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『秋日和』 [邦画(ア行)]

「秋日和」(1960)★★★☆70点
監督・脚本: 小津安二郎
製作: 山内静夫
原作: 里見弴
脚本: 野田高梧
撮影: 厚田雄春
美術: 浜田辰雄
衣裳: 杉山利和
音楽: 斎藤高順
出演:
 原節子(三輪秋子)
 司葉子(三輪アヤ子、秋子の娘)
 岡田茉莉子(佐々木百合子、アヤ子の友人)
 佐田啓二(後藤庄太郎)
 佐分利信(間宮宗一)
 北竜二(平山精一郎)
 中村伸郎(田口秀三)
 笠智衆(三輪周吉)
 渡辺文雄(杉山常男)
 沢村貞子(間宮文子、宗一の妻)
 桑野みゆき(間宮路子、同娘)
 島津雅彦(間宮忠雄、同息子)
 三上真一郎(平山幸一、精一郎の息子)
 三宅邦子(田口信子、秀三の妻)
 田代百合子(田口洋子、同娘)
 設楽幸嗣(田口和男、同息子)
 岩下志麻(受付社員)
 桜むつ子(佐々木ひさ、百合子の継母)
製作・ジャンル: 松竹//128分

秋日和 [DVD]








冠婚葬祭を題材にしつづけた小津作品の一つ。
原節子が歳をとり、
一軒家がアパートに、モノクロがカラーに変わっても
小津テイストは変わらない。

みんな秋子が好きなのに、妻に対して
何かといえば "それは俺じゃない、○○だ" と悪友の名前を挙げる。
挙句、お見通しの妻に突っ込まれて白状してしまう。
面白くも悲しいかな、男の性(さが)。

結婚する友の乗った列車を屋上から見送りながらの
"友情が結婚までの繋ぎだとしたら詰まらないわ"
という百合子の発言は
古今・男女を問わずに共通したテーマじゃないだろうか。

その一方で
間宮、平山、田口の不良オヤジ3人組は旧交いまだ厚く
男連のやりとり・駆け引きはなかなか愉快だ。
特に、秋子との再婚について息子の賛同を受けた平山が
すっかりのぼせてしまう姿は滑稽で面白い。

今ならセクハラまがいと言われるだろうが
ガールズトークならないオールドボーイズトークとしては
ごくごく普通のことだ。

昔の友より今の友、友人よりも家族
健全な姿だと思うが、
歳をとり後ろを振り返ることが増えてくると、一抹の寂しさを覚える。

小津は「晩春」同様に、
主役のアヤ子に、親の再婚を "不潔だ" と言わせている。
男親でなく、女親に対してだから
"エレクトラ複合" とは呼べないが
このこだわりは、
小津自身の結婚観・親に対するコンプレックスの反映
と捉えることができる。

物をはっきりと口にする百合子が
オヤジたちをすっかり手の内に納め
平山を、"君" 付けから "あんた" に格下げしてしまうさまは痛快。
眉の下がった北竜二の面は、
出汁に使われる平山のキャラにぴったりだ。

「晩春」「東京物語」そしてこの「秋日和」
最後に一人残される身は、言い知れず寂しい。

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『THE 有頂天ホテル』 [邦画(ア行)]

