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『力道山』 [アジア映画]

「力道山」(2004)★★★☆65点
原題: RIKIDOZAN
監督: ソン・ヘソン
製作: チャ・スンジェ、ノ・ジョンユン、河井信哉
プロデューサー: キム・ソナ、梅川治男
脚本: ソン・ヘソン
撮影: キム・ヒョング
美術: 稲垣尚夫
出演:
 ソル・ギョング(力道山 "キム・シルラク")
 藤竜也(菅野武雄、建設会社会長)
 中谷美紀(綾、芸子・力道山の妻)
 萩原聖人(吉町譲、力道山のマネージャー)
 鈴木砂羽(沖浜子、女優)
 山本太郎(葛西紘一)
 船木誠勝(井村昌彦、柔道家・レスラー)
 パク・チョルミン(キム・ミョンギル、ホルモン食堂主・力道山の友)
 ノ・ジュノ(キム・イル "大木金太郎")
 秋山準(遠藤幸吉)
 モハメド・ヨネ(豊登)
 武藤敬司(ハロルド坂田、レスラー)
 橋本真也(東浪、横綱・レスラー)
 マイク・バートン(ベン・シャープ、レスラー)
 ジム・スティール(マイク・シャープ、レスラー)
 リック・スタイナー(アトミック)
 仙波和之(二所ノ山親方)
 岩本宗規(田村健一)
 マギー(ニューハバナクラブの司会者)
 岡本麗(中年女性)
 梶原しげる(実況アナウンサー)
製作・ジャンル: 韓国=日本/ドラマ・格闘技・伝記/149分

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"強い者はいつも寂しいものだ
人生は勝負だ"
by 力道山

力道山といえば
"日本プロレスの草分け"、"街頭テレビのスター"
程度の知識しかなかった。

だから当然、この映画の製作発表があるまで
力道山が朝鮮出身だと知らなかった。

相撲界で問題になっているイジメ・虐待が
稽古・修行として当たり前のものだった時代。
それだけでも凄惨な光景が繰り広げられただろうが
人種差別が加わっては生半可でなかっただろうと予想はつく。
差別意識の払拭は、理屈だけで達成できるものではないが
それを暴力に訴えて主張するのは次元の違う話。
力道山の孤独は幾ばかりであったか。

力道山が初めてジムを訪れたときに
ハロルド坂田が、コブラツイストやラリアットを連発する。
近年のプロレス技であるラリアットはおろか、
1951年と言えば、コブラツイストだってあったどうかという時期。
せっかく、現役プロレスラーを起用したのだから
レスラーらしい見せ場を作りたかったのかもしれないが
浅薄なプロレス知識しかない私でさえ疑問に思うのに…

街頭テレビの前を埋め尽くす大衆の熱狂ぶりは圧倒的。
敗戦国日本の復興期に、
国民を熱狂させ活力を与えた英雄であったことが伺える。
国民的スターが実は朝鮮人であったことを
当時の日本人が知っていたら、あの熱狂は生まれただろうか
と想像してみるが、まったく答は出ない。

東浪役・亡き橋本真也のファイトが懐かしい。

ちなみに東浪は第40代横綱東富士、
井村昌彦は悲劇の柔道家・木村政彦、
菅野武雄は新田新作、
吉町譲は吉村義雄、
綾は小沢文子、
葛西紘一は村田勝志
等々、モデルとなった人物とは別名を用いているものが多い。

藤竜也ははまり役を得た。
ヤクザ気質を十分に感じさせ、
力道山の運命におけるキーパーソンを演じきった。

ソル・ギョングが日本語をマスターした努力は
役を引き受けた以上、プロとして当然のもの。
訛りは仕方ないとしても、不明瞭で聞き取れないのは困る。
彼の台詞だって字幕なしで日本上映されるのだから、
日本語指導者が監督に厳しく進言すべき。

