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『力道山』 [アジア映画]

「力道山」(2004)★★★☆65点
原題: RIKIDOZAN
監督: ソン・ヘソン
製作: チャ・スンジェ、ノ・ジョンユン、河井信哉
プロデューサー: キム・ソナ、梅川治男
脚本: ソン・ヘソン
撮影: キム・ヒョング
美術: 稲垣尚夫
出演:
 ソル・ギョング(力道山 "キム・シルラク")
 藤竜也(菅野武雄、建設会社会長)
 中谷美紀(綾、芸子・力道山の妻)
 萩原聖人(吉町譲、力道山のマネージャー)
 鈴木砂羽(沖浜子、女優)
 山本太郎(葛西紘一)
 船木誠勝(井村昌彦、柔道家・レスラー)
 パク・チョルミン(キム・ミョンギル、ホルモン食堂主・力道山の友)
 ノ・ジュノ(キム・イル "大木金太郎")
 秋山準(遠藤幸吉)
 モハメド・ヨネ(豊登)
 武藤敬司(ハロルド坂田、レスラー)
 橋本真也(東浪、横綱・レスラー)
 マイク・バートン(ベン・シャープ、レスラー)
 ジム・スティール(マイク・シャープ、レスラー)
 リック・スタイナー(アトミック)
 仙波和之(二所ノ山親方)
 岩本宗規(田村健一)
 マギー(ニューハバナクラブの司会者)
 岡本麗(中年女性)
 梶原しげる(実況アナウンサー)
製作・ジャンル: 韓国=日本/ドラマ・格闘技・伝記/149分

力道山 デラックス・コレクターズ・エディション [DVD]







"強い者はいつも寂しいものだ
人生は勝負だ"
by 力道山

力道山といえば
"日本プロレスの草分け"、"街頭テレビのスター"
程度の知識しかなかった。

だから当然、この映画の製作発表があるまで
力道山が朝鮮出身だと知らなかった。

相撲界で問題になっているイジメ・虐待が
稽古・修行として当たり前のものだった時代。
それだけでも凄惨な光景が繰り広げられただろうが
人種差別が加わっては生半可でなかっただろうと予想はつく。
差別意識の払拭は、理屈だけで達成できるものではないが
それを暴力に訴えて主張するのは次元の違う話。
力道山の孤独は幾ばかりであったか。

力道山が初めてジムを訪れたときに
ハロルド坂田が、コブラツイストやラリアットを連発する。
近年のプロレス技であるラリアットはおろか、
1951年と言えば、コブラツイストだってあったどうかという時期。
せっかく、現役プロレスラーを起用したのだから
レスラーらしい見せ場を作りたかったのかもしれないが
浅薄なプロレス知識しかない私でさえ疑問に思うのに…

街頭テレビの前を埋め尽くす大衆の熱狂ぶりは圧倒的。
敗戦国日本の復興期に、
国民を熱狂させ活力を与えた英雄であったことが伺える。
国民的スターが実は朝鮮人であったことを
当時の日本人が知っていたら、あの熱狂は生まれただろうか
と想像してみるが、まったく答は出ない。

東浪役・亡き橋本真也のファイトが懐かしい。

ちなみに東浪は第40代横綱東富士、
井村昌彦は悲劇の柔道家・木村政彦、
菅野武雄は新田新作、
吉町譲は吉村義雄、
綾は小沢文子、
葛西紘一は村田勝志
等々、モデルとなった人物とは別名を用いているものが多い。

藤竜也ははまり役を得た。
ヤクザ気質を十分に感じさせ、
力道山の運命におけるキーパーソンを演じきった。

ソル・ギョングが日本語をマスターした努力は
役を引き受けた以上、プロとして当然のもの。
訛りは仕方ないとしても、不明瞭で聞き取れないのは困る。
彼の台詞だって字幕なしで日本上映されるのだから、
日本語指導者が監督に厳しく進言すべき。

「レイジング・ブル」のデ・ニーロ同様に
30キロの増量で臨んだ点は凄い。
これも、"引き受けた以上" と片付けることもできるが
体質も関わってくることだろうから一筋縄ではいかない。
年齢的なこともあるが、私にはマネのできないことだ。

ソル・ギョングは
血の気の荒さと孤独に象徴される力道山を熱演しているが
豪快さが感じられない。
力道山が実際に豪快であったかどうかは分からないが
自分の感情に正直であるがゆえに
ただ敵ばかりを作った小さな男ではなかったはずだ。
俳優本人の生真面目さが出た結果だ。

冒頭に力道山の言葉を挙げたが
本当は
強い者が寂しいのではなく、
寂しいから強くならなければならなかったように映った。

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