「THE 有頂天ホテル」(2006)★★★★☆80点
監督・脚本: 三谷幸喜
製作: 亀山千広、島谷能成
プロデューサー: 重岡由美子、小川泰、市川南
エグゼクティブプロデューサー: 石原隆、佐倉寛二郎
撮影: 山本英夫
美術: 種田陽平
音楽: 本間勇輔
照明: 小野晃
録音: 瀬川徹夫
出演:
 役所広司(新堂平吉、ホテル副支配人)
 松たか子(竹本ハナ、ホテル客室係・武藤田の元愛人)
 香取慎吾(只野憲二、ベルボーイ)
 伊東四朗(二階堂源一、ホテル総支配人)
 戸田恵子(矢部登紀子、ホテルのアシスタントマネージャー)
 生瀬勝久(瀬尾高志、ホテル料飲部副支配人)
 川平慈英(丹下二郎、ホテルのウェイター)
 堀内敬子(野間睦子、ホテル客室係)
 石井正則(蔵人、ホテル探偵)
 オダギリジョー(右近、ホテルの筆耕係)
 不破万作(森、ホテルのリネン係)
 相島一之(駐車場の誘導係)
 清水ミチコ(館内アナウンスの声)
 佐藤浩市(武藤田勝利、国会議員)
 浅野和之(神保保、武藤田の秘書)
 篠原涼子(ヨーコ、コールガール)
 角野卓造(堀田衛、マン・オブ・ザ・イヤー受賞者)
 原田美枝子(堀田由美、衛の妻・新堂の元妻)
 津川雅彦(坂東健治、大富豪)
 近藤芳正(坂東直正、健治の息子)
 麻生久美子(小原なおみ)
 西田敏行(徳川膳武、演歌歌手)
 梶原善(尾藤、徳川の付き人)
 唐沢寿明(赤丸寿一、芸能プロ社長)
 YOU(桜チェリー、シンガー)
 寺島進(ホセ河内、スパニッシュマジシャン)
 奈良崎まどか(ボニータ、河内のアシスタント)
 池田成志(オイリー菅原、ダンサー)
 田中直樹
 八木亜希子
製作・ジャンル: 日本/ドラマ・コメディ/136分

THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション [DVD]








モチーフにしている「グランドホテル」とはかなり違うが
それぞれの色が面白く浮き出た群像劇。

三谷ドラマのファンだが、
三谷映画を面白いと思ったことはなかった。
しかし、この作品はしっかり楽しんだ。

佐藤浩市演じる武藤田の
"俺はもう一回死んでいる" という台詞は笑えた。

オダギリ・ジョーは、メイクもあるだろうけど目立たない。
こういうときにこそ、役者の存在感や技量が試される。
残念ながら、この映画ではNGだ。

YOUはさすが元歌手、
自分のキャラクターも生かしてチャーミングな歌を披露する。

近藤芳正の特殊メイクや唐沢の扮装(特に、ヘアメイク)などは
ああいった奇を衒った趣向はまったく不要。
むしろ邪魔、汚点と言っても過言ではない。

香取も非人間以外を演じるなら、
年齢的にも性格的にも、こういった等身大の役どころがいい。

四季出身の女優・堀内敬子を今まで知らなかったが
実に味のない女優だ。
川平とせっかくおいしいカップルを振られているのに
何も伝わってこない。
完全なミスキャスト。

役所、戸田といった器用な役者
安定味のある佐藤、浅野
演技派の角野、原田
こういった俳優陣を中心に据えたことが成功の理由だろう。

惜しむらくは
舞台の中心にいる伊藤四郎を活かしきれていないこと。

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『ALWAYS 続・三丁目の夕日』 [邦画(ア行)]

「ALWAYS 続・三丁目の夕日」(2007)★★☆☆50点
監督: 山崎貴
製作: 三浦姫、亀井修、島谷能成、平井文宏、島本雄二、西垣慎一郎、大月昇、島村達雄、高野力
プロデューサー: 安藤親広、山際新平、高橋望
エグゼクティブプロデューサー: 阿部秀司、奥田誠治
原作: 西岸良平『三丁目の夕日』
脚本: 山崎貴、古沢良太
撮影: 柴崎幸三
美術: 上條安里
編集: 宮島竜治
音楽: 佐藤直紀
音響効果: 柴崎憲治
主題歌: BUMPOFCHICKEN『花の名』
VFX: 山崎貴
VFXディレクター: 渋谷紀世子
照明: 水野研一
装飾: 龍田哲児
録音: 鶴巻仁
出演:
 吉岡秀隆(茶川竜之介)
 須賀健太(古行淳之介)
 小雪(石崎ヒロミ)
 堤真一(鈴木則文)
 薬師丸ひろ子(鈴木トモエ)
 小清水一揮(鈴木一平)
 堀北真希(星野六子)
 小日向文世(川渕康成、王手興産社長)
 小木茂光(佐竹幸弘、川渕の秘書)
 平田満(鈴木大作)
 小池彩夢(鈴木美加)
 浅野和之(松下忠信)
 もたいまさこ(大田キン)
 三浦友和(宅間史郎)
 マギー(丸山精肉店)
 温水洋一(吉田サイクル)
 神戸浩(郵便屋)
 ピエール瀧(氷屋)
 吹石一恵(山村先生)
 福士誠治(牛島)
 渡辺いっけい(大橋)
 手塚理美(梅子)
 貫地谷しほり
 上川隆也
製作・ジャンル: 日本/ドラマ・ファミリー/146分