「レイジング・ブル」のデ・ニーロ同様に
30キロの増量で臨んだ点は凄い。
これも、"引き受けた以上" と片付けることもできるが
体質も関わってくることだろうから一筋縄ではいかない。
年齢的なこともあるが、私にはマネのできないことだ。

ソル・ギョングは
血の気の荒さと孤独に象徴される力道山を熱演しているが
豪快さが感じられない。
力道山が実際に豪快であったかどうかは分からないが
自分の感情に正直であるがゆえに
ただ敵ばかりを作った小さな男ではなかったはずだ。
俳優本人の生真面目さが出た結果だ。

冒頭に力道山の言葉を挙げたが
本当は
強い者が寂しいのではなく、
寂しいから強くならなければならなかったように映った。

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『誰にでも秘密がある』 [アジア映画]

「誰にでも秘密がある」(2004)★★☆☆50点
英語題: EVERYBODY HAS SECRETS
監督: チャン・ヒョンス
製作: チョン・テウォン
脚本: キム・ヨンチャン
撮影: キム・ヨンチョル
音楽: シム・ヒョンジョン
出演:
 イ・ビョンホン(チェ・スヒョン)
 チェ・ジウ(ハン・ソニョン、次女)
 チュ・サンミ(ハン・ジニョン、長女)
 キム・ヒョジン(ハン・ミヨン、三女)
 チョン・ジェヒョン(ハン・デヨン、長男・末子)
 キム・ヘゴン(ジニョンの夫)
 チョン・ボソク(オム、ソニョンの指導教授)
 タク・ジェフン(サンイル、ミヨンの元恋人)
 ソヌ・ヨンニョ(三姉妹の母親)
 イ・ジヘ(イェスル、ジニョンの娘)
 チャン・ミナ(ウンミ、デヨンのガールフレンド)
 イム・ヒョンジュ(ミンジ、ソニョンの友人)
 ミン・アンナ(美容師)
 キム・ソヨン(ソン・キョンジュ、クラブのウェイトレス)
製作・ジャンル: 韓国/コメディ・ロマンス/101分

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ある三姉妹と一人の男性を中心に繰り広げられる恋愛コメディ。

原題がどういう意味か
韓国語の単語がどんなニュアンスを持っているのか分からないが
今の時代、"秘密" と言うにはありふれた内容で
その言葉が持つ意味の深さにそぐわない。

スヒョンの妹へのプロポーズを見て
ワインを一気飲みし、泣く泣く拍手するソニョンが笑える。
チェ・ジウの可愛らしさが活きる。

ソニョンの靴がスヒョンの靴に寄り添うアニメーションは
オーソドックスな手法だが、可愛らしいカット。

長姉ジニョン役のチュ・サンミも美人。

「人間は一人しか愛せないと思う?」と訊ねるスヒョンや
「愛の形が違う」と言い放つミヨン。
姉妹を導くためのスヒョンのお膳立ての一言であったり
真の愛に気づかないミヨンの
浅はかさを象徴する言葉であったりするのだが
直球でない言動で表現することはできないものだろうか?
直接的なほうが分かりやすく、テンポが出るのかもしれないが
ちょっと芸がない気がした。

そのプロポーズのシーンを軸に
それ以前の隠れたエピソードを、後から掘り下げていく構成は
非常によくできていて感心。

スヒョンは典型的なプレーボーイ。
と思ったら、
亡き父親がこの世に送った天国からの使いってオチ!?

出来すぎた話になっていて
いかにも "頭で考えました" っていう作意を感じ
逆に、作品全体を引いて観てしまう。

描かれている恋愛自体は、コミカルというより幼稚。

テクニカル面で一つ。
仮にも韓国トップ俳優とトップ女優主演の映画。
明らかに晴れていて影もくっきり出ている日に、
ホースで雨を降らせての撮影なんて
そんな製作してるのかと思うとちょっとがっかり。

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『王の男』 [アジア映画]

