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『続・荒野の1ドル銀貨』 [邦画(サ行)]

「続・荒野の1ドル銀貨」(1965)★★★☆☆60点
原題: IL RITORNO DI RINGO(英語題: RINGO RIDES AGAIN/THE RETURN OF RINGO)
監督・脚本: ドゥッチオ・テッサリ
脚本: フェルナンド・ディ・レオ
撮影: フランチェスコ・マリン
音楽: エンニオ・モリコーネ
出演:
 モンゴメリー・ウッド[ジュリアーノ・ジェンマ](モンゴメリー・ブラウン大尉 "リンゴ")
 ハリー・ハモンド[ロレッラ・デ・ルーカ](ヘレン・ブラウン/ハリー・フィッツジェラルド、ブラウンの妻)
 ジョージ・マーティン(パコ・フエンテス)
 フェルナンド・サンチョ(エステバン・フエンテス)
 パハリト[マヌエル・ムニズ](ミオソティス "朝顔")
 ニエヴェス・ナヴァロ(ロジータ)
 アントニオ・カザス(カーソン保安官)
 トゥネト・ビラ(ミンブレノ・アパッチ族の呪医)
 マリア・バーヨ(エレミア・ピット、居酒屋店主)
 ホアン・トーレス(ミンブレスのバーテン)
 ホセ・ハルフィ(墓を暴く盗賊)
 モニカ・スグラネス(エリザベス・ブラウン、ブラウン夫妻の娘)
製作・ジャンル: 伊=西/西部劇/100分

続・荒野の1ドル銀貨 スペシャル・エディション [DVD]








南北戦争帰りのガンマンによる復讐を描いた作品。

邦題からすると「荒野の1ドル銀貨」の続編かと思うが
これは "リンゴ" を主人公にした「夕陽の用心棒(UNA PISTOLA PER RIGO:A PISTOL FOR RINGO:A GUN FOR RINGO)」の続編であることが原題からも分かる。
邦題が「荒野の1ドル銀貨」の続編と謳ったのは
"南北戦争のガンマン" というポイントで重なるからだろうか。
ただし、「荒野の1ドル銀貨」は南軍兵士で
こちらでは北軍の大