェッブ
出演:
 シモーヌ・シモン(イレーナ・デブローナ、衣裳デザイナー)
 ケント・スミス(オリヴァー・リード、C R. クーパー造船会社設計士)
 トム・コンウェイ(ルイス・ジャド博士、精神分析医)
 ジェーン・ランドルフ(アリス・ムーア、オリヴァーの同僚)
 ジャック・ホルト
 アレック・クレイグ(動物園職員)
 エリザベス・ダン(ペットショップの女主人)
 メアリー・ハルシー(アパートメントハウスの受付)
 テレサ・ハリス(ミニー、カフェのウェイトレス)
 ベティ・ロードマン(ハンセン夫人)
 エリザベス・ラッセル(猫顔の女)
受賞:
 アメリカ国立フィルム登録簿
  ■1993年新規登録作品
製作・ジャンル: 米国/ホラー/73分

キャット・ピープル [DVD]








大仰なオープニングテーマが、サスペンスの始まりを盛り上げる。

カゴの中のカナリヤを
まさに猫のように手で追い回すイレーナの表情は
とても嬉しそうで何とも可愛いのだが
追い回される恐怖でカナリヤがあっという間に死んでしまうのは
彼女の呪われた運命を改めて突きつけられる現実が悲しい。

夫婦となっても寝室を別にするイレーナ。
ドアノブに手をかけようとするその手つきも
指先を少し曲げて、猫が壁をひっかいて爪を研ぐような仕草。

その他にも
回転ドアの床を拭く掃除婦の格好、
猫脚のバスタブ、
ボウスプリット(斜檣)の浮彫り模様
などなど、猫を想起させる描写が満載。

挙句、離婚を告げられ
軽く引っ掻いたソファの布地は簡単に裂けてしまう。

プールでアリスを襲おうとするシーンも
階段の影やプールの水面の乱反射など
光と影を巧みに用い、
作品中のスリルは、ほとんど間接的に表現される。

血まみれシーンなど、
凄惨な描写を用いて直接的に恐怖を煽らないのは
私の好みでもあるが、
その詰め方が甘いため
さしたる恐怖を覚える前にシーンが終わってしまう。
間接的恐怖には、"音" の要素も駆使できるはずだ。

製図用コンパスの影が十字架に映って
黒豹(=イレーナ)は退散する。

初めて会ったオリヴァーをお茶に誘うシーンで話題になる
イレーナが使う匂いの強いラレッジの香水も
後のシーンで彼女の存在を
これまた間接的に示すための伏線となっている。

死に瀕したイレーナが、鍵を開けて解き放つ動物園の黒豹は
あっという間にタクシーに轢かれてしまう。
え~っ、と思うくらいあっさりしているが
押し込められていた猫族の性が解き放たれた途端に
刺されて死んでしまうイレーナを象徴するメタファーだ。

全体的には良質なホラー映画だが
肝心のホラーテイストが薄味。
頻出する暗示・ヒントをもっと有効に使った上で
主人公イレーナの運命に翻弄される苦悩に焦点を当てると
ドラマとしての深みも増すものと思われる。

動物占いで、私は黒豹だったなあ
などと、作品とは無縁のことも思い出した。

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