「王の男」(2005)★★★★90点
原題: WANG-UI NAMJA(英語題 THE KING AND THE CLOWN)
監督: イ・ジュニク
製作総指揮: キム・インス
原作: キム・テウン 演劇「爾」
脚本: チェ・ソクファン
撮影: チ・ギルン
衣装: シム・ヒョンソップ
音楽: イ・ビョンウ
アートディレクター: カン・スンヨン
出演:
 カム・ウソン(チャンセン 長生、芸人)
 イ・ジュンギ(コンギル 吉、芸人)
 チョン・ジニョン(ヨンサングン 燕山君、王)
 カン・ソンヨン(チャン・ノクス 張緑水、王の寵姫・元妓生)
 チャン・ハンソン(キム・チョソン 金処善、大臣)
 ユ・ヘジン(ユッカプ 六甲、芸人)
 チョン・ソギョン(チルトゥク 七得、芸人)
 イ・スンフン(パルボク 八福、芸人)
製作・ジャンル: 韓国/ドラマ・歴史劇・サスペンス/122分

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韓国のアカデミー賞と言える大鐘賞において
最優秀作品賞をはじめ、史上最多10部門受賞した大ヒット作。
16世紀の朝鮮を舞台に生きた2人の芸人の運命を描く。

座長を鎌で刺したのに、
手のひらにあんなべっとり血はつかないだろう、
せいぜい返り血を少し浴びる程度だ
と、まず引いてしまった冒頭。

チャンセンは、ワイルドなガレッジセール川田
(トニー・レオンとコンビ組めるなあ、とか)
コンギルは、美形の森山未来
王は、韓流ウィル・スミス
大臣のチョソンは、江原啓之
導入部分では、例によって
そんな風に日本人に似ているなあと思いながら観ていた。

チャンセンとコンギルたちが宮廷お抱えの芸人となってから
話は俄然面白くなる。

チャンセンとコンギル、そして王とノクス。
この四角関係の愛憎をメインストーリーにし
宮廷にはびこる腐敗と陰謀をサブストーリーに描かれていく。
話はそのサブストーリーに沿って展開する。

"王が母を毒殺に追い込んだ者達を刺殺する" 芝居を見せる場面は
明らかに、シェークスピアの「ハムレット」を下敷きにしている。

時代とはいえ、人間狩りとはおぞましい。
韓国人独特の死生観が反映しているようにも感じた。

宮廷を去ろうとするチャンセンを
刀まで手にして止めようとするコンギル。
その刀を取り上げて怒りに任せて切ろうとする綱渡りの綱は
それまで2人をしっかり繋ぎとめていた絆のように思える。

先に述べた、ストーリーのメインとサブは
書き間違えたわけではない。
人間の愛憎がメインにならなければ、
それはただの政争劇であり、
ドラマのない退屈に甘んじることになる。

残酷なまでに暴君に翻弄された芸人の人生。
夢の国か来世か、陽気に旅する芸仲間たちの姿が切ない。

ヒットしただけのことはある、見応え十分の傑作。

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『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3』 [アジア映画]

「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3」(1991)★☆☆☆☆20点
原題: 倩女幽魂III: 道道道(英語題 A CHINESE GHOST STORY III)
監督: チン・シウトン
製作・脚本: ツイ・ハーク
脚本: ロイ・ツェト
撮影: タム・ムーントン
音楽: ロメオ・ディアズ、ジェームズ・ウォン
出演:
 ジョイ・ウォン 王祖賢(シュ・チェ 小卓、僧侶)
 トニー・レオン 梁朝偉(フォン 十方)
 ジャッキー・チュン 張學友(イン・チェッハー 燕赤霞、導士)
 ニナ・リー 利智(シュ・デップ 小蝶、シュ・チェのライバル幽霊)
 ラウ・シウミン 劉兆銘(ロウロウ 姥姥、千年樹の妖怪)
 ラオ・シュン 劉洵(白雲、フォンの師匠・導士)
 ラウ・ユク・チン 劉玉(シュ・ラン 小蘭、シュ・チェの妹)
製作・ジャンル: 香港/ホラー・ファンタジー/108分

