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『シン・ジョーズ』 [洋画(サ行)]

「シン・ジョーズ」(2016)★☆☆☆☆20点
原題: Saltwater
監督: A.B. ストーン
製作: アンジェラ・メレディス・ファースト、スティーブン・ファースト
製作総指揮: スティーブン・ファースト、グリフ・ファースト
脚本: スコット・フォイ、グリフ・ファースト、ジャック・スナイダー
撮影: ドン・E・フォントルロイ
美術監督: ジェイミ・ボーン
編集: スティーブン・フェイル
出演:
 レイチェル・ブルック・スミス(ジーナ、ライフガード)
 ボビー・カンポ(カプラン、ライフガード)
 ジェフ・フェイヒー(ロトガー、船長・ジーナの父)
 イザイア・ラボーデ(トロイ、ネット動画スタッフ)
 マライア・ボナー(フェリス、ネット動画スタッフ)
 アダム・アンブルーゾ(リース、ライフガード)
 カイリー(ジェシカ・ケメジュク、ライフガード)
 デヴィッド・ファウスティーノ(フレッチャー、ライフガード)
 グリフ・ファースト(スキップ・フォルテ、グルメ番組MC)
 ジェイク・チアソン(バッキー)
 マット・チアソン(ヘンリー・ウォレス)
 ニキ・スーホー(エリカ)
 メイジャー・ドッヂ
製作・ジャンル: 米国/パニック・アクション/85分
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原題は "Saltwater"、海水を意味する。
"Atomic Shark" を原題としている映画データベースやテレビの番組情報もあるが
これは、同年公開の "Atomic Shark" という別映画との混同から生じた誤り。
本作品に関しては、"Atomic Shark" は宣伝に用いられたサブタイトルにすぎない。
邦題は『シン・ゴジラ』と『ジョーズ』をもろパクリ。

ライフガードたちが主人公のパニック映画だが
ひと言で言えば、パニックものとしては愚作も愚作。
サスペンスも恐怖もほとんどなく
首をすくめて体を強張らせる瞬間は皆無と言っていい。

水着の美女を鑑賞したい男性陣には
カイリーが襲われる中盤まで観てみれば、ってくらい。
そうそう、突っ込み担当の芸人さんにとっては
格好の練習用ビデオになるんじゃないかな。


中身に触れていこう。

波間に現れる真っ赤な背びれ。
冷水で鍛えられる刀のごとく、湯気を上げながら
静かに海中を進んでいく。
人喰いザメは放射能を浴びて泳ぐ原子炉化していた。
のちに、サメは陸に上がると
臨界点に達して爆死するということが判明する。

序盤は
次々と海水浴客たちが襲われたり
焼け焦げた魚が浜に打ち上げられたり
と、まあまあパニック映画然とした入り。

イルカをサメと間違えて
遊泳者たちを避難させ、何とも気まずい雰囲気になるが
すぐに思い浮かべるのは、童話の「オオカミ少年」。
狼が来たと再三嘘をついて村人たちを振り回し
本当に狼が来た時に自らが犠牲者になってしまう。
このパターンを何かしら活かしてストーリー展開するのかな
と思ったが、すっかり肩透かし。

突如海中から飛び出してきたサメが
サーカスのライオンよろしく、燃えるホースの火の輪をくぐり
フライボードを楽しむ男の頭を喰いちぎるシーンはなかなか。
一方、撮影クルーやボートも大炎上するほどの大事件なのに
その後、大騒ぎになる様子もなく…

溺れたふりをして
ライフガードのカイリーから
人工呼吸のキスをまんまとゲットする少年の件。
少年とカイリーが同時に襲われる前振りとしては
結構出来た挿話だと思うが、
犠牲になる画が全然グロくないので、全く恐怖を感じない。

カプランをクビにし、サメの存在を信じないリースは
型通りのヒール役で期待を裏切らない。
なのに、このリースが犠牲となる瞬間が
アッサリしすぎてる上に、引きの画ってどういうこと?