ALWAYS 続・三丁目の夕日[DVD豪華版]








高度成長期の昭和を描いたほのぼの作品のシリーズ2作目。
ただし、2匹目のドジョウはかなりの小もの。

とにかく、詰め込みすぎな印象。
個人的には、美加のストーリーだけで十分だった。

とはいえ、私を含め
前作を観ている人の関心は茶川とヒロミの行く末。

変な小細工なしにストレートに描くのは嫌だったのだろうか?
茶川が芥川賞を取れないのも
浅野和之が登場した瞬間に、これは詐欺だということも
ヒロミが戻ってくることも
川渕が最後には折れることも
みんなみんな読める展開。
純情ドラマなのだからこねくり回す必要もない。

だからこそ、観客は期待通りに感動を求めているのだ。
カタルシスに飢(かつ)えているのだ。

一つ一つ置きにいっているので、ただただ冗長的。
特にクライマックス、
茶川が淳之介に別れを告げようとするシーン。
淳之介をわざわざ通りに引っ張り出す意味は?
さらに路地に出てからも、ひとくだりあった後
またわざわざ路地に平行に対峙しなおす。
もうこれは、
話の途中に路地の奥からヒロミが登場するのがバレバレだ。
淳之介を呼びつける所からヒロミ登場まで
テンポよくあっという間に展開すれば、
たとえば、時間的にも今の4分の1、5分の1くらいで進行すれば
余計な想像をする必要もない。
ホラーなら引っぱった方がスリルを増幅できることもあるが
センチなカタルシスは一気に畳み掛けなければ生まれはしない。
助走ばかり長くて、
観客は、踏み切り板からジャンプする前に疲れてしまうのだ。

画(え)的にも同じベタなら、
土間で説得にかかっている所へ
寅さんの帰宅みたいに、
戸口の向こうにヒロミが戻ってくる方がいい。

鈴木家が見つめる東京タワーからの夕日。
期待通り、直接的なショットでなく、
展望室の窓ガラスに反射して映る
間接的な夕日を撮ってくれて嬉しい。

これがラストカットになってほしいところだが
あくまで感傷的なこの映画では
茶川一家が夕日を見るカットで終わり。
泣けなかった。

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『ALWAYS 三丁目の夕日』 [邦画(ア行)]

「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005)(再)★★★★90点
※(再):私が以前に観たことのある作品
監督: 山崎貴
製作: 高田真治、亀井修、島谷能成、平井文宏、島本雄二、西垣慎一郎、中村仁、島村達雄、高野力
プロデューサー: 安藤親広、高橋望、守屋圭一郎
エグゼクティブプロデューサー: 阿部秀司、奥田誠治
原作: 西岸良平『三丁目の夕日』
脚本: 山崎貴、古沢良太
撮影: 柴崎幸三
美術: 上條安里
音楽: 佐藤直紀
音響効果: 柴崎憲治
主題歌: D-51『ALWAYS』
VFX: 山崎貴
VFXディレクター: 渋谷紀世子
照明: 水野研一
装飾: 龍田哲児
録音: 鶴巻仁
出演:
 吉岡秀隆(茶川竜之介、"文学")
 須賀健太(古行淳之介)
 小雪(石崎ヒロミ)
 堤真一(鈴木則文)
 薬師丸ひろ子(鈴木トモエ)
 小清水一揮(鈴木一平)
 堀北真希(星野六子)
 三浦友和(宅間史郎)
 もたいまさこ(大田キン)
 温水洋一(吉田、自転車屋)
 小日向文世(川渕康成、王手興産社長)
 小木茂光(佐竹、川渕の秘書)
 マギー(丸山、精肉店)
 木村祐一(電気屋)
 ピエール瀧(氷屋)
 神戸浩(郵便配達)
 飯田基祐(中島巡査)
 麻木久仁子(宅間の妻)
 石丸謙二郎(静夫)
 奥貫薫(古行和子)
 松尾貴史(不動産屋)
 益岡徹(劇場支配人)
製作・ジャンル: 日本/ドラマ・コメディ/133分