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第1作から100年後を描いたシリーズ第3作。
第2作同様、雨中、借金取りに巻き込まれるところから始まる。

雨宿りの東屋が火事になり、外へ出る。
雨はまだ降っている体の台詞がつづくが、外景は青い空に白雲。
シリーズ3作目を作るほどヒットしたなら
もうちょっと製作費かければ?
いや、セットもほとんど要らない野外ロケだろうから、
散水して雨降らせるか、せめて曇の日まで待つかしろよ、と思う。

主人公は、役は代われど相変わらずジョイ・ウォン。
ロウロウの手下として蘭若寺に囚われた幽霊という設定は、
第1作のシウシンと同じで少し混同しそう。
相手役は、
前2作のレスリー・チャンからトニー・レオンにバトンタッチ。
ここまできたら、
最後までジョイとレスリーのコンビで突っ走ってほしかったね。

出来としては
シリーズを重ねるごとにレベルダウンする典型。

見所は、ジョイの
衰えることのない美しさと、
白雲の術に苦しむ演技で見せる
顔を引きつらせることも厭わず開き直った顔くらいか。
トニーとジャッキーの安定味ある演技も
退屈なストーリーとスピード感のない演出に行き場なし。

ロウロウが、妖力を回復するために手下の小蝶の血を吸ったり
朝の訪れでなく、太陽光に身を滅ぼす黒山妖怪。
幽霊というより吸血鬼的な性格を帯びた妖怪として描かれている。

ロウロウが簡単にやられてしまうし
黒山妖怪は館のお化けみたいな感じで、
前述のように仏力でなく日光に屈する。

前2作と比較にならないくらい弱っちい妖怪たち。
100年前のロウロウの強さは何だったのかと思うくらい。

シュ・チェは善行で魂が骨つぼから抜けたの?
成仏したのかどうかも不明のままエンディング。

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『ラスト、コーション』 [アジア映画]

「ラスト、コーション」(2007)★★☆☆50点
原題: 色・戒(英語題 LUST, CAUTION)
監督・製作: アン・リー
製作: ビル・コン、ジェームズ・シェイマス
原作: チャン・アイリン「ラスト、コーション 色・戒」
脚本: ワン・フイリン、ジェームズ・シェイマス
撮影: ロドリゴ・プリエト
プロダクションデザイン・衣装デザイン: パン・ライ
音楽: アレクサンドル・デスプラ
出演:
 トニー・レオン 梁朝偉(イー 易)
 タン・ウェイ 湯唯(ワン・チアチー 王佳芝/マイ 麦 夫人)
 ワン・リーホン 王力宏(クァン・ユイミン 祐民)
 ジョアン・チェン 陳冲(イー 易 夫人)
 トゥオ・ツォンホァ 宗華(ウー 呉)
 チュウ・チーイン 朱瑩(ライ・シュウチン 頼秀金)
 チェン・ガーロウ 銭嘉楽(ツァオ 曹、副官)
 クー・ユールン 柯宇綸(リャン・ルンション 梁潤生)
 ガオ・インシュアン 高英軒(ホァン・レイ 黄磊)
 ジョンソン・イェン 阮徳鏘(オウヤン・リンウェン 欧陽霊文/マイ 麦)
 スー・イエン 蘇岩(マー 馬 夫人)
 ホー・ツァイフェイ 何賽飛(シャオ 蕭 夫人)
 ファン・グワンヤオ 樊光耀(チャン 張、秘書)
 アヌパム・カー(ハリド・S・ウディン、宝石店マネージャー)
受賞:
 ヴェネチア国際映画祭
  ■金獅子賞 アン・リー
  ■金オゼッラ賞(撮影) ロドリゴ・プリエト
製作・ジャンル: 中国=アメリカ/ロマンス・サスペンス・戦争/158分