臨場感たっぷりのリアルな襲われ方こそ
パニック映画の醍醐味の一つと思うのだが
ここに注力していないのは、B級映画ゆえの予算不足から?
カイリーやリースは間違いなく襲われるだろう、
ほとんどの人がそう思いながら観ているのだから
拍子抜けしてしまい、何にも残らない。
ただただもったいない。

グルメ番組の有名MC・フォルテが
レストランにやってくるあたりから
作品のコンセプトがスッチャカメッチャカになり
突っ込みどころが急増してくる。

フォルテが風船のごとく膨れて爆死するのは
笑わせたいんだろうなあ、きっと。
失笑だし、こういったシーンを組み入れた時点で
パニック映画の看板を下ろしたと言わざるを得ない。

以降は、おかしなところ山積なので
目立った点だけ端的に列挙する。

トロイの死で、フェリスが怒りからジーナを襲うが
その様が狂気と言うか、唐突と言うか。
おそらく恋人であろうトロイを失っての行為とは推測するが
トロイの乗るボートに移らせてもらえなかったことが
逆恨みの要因なのだろうが、
そもそもあそこまで執拗にボートに移りたがる意味が不明。

フェリスが船内で一瞬で犠牲となり、船が燃え出す。
ジーナはクルーザーを離れながら
すぐにボートを出すよう告げるが、
それに対して、誰一人
まだ船内にはフェリスがいるんじゃないかと訊ねない。
フェリスが犠牲になったことも、船に火が付いたことも
船外からはうかがい知れないというのにである。

冒頭で、第一の犠牲を目の当たりにする船長。
彼・ロトガーは主役・ジーナの父。
このフェリスの死の直後に、彼は襲われる。
軽くではあるが、中盤で親子の確執を見せておきながら
あの、父が襲われるシーンは一体何だ?
リースたちの最期がアッサリしすぎだと書いたが
こちらは次元が違いすぎる。
文字通り一瞬の出来事で、唖然とする。
目がテンのなるとはこのことだ。失笑。
何だったんだ、冒頭で強調して
父と娘の確執という解決すべき命題まで掲げておいて。
父であるという設定の必要性ゼロ。

ダイナマイトを手に海に臨んだジーナ。
作戦失敗で海中に取り残されるが
サメが来る前に、少し離れたボートには泳ぎ着けない。
サメの泳ぐ速さと人間のジーナが泳ぐ速さの違いである。
ところが、かなり離れた島へは
サメに追いつかれることなくジーナは泳ぎ着くし、
サメの爆発の影響を逃れるために島を離れる速さと言ったら
あっという間。
そんなに速いんだったら
島に逃れなくても、ボートに逃れること出来たよね?!

酸素ボンベをモーター代わりに
ボートで島から急襲する爆風から逃れようとするのだが
ボンベ2本でなんて、ほんの少しの距離しか走れないはず。
爆風に飲み込まれること必然なのに
簡単に乗り切ってしまうのだ。

前に戻るが
沖でまだサメの脅威に晒されている時に
茶化したラブシーンもどきのやりとりがあるが
クライマックスで、こんな茶番を差し挟む意図は?
要らないだろ?
それとも、最後に二人にキスをさせる振り?
といって
その二人のキスシーンは直前でカットアウトとなり
観る者の目には触れない。
しっかり見せたほうが
その後にホントのラストとして
原潜沈む海底の周りを泳ぐ魚達の脅威も引き立つというもの。


すべて挙げていたらキリがないので、これくらいにしておくが
それくらいツッコミどころ満載の作品。
そういうのが好きだという方は是非一見。

評価は低いが
B級を楽しんだと思えば、時間の無駄とは言うまい。

ちなみに、スタッフ・キャストのクレジットに
同じ苗字が散見できる。
殊、グリフ・ファーストに至っては
製作総指揮、脚本を担当するだけでなく、
滑稽な死に方をするポイントゲッターとして
出演まで果たしている。
低予算からのお友達映画なのかもしれない。
 
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