ALWAYS 三丁目の夕日 豪華版 [DVD]








扇風機の前で声を出して震わせてみたり
冷蔵庫に顔突っ込んだり
子供も大人も無垢だった戦後間もない日本の姿が美しい。

盗作されたアイデアを
小説にしてくれたからと言って喜ぶ純真さにジーンとくる。

高円寺から帰ってきた一平と淳之介。
鈴木オートが一平を殴るより先に淳之介を殴る "文学"、
作者の狙いだと分かっていても、
すっかり情が通じている2人がいいなあと思う。

床に就いた一平が
母が縫い付けておいてくれたお守りに感謝するシーン。
戦争で妻子を亡くしている宅間が
サンタ役を引き受けたことを噛みしめるように喜ぶシーン、などなど。
何気ないが、グッと涙が出てくる場面が満載だ。

私はかねがね、小雪を美人だが幸薄顔だと思っている。
こういう役こそピッタリ。

原作に引きずられてか、
ちょっと漫画チックなのが、時々気になるが
昔の日本を懐かしがるだけでなく
人間の優しさを信じたくなる素敵な作品だ。

縁もゆかりもない人たちの間には愛がある。

最後に皆が見上げる夕日と東京タワー。
スカイツリーができつつある現代、
その先に希望ある未来は見えるだろうか。

残念なのは、
安直な主題歌があっという間に胸の熱さを覚ましてしまうこと。

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『暗黒街の対決』 [邦画(ア行)]

「暗黒街の対決」(1960)★★★☆70点
監督: 岡本喜八
製作: 田中友幸
原作: 大藪春彦
脚本: 関沢新一
撮影: 山田一夫
美術: 阿久根厳
音楽: 佐藤勝
出演:
 三船敏郎(藤丘三郎)
 鶴田浩二(村山鉄雄)
 司葉子(サリー)
 河津清三郎(大岡久三郎、大岡組組長)
 中丸忠雄(柴田)
 堺左千夫(お不動吉)
 牧野児郎(タンバ)
 岩本弘司(富田)
 田崎潤(小塚音吉、小塚組組長)
 平田昭彦(天堂進、大岡組弁護士)
 天本英世(市野)
 若松彰(二川)
 高木弘(三田)
 ミッキー・カーティス(杉野、殺し屋)
 佐藤允(弥太)
 中山豊(ター公)
 小杉義男(大久保署長、荒神署)
 中谷一郎(望月次席、荒神署)
 夏木陽介(三宅警官、荒神署)
 村上冬樹(警視庁部長)
 堤康久(警視庁課長)
 山本廉(岩井村記者、東朝新聞)
 北あけみ(マリ、アルバイト売春婦)
 浜かおる(ヒロミ、ストリッパー)
 沢村いき雄(矢田、芸能ブローカー)
製作・ジャンル: 日本/アクション・サスペンス・ドラマ/95分

暗黒街の対決 [DVD]








てっきり、三船敏郎と鶴田浩二が対決するのかと思った。
暴力団同士の抗争に私怨を絡めたアクション物。

着ながし姿の組長を頭に土着の土建屋が本体の小塚組。
対する大岡組は
バー "青い猫" を経営し悪徳弁護士や黒ずくめの殺し屋を擁する。
欧米風ボス vs. 純和風親分、大(岡)vs. 小(塚)の対照。

藤丘がトラックで村山を救い出すシーン。
エンジンをかける前にハンドルを切っただけで
トラックの位置をカットが切り替わるたびに
完全に横向きだった車体が少しずつ、手前に頭を向けてきて
最後にはまっすぐ手前の大岡組をめがける体勢になっている。
観客は藤丘が救いにくるのを分かって待っているのだから
ああいう小細工はすぐバレる。
動かす必要全くないのに。

殺し屋3人組がバーでトリオを組んで披露する歌は最高。
ここでも天本英世の存在感が図抜けている。
ミッキー・カーチスが
弱っちい殺し屋役で客寄せパンダを務めている。