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実在した女スパイをモデルにした短編小説の映画化。

LAST, CAUTION(最後、戒め)かと思っていたら
"ラスト" 違いのLUST(情欲)の方だった。

観ていて意識的には長いとまでは感じないが
3時間近く座っているという肉体的な負担は否めない。

原作は短編であるから、
脚本化する上で冗長的になったとしか思えない。
じっくり描くのがリー監督の持ち味ではあるが
カットできるシークエンスは山ほどある。
特に、前半の学生たちの工作自体なくてもいいし
活かすならば、もっとスピード感を持って走り抜けることだ。

トニー・レオン。
アジア映画に疎い私は、
つい先日観た「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3」以来だが
あの頃より歳とった彼は、
どうしてもガレッジセールのゴリに見えて仕方がない。

どちらかといえば童顔のタン・ウェイ。
綺麗な容姿と小鼻に表われる気の強さ、
適役を得て女工作員を好演している。

性愛をモチーフにしているという割には
多少SMチックなだけで、特質すべき側面を持たない。
演出的にも、性愛が主なのか、サスペンスが主なのか、
はたまた報われぬ愛を描きたかったのか、曖昧にしている元凶だ。

ベッドにイーの影が映るラストカットは、リー監督らしい締めだが、
本当に処刑されてお終いだとは思わなかったので、あっけなかった。

あれで終わりなら尚更だが
スリルの不在に加え
サスペンスもほとんどと言っていいほどないのは
抗日組織弾圧の具体的な行動側面が描かれていないからだ。
つまり、イーの仕事の顔が見えないことにある。

またチアチーも、一度だけ
ウーに向かってイーとの性愛に対する不満をぶちまけるものの
基本的には忠実な抗日の志としてしか描かれない。

主人公2人が互いの間で黙して語らないのは構わないが
観客に対しても黙されては、伝わらない。
クァンの恋情描写も弱く、同志たちの間のドラマもなし。
無駄に分厚くなった台本に問題ありと見る。

敬愛するアン・リー監督の作品だが、
情感でまとめることすら出来なかった本作は評価できない。

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『たまゆらの女』 [アジア映画]

「たまゆらの女(ひと)」(2002)★★☆☆50点
原題: ZHOU YU'S TRAIN(周漁的火車)
監督・製作・脚本: スン・チョウ
製作: ビル・コン、ホアン・ジャンシン
製作総指揮: ハン・サンピン
原作・脚本: ベイ・チュン
脚本: チャン・メイ
撮影: ワン・ユー
美術: スン・リー
編集: ウィリアム・チャン
音楽: 梅林茂
出演:
 コン・リー(周漁(チョウユウ)/秀(シュウ))
 レオン・カーフェイ(陳清(チェンチン))
 スン・ホンレイ(張強(ヂャンチャン))
 チャッチャー・ルチナーレン(リン)
 ワン・スーユエン(リンの母)
 ソー・ヤッライ (インイン)
製作・ジャンル: 中国/ロマンス・ドラマ/93分

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目が大きくないが艶っぽさを感じさせるコン・リーみたいな人こそ
アジア美人といわれる人なんだろうなあ。

まっすぐに貫く車内の通路、線路と走り抜ける車輪の音、
そこに挟み込まれる過去の出来事。
そういった電車がらみの描写をはじめ、
地名しか登場しない "仙湖" という夢のような象徴、
片道10時間も汽車に揺られて通う重慶の美しい景観。
(殊に、河とロープウェイ、重慶の景色には引き込まれる)
詩人の詩で始まり、同じ詩で終わるこの映画。
監督は作品そのものを一大恋愛詩にしたかったのだろう。

その意味では、詩的な舞台を背景に
彼女の見目の美しさや色気と
売れない詩人を演じるレオン・カーフェイの
頼りなげな持ち味が生きている。

落としどころの見えない男女の情愛。
ドラマチックなプロットを好む人には、ヒットしない作品でもある。

舞台俳優である私からすると
映画ならではの、景観の視覚化が生み出す淡い詩情の広がりに
憧れを感じる好きなタイプの作品。
ただ、チベットへ去ってからの全く陳清の描写が欠落しているため
秀が陳清を訪れるラストには情感すら感じられないのが残念。

