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『秋日和』 [邦画(ア行)]

「秋日和」(1960)★★★☆70点
監督・脚本: 小津安二郎
製作: 山内静夫
原作: 里見弴
脚本: 野田高梧
撮影: 厚田雄春
美術: 浜田辰雄
衣裳: 杉山利和
音楽: 斎藤高順
出演:
 原節子(三輪秋子)
 司葉子(三輪アヤ子、秋子の娘)
 岡田茉莉子(佐々木百合子、アヤ子の友人)
 佐田啓二(後藤庄太郎)
 佐分利信(間宮宗一)
 北竜二(平山精一郎)
 中村伸郎(田口秀三)
 笠智衆(三輪周吉)
 渡辺文雄(杉山常男)
 沢村貞子(間宮文子、宗一の妻)
 桑野みゆき(間宮路子、同娘)
 島津雅彦(間宮忠雄、同息子)
 三上真一郎(平山幸一、精一郎の息子)
 三宅邦子(田口信子、秀三の妻)
 田代百合子(田口洋子、同娘)
 設楽幸嗣(田口和男、同息子)
 岩下志麻(受付社員)
 桜むつ子(佐々木ひさ、百合子の継母)
製作・ジャンル: 松竹//128分

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冠婚葬祭を題材にしつづけた小津作品の一つ。
原節子が歳をとり、
一軒家がアパートに、モノクロがカラーに変わっても
小津テイストは変わらない。

みんな秋子が好きなのに、妻に対して
何かといえば "それは俺じゃない、○○だ" と悪友の名前を挙げる。
挙句、お見通しの妻に突っ込まれて白状してしまう。
面白くも悲しいかな、男の性(さが)。

結婚する友の乗った列車を屋上から見送りながらの
"友情が結婚までの繋ぎだとしたら詰まらないわ"
という百合子の発言は
古今・男女を問わずに共通したテーマじゃないだろうか。

その一方で
間宮、平山、田口の不良オヤジ3人組は旧交いまだ厚く
男連のやりとり・駆け引きはなかなか愉快だ。
特に、秋子との再婚について息子の賛同を受けた平山が
すっかりのぼせてしまう姿は滑稽で面白い。

今ならセクハラまがいと言われるだろうが
ガールズトークならないオールドボーイズトークとしては
ごくごく普通のことだ。

昔の友より今の友、友人よりも家族
健全な姿だと思うが、
歳をとり後ろを振り返ることが増えてくると、一抹の寂しさを覚える。

小津は「晩春」同様に、
主役のアヤ子に、親の再婚を "不潔だ" と言わせている。
男親でなく、女親に対してだから
"エレクトラ複合" とは呼べないが
このこだわりは、
小津自身の結婚観・親に対するコンプレックスの反映
と捉えることができる。

物をはっきりと口にする百合子が
オヤジたちをすっかり手の内に納め
平山を、"君" 付けから "あんた" に格下げしてしまうさまは痛快。
眉の下がった北竜二の面は、
出汁に使われる平山のキャラにぴったりだ。

「晩春」「東京物語」そしてこの「秋日和」
最後に一人残される身は、言い知れず寂しい。

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