大岡を撃ったあとに対峙する2人。
"友だち" "友だちか。妙な友だちだな"
というエレベータ内と同じやりとりが再現され
納得してハジキを捨てたと思わせておいて
隙を突いて藤丘を狙ったのだ…
と思いきや、実は背後から藤丘を狙った天堂を。
勘違いした藤丘に撃たれて息を引き取る村山。
これぞ、脚本・演出の妙。

妻と育ての親である親分の仇を背負い
三船への借りを返して仁義を貫く鶴田。
鶴田浩二はこうでなくちゃ。
汚職刑事、
はたしてその実体は暴力団狩りの特命刑事・野口。
どちらもバッチリのキャスティング。
それに対し、司葉子演じるサリーは
キャラクターもポジションも曖昧。
司に女優としての魅力がないせいもあり。

電車の車内のアナロジーで終わるラスト。
胸チラのサービスカット。
結局 "刑事" という正体を明かさずに
丸腰だということを見せるだけで済ますというのも
喜八流ユーモア。

ちょっと気になったのが、"バカ" という台詞の多さ。
流行り言葉だったのかも知れないが
それに代わる気の利いた台詞ならいくらでもあるだろうに。

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『暗黒街の顔役』 [邦画(ア行)]

「暗黒街の顔役」(1959)★★☆☆50点
監督: 岡本喜八
製作: 田中友幸
脚本: 西亀元貞、関沢新一
撮影: 中井朝一
美術: 阿久根厳
音楽: 伊福部昭
特殊技術: 東宝技術部
出演:
 鶴田浩二(小松竜太、横光組幹部)
 宝田明(小松峰夫、クラブ "ランデヴー" の歌手 "エディ")
 三船敏郎(樫村大助、自動車修理工場主)
 河津清三郎(横光、組長)
 平田昭彦(須藤、横光組幹部)
 田中春男(黒崎、横光組幹部)
 佐藤允(五郎)
 草笛光子(リエ、横光の情婦)
 白川由美(菊村純子、愛光園医師)
 市村かつじ(小松真一、竜太の息子)
 柳川慶子(陽子、峰夫の恋人)
 笹るみ子(かな子、食堂店員)
 山本廉(健)
 ミッキー・カーチス(辰)
 夏木陽介(清)
 堺左千夫(市村)
 瀬良明(村上刑事)
 中丸忠雄(下松刑事)
 沢村いき雄(天岸)
 林幹(板金工業社長)
 今泉廉(同秘書)
 天本英世(小山)
製作・ジャンル: 日本/アクション/101分

暗黒街の顔役 [DVD]








私が宝田明を初めて見たのは
東京宝塚劇場『マイ・フェア・レディ』公演だった。
ヒギンス教授を演じていた。
若き宝田の歌っている姿はカッコイイが
年とってから同様、演技は大根。

特に作品的つながりはないが
前作「暗黒街」から3年、鶴田浩二は洋服こそ着ているが
むしろ着物が似合う日本風の任侠役者になっている。
スタイリッシュな平田昭彦やマフィア風の横光に対し
一人、場違いな印象。

三船がこんな泥臭い脇で出演しているのが意外。

売り出し前の佐藤允は押尾学ばりに悪(わる)の存在感十分だが
背伸びしたカッコつけ芝居がいけない。
殺し屋の割には最初から怪我してるし
まともに撃つこともなくあっという間に殺されてしまうなど
台本もその設定のいいかげんさを露呈している。

身ごもった陽子より兄を優先する峰夫、
不具の息子よりボスと対峙して弟を守ることを選ぶ竜太。
兄弟愛しか残らない映画だからこそ
そこまでする兄弟の絆をもう少し深く描いてほしかった。

当時端役ばかりの天本英世に
ついつい目が行ってしまうのは私だけだろうか。

草笛光子美し。

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『おとうと』 [邦画(ア行)]