陳清の昔の女と今の女。
コン・リーは周漁と秀の2役を演じるが
オバさんパーマみたいな髪型にしてまで演じさせる必要があったか
非常に疑問。
むしろ、まったく別の女性が演じた方がいいと感じた。

終わりよければすべてよし的な見方をすることが多い私には
……ん~

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『恋人たちの食卓』 [アジア映画]

「恋人たちの食卓」(1994)★★★★☆80点
原題: 飲食男女(YIN SHI NAN NU)
     (英語名:EAT DRINK MAN WOMAN)
監督: アン・リー
製作: シュー・リーコン
脚本: アン・リー、ジェームズ・シェイマス、ワン・ホイリン(王蕙玲)
撮影: ジョン・リン(林良忠)
音楽: メイダー
出演:
 ラン・シャン、郎雄(チュ氏、老朱)
 ヤン・クイメイ、楊貴媚(チアジェン、家珍)
 ウー・チェンリン、呉倩蓮(チアチェン、家倩)
 ワン・ユーウェン、王渝文(チアニン、家寧)
 シルヴィア・チャン、張艾嘉(チンロン、錦栄)
 グァ・アーレイ、歸亞蕾(リャンおばさん、梁母)
 ウィンストン・チャオ、趙文瑄(リーカイ、李凱)
 ルー・チンチョン、盧金城(ミンダオ、明道)
 チェン・チエウェン、陳捷文(レイモン、雷豪)
 チェン・チャオロン、陳昭栄(クオルン、国倫)
製作・ジャンル: 台湾/ドラマ/125分

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アン・リー監督の "父親3部作" 最終章。
3人の娘を持つ料理人の家族。
それぞれの恋愛模様を交え、家族のあるべき形を探っていく。

三女はあっという間に子供をこさえ、学生結婚。
それも、告白した当夜に家を後にする。

長女もキリスト教は厳格かと思いきや
親の承諾もなく結婚して、三女同様、その日に家を出る。

台湾あるいは中国というのは道徳意識が薄いのだろうか。
度々耳にする中国からの低モラルなニュースに象徴されるように
高名な思想家を数多く輩出した中国文化は
今や過去のものといった印象を受けた。

そのように、本土よりも自由主義的な社会と知れば
日本人の私は親近感を抱くことが出来た。

キャリアウーマンを気取り、恋愛にも積極的、
かつ、父親と一番対立していた次女が、最後に一人父親の元に。
愛憎相半ばする、とはよく言ったもの。
どこの国も変わらないのだ。

しかし、お父さんが行く末がああなるとは。
予想外の展開で笑わせてもらった。

ラストシーン。
次女と父、2人というのはいいが
味覚が戻るというのは… とってつけたような。

劇中 "sex and the city" のオープニングテーマが流れる。
ってことは、あれはこの映画のカバー曲ってこと。
それとも、もっと以前に元ネタとなる音楽があるのかな?

カラオケの騒音に悩んだり、
チャゲ&飛鳥 "男と女" を歌うシーンが出てきたり
日本文化は台湾に深く浸透しているのを実感。

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『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2』 [アジア映画]

「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2」(1990)★★☆☆☆30点
原題: 倩女幽魂II: 人間道(SIEN NUI YAU WAN II: YAN GAAN DO)
    A CHINESE GHOST STORY II(英語)
監督: チン・シウトン
製作: ツイ・ハーク
脚本: ルン・ユー・ミン、ラム・ケイ・タオ、ロー・タイ・モ
撮影: アーサー・ウォン
出演:
 レスリー・チャン(ニン・ツォイサン、寧采臣)
 ウー・マ(イン・チェッハー、燕赤霞)
 ジョイ・ウォン(チュン・チンフォン、傳清風)
 ミシェール・リー(チュン・ユッチー、傳月池)
 ジャッキー・チュン(チーシャウ・ヤッイップ、知秋一葉)
 ラウ・シウミン(チュン・ティンジウ、傳天仇)
 ワイズ・リー(ジョー隊長、左千戸)
 ラウ・シュン(フードウジーホン大師、普渡慈航)
受賞:
 アボリアッツ・ファンタスティック映画祭
  ■SFX賞
製作・ジャンル: 香港/ホラー・ファンタジー/103分

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"バリバリオ" というヤッイップの呪文が耳について離れない。
私も術を使えそうな気になる。

ヒロインのチンフォンが妖怪に変身してしまう設定。
陽気を吹き込んであっという間に人間に戻してしまうのではなく
もっと引っぱって、彼女を助けるための奮闘ぶりを描く方がいい。
妖怪と化したチンフォンを泣く泣く殺さざるを得ない流れになれば
別れの結末もより切なくなるのに。
ただ嫁いだヒロインがヒーローを追って逃げてくるだけでは
何ともつまらない。

Part 3はまだ観ていないし筋も知らないが
もしや次回作のための伏線?
となると、
前半の妖怪のエピソードでチンフォンが殺されないのは
そのまた伏線?

妖怪が2体、術を使って妖怪と戦う役どころが2人。
その上、最後は前作に登場したイ道士が解決の運びになるなら
なおさら登場人物が余分に思えてくる。

狼に襲われんばかりのときに
悠長にキスしてる場合じゃないだろう。
同じラブシーンを挿入するにしても、
状況の緊迫感を利用してほしい。
あまりに考えのなさすぎる演出だ。

ヤッイップの末路はちょっと笑ってしまった。

最後の馬上シーン。
いくらアフレコだからといっても
合わなさすぎで、モノローグかと思うくらい雑なアテ方。

スターを使ったヒット作の続編、
製作費がないわけじゃあるまいに。
監督のプロフェッショナリズムを疑う。

『砂時計(モレシゲ)』 [アジア映画]

「砂時計(モレシゲ)」(TV)(1995)★★★★90点
演出: キム・ジョンハク
脚本: ソン・ジナ
出演:
 チェ・ミンス(パク・テス)
 パク・サンウォン(カン・ウソク)
 コ・ジョンヒョン(ユン・ヘリン)
 イ・ジョンジェ(ペク・ジェヒ)
 チョン・ソンモ(イ・ジョンド)
 パク・クニョン(ユン・ジェヨン会長)
 キム・ビョンギ(カン室長)
 ナム・ソンフン(チャン・ドシク)
 チョ・ミンス(ソニョン、ウソクの妻)
 イ・ドゥイル
 イム・ヒョンシク
製作・ジャンル: 韓国/ドラマ・歴史・ロマンス/全24話

砂時計 DVD-BOX 1








韓国のTVドラマ。
全24話、月~木の週4で放送された
SBS光復{クァンボク}50周年特別企画。

1話 テスとウソク
2話 気の強い女
3話 パパ助けて
4話 3人の友情
5話 それぞれの道
6話 激動する時代
7話 光州事件・前編
8話 光州事件・後編
9話 心の傷
10話 テスとヘリン
11話 地獄
12話 見えない先行き
13話 訣別
14話 テスの逆襲
15話 会長召喚
16話 転落
17話 ヘリン対テス
18話 検事の妻
19話 新社長の窮地
20話 策略
21話 逮捕
22話 罠
23話 最後の逢瀬
24話 裁判

各話のタイトル見ただけで、愛憎劇と知れる。
かなり史実を絡めた作りになってる。
それがこのドラマを観ることになったきっかけ。

当時韓国では、このドラマ観たさに街から人や車が消え
サラリーマンの帰宅時間を早め
「砂時計」ならぬ「帰宅時計」と呼ばれたらしい。
最高視聴率64.5%(歴代3位)を記録。
製作期間1年、制作費約1億5千万ウォン。
脚本のソン・ジナは女性作家。