「おとうと」(1960)★★★☆65点
監督: 市川崑
製作: 永田雅一
企画: 藤井浩明
原作: 幸田文
脚本: 水木洋子
撮影: 宮川一夫
美術: 下河原友雄
編集: 中静達治
音楽: 芥川也寸志
出演:
 岸恵子(げん)
 川口浩(碧郎)
 田中絹代(継母)
 森雅之(父、作家)
 仲谷昇(清水と名乗る、警察署の男)
 浜村純(院長)
 岸田今日子(田沼夫人)
 土方孝哉(中田)
 伊丹十三(鉄工場の息子)
 佐々木正時(鉄工場の息子の親父)
 夏木章(刑事)
 星ひかる(借馬屋)
 飛田喜佐夫(馬子)
 伊東光一(船宿の船頭)
 江波杏子(看護婦宮田)
 穂高のり子(分院の看護婦)
 森矢雄二(友達A)
 横山明(友達B)
 森一夫(友達C)
 篠崎一豊(友達D)
受賞:
 カンヌ国際映画祭
  ■フランス映画高等技術委員会賞 市川崑
製作・ジャンル: 日本/ドラマ/98分

おとうと [DVD]








"銀残し" という技法を世界で初めて取り入れた映画。
最近では「プライベートライアン」にも使われた手法だそうだ。
カラー映像だが、時代がかったくすみを出している。
映画技術的に意義の高い作品。

夜の繁華街のシーンも
光のハレーションを巧みに使った美しい映像となっている。

碧郎がげんに対して
不美人はタらされる、などと言うが
美人の岸恵子を捕まえて何言ってるのって思いだ。

自由気ままな弟と、気の強い姉。
いい歳して取っ組み合いのけんかをする姉弟がおかしい。

起こす約束をして手と手をヒモで結び
碧郎の病床の脇で横になるげん。
そんな2人の仲は見ていてうらやましくなる。
異性の兄弟のいない私は
姉妹がいたらどんなだろうと想像を広げた。

結末に胸が痛くなる。
幕切れが唐突だ。

若き日の故伊丹十三、
私の知っている伊丹と顔つきが全く違っていてビックリした。

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『魚河岸帝国』 [邦画(ア行)]

「魚河岸帝国」(1952)★★☆☆50点
監督: 並木鏡太郎
製作: 野坂和馬、佐野宏
原作: 宮本幹也
脚色: 戸田伊太郎、池俊行
構成: 小国英雄
音楽: 清瀬保二
出演:
 田崎潤 (塚本良介)
 伊藤雄之助 (今川義行、「土佐犬」)
 千秋実 (権田原普門、「和尚」)
 山村聡 (五郎、協和運送社長「帝国」)
 野上千鶴子 (美也子、五郎の娘)
 花柳小菊 (御前崎深雪)
 片山明彦 (御前崎弘、深雪の弟「サイドカー」)
 三條利喜江 (母まさ)
 三原純 (堂宰、協和運送支配人)
 龍崎一郎 (麻川要、記者・塚本の先輩)
製作・ジャンル: 日本/ドラマ/103分

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築地の魚河岸運送会社を舞台にしたモノクロ映画。

跳ね上げ全開の勝どき橋が古き元気な日本を象徴する。

驚くのは
労働者階級である運送会社の雇われ運転手たちが
みんな現代でも違和感のないイカした髪型をしていること。

そして昔の映画は
眉の太い目鼻立ちのはっきりした俳優が多いこと。

山村聡がワンマン社長を演ずるために
徹頭徹尾がなりたてる姿を見るのは初めてだ。

歳いってからの田崎潤しか知らなかったが
若い頃から荒井注に似ている。
いやちょっと顔の大きな志垣太郎、それとも加東健一か。

ずらりと並べられた塚本からの見舞い花に
鼻っ柱の強い深雪の微笑む表情がとても可愛らしい。

深雪に夢中な良介に対し
「私もあなたの車で轢いてもらいたかったわ」
男尊女卑と一蹴する現代にはない、
女のしおらしさを是とする社会だからこそ聞くことの出来る台詞だ。

見舞いのたびに塚本が口にする "義務と責任"。
自由の裏に
この二文字が存在することを現代人は忘れてはいないだろうか。

ラスト、帽子を目深に被らされた良介。
再びオート三輪のハンドルがブレるが
今度は深雪がハンドルを修正して事故にはならない。

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『暗黒街』 [邦画(ア行)]