やっぱり同じアジアで隣の国、日本人に顔が似てる人が多い。
目立った役をちょっと挙げてみる。

主役の3人
 チェ・ミンス: 体格のがっしりした男くさい西村和彦
 パク・サンウォン: ハスに気取った寡黙なくりーむしちゅー上田
 コ・ジョンヒョン: この人に似てる人は思いつかない

脇役たち
 イ・ジョンジェ: シャープなビシバシステムの住田隆
 チョン・ソンモ: 具体的に浮かばないが、昭和の悪役って感じ
 パク・クニョン: ちょっとエラ張りの天地茂
 キム・ビョンギ: パーツが中央に集中した佐々木勝彦
 ナム・ソンフン: いそうでいない、やっぱこの人は韓国人って顔
 チョ・ミンス: 小顔の岸本佳世子

コ・ヒョンジョンはこの作品を最後に結婚・引退したが
離婚を期に芸能界に復帰したとのこと。

昔観た、田村正和・高橋恵子・古谷一行主演のドラマ
『過ぎし日のセレナーデ』を思い出した。
男2人・女1人の愛憎ドラマという以外に共通項はないのだが…


演出的にはかなり古~いって印象。
ヒーローが登場するところなどは
裕ちゃん主演の往年のにっかつ映画みたいなBGMがかかる。
そいでもって、引っ張る引っ張る、引っ張る~~
スローすぎだろ、長すぎだろ、と突っ込みたくなる。

好きだったシーンとしては
ドラマも終盤、
ヒーローとヒロインが最後の一夜を共にしての明け方の別れ。
美しかった。(ここでもやはり、BGMは古く感じられたが)

笑えたのは
悪党も追い詰められると「オモニ~~(母ちゃ~~ん)」と叫ぶこと。

それにしても、ヒーローの詰めの甘さで、またまた引っ張る。
クライマックスでは一々ためる、ためる。

死刑に向かうチェ・ミンス。
ヒーローなのだから、鼻毛くらい切っておいてほしい。

へえ~っ思ったのは
検事が死刑に立ち会うこと(現実とは違うのかも)。

遺言を伝えるシーン、顔近すぎ。
大の男2人が5cmくらいまで顔を近づけることってない。
いくらテンション上がっても。

全部で23時間近くの大河ドラマのラストもラスト。
「先立った友は言った」「その後、どう生きたかだ。それを忘れるな」
ウソクが語る、このモノローグの言葉はとても心に染み入った。

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー 』 [アジア映画]

「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー 」('87)★★★★☆75点
原題: 倩女幽魂(A CHINESE GHOST STORY)
監督: チン・シウトン
製作: ツイ・ハーク
脚本: ユエン・カイチー
撮影: プーン・ハンサン、サンダー・リー、ウォン・ウィンハン、トム・ラウ
音楽: ロメオ・ディアズ、ジェームズ・ウォン
出演:
 レスリー・チャン(ニン・ツォイサン、寧采臣)
 ジョイ・ウォン(シッ・シウシン、聶小倩)
 ウー・マ(イン・チェッハー、燕赤霞)
 ラム・ウェイ(ハーハウ、夏侯兄)
 ラウ・シウミン(ロウロウ、姥姥)
受賞:
 アボリアッツ・ファンタスティック映画祭
  ■審査員特別賞
  ■心臓に一撃賞
製作・ジャンル: 香港/ホラー・ファンタジー/93分

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー [DVD]








ジョイ・ウォンが美しい幽霊を、
そして、
若き日の尾美としのりを思わせるL・チャンが純朴な書生を
それぞれ好演。

イン導士が歌いながら剣術の練習をするシーンは
あまりに唐突で、思わず噴出してしまったが
泣きながらツォイサンに協力を約束する姿もそうだが
インの心優しい人柄が存分に伝わってくる。

相手が幽霊だから
ハッピーエンドになっても、2人は結ばれないのだろう
と思って観ているから切なさを抱えっぱなしだ。

映画とは無関係だが
主人公を演じたレスリーは
46歳の若さで自殺してしまったかと思うとなお切ない。

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