「暗黒街」(1956)★☆☆☆30点
監督: 山本嘉次郎
製作: 本木荘二郎
原案: 菊島隆三
脚本: 若尾徳平
撮影: 遠藤精一
美術: 阿久根厳
音楽: 團伊玖磨
出演:
 鶴田浩二(庄司隆夫)
 志村喬(古谷恒次郎)
 青山京子(河野弓子)
 宮口精二(岡部)
 三船敏郎(熊田捜査主任)
 杉山昌三九(六郷の鉄)
 小泉博(鈴木敬一)
 岡豊(土屋)
 山田巳之助(手塚)
 桜井巨郎(松尾警部)
 恩田清二郎(銀行支店長)
 堺左千夫(高見)
 大村千吉(チンピラ)
 河崎堅男(あんま)
 根岸明美(安達夏江)
 小野松枝(おたけ婆さん)
 一万慈鶴恵(おかみさん)
 上野明美(喫茶店の女)
 津田光男(古谷組の若い衆)
 手塚勝巳(古谷組の若い衆)
製作・: 日本/サスペンス・任侠/94分

無題.JPG

黒澤が脚本の師と仰いだ山本嘉次郎の監督映画。

歳とってからの鶴田はともかく
この映画のような若き日の鶴田は
端整でシュッとした顔立ちはヤクザと言うよりはいいとこのお坊ちゃん。
むしろ警察側のイメージで、最初は三船と役どころが逆かもと感じた。

だが、淋しい結末を見ると、なるほどと思えるキャスティング。
ただ、鶴田はスターさんだけあって、怯える演技はあまり上手くない。

弓子は "自分のために庄司が撃たれた" と申し訳なく泣き崩れるが
庄司は別に助けるために撃たれたのでなく
兄貴分の反発と親分の女絡みから焼きを入れられただけだ。
ちょっと無理やりだな。

古谷はじめ、組の連中は
庄司をピストルで何発も撃っておいて、殺さないように医者に処置させるのに躍起。
弱腰ヤクザで保身の極み。
実にスケールの小さな話になってしまっている。

ヤクザの対立軸となる警察の三船は
冒頭に紹介程度で顔出しするだけで、3分の2まで登場しない。
さらにその後も、探りと逮捕程度で出番らしい出番なし。
すでに「七人の侍」でスターの地位を不動のものとしていたのに
こんな役で出演するとは意外や意外。

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『浮草』 [邦画(ア行)]

「浮草」(1959)(再)★★★★☆80点
※(再):私が以前に観たことのある作品
監督・脚本: 小津安二郎
製作: 永田雅一
企画: 松山英夫
脚本: 野田高梧
撮影: 宮川一夫
美術: 下河原友雄
音楽: 斎藤高順
出演:
 中村鴈治郎(嵐駒十郎)
 京マチ子(すみ子)
 若尾文子(加代)
 川口浩(本間清)
 杉村春子(お芳、清の母)
 野添ひとみ(「小川軒」のあい子)
 笠智衆(「相生座」の旦那)
 三井弘次(吉之助)
 潮万太郎(仙太郎)
 田中春男(矢太蔵)
 花布辰男(六三郎)
 中田勉(亀之助)
 丸井太郎(庄吉)
 入江洋吉(杉山)
 星ひかる(木村)
 浦辺粂子(しげ)
 伊達正(扇升)
 島津雅彦(正夫、扇升の孫)
 高橋とよ(あい子の母)
 桜むつ子(「梅廼家」おかつ)
 賀原夏子(八重)
 志保京助(両角、郵便局員)
製作・ジャンル: 日本/ドラマ/119分

浮草 [DVD]








とある港町にやって来た旅一座を描く人情物。

冒頭、チラシを配りにきた吉之助に色目を使って
賀原夏子扮する八重が笑いかけるシーンが最高に可笑しい。

アングルに凝る現代映画に見慣れていると
台詞を口にする俳優を真正面から切り取る撮り方が
かえって新鮮に見える。
人間の生き様にまっすぐに向き合おうとする
小津の信条をそのまま反映しているのではないだろうか。

滝のように雨降る路地を挟んで、
駒十郎とすみ子が向かい合わせの軒下で罵り合う構図は
実に小津らしい。

若き日の川口浩が純粋な若者・清を真摯に演じている。
特に、加代との最初のキスシーンにその初心な心情が表れている。

団扇の扇ぎ方がとってもゆったりしているのが
この時代の日本人のゆとりを感じさせる。

スリップ姿で尻を掻く、
スイカを舐めまわしては種を飛ばす、
細かい日常を重ねることで生活感をかもし出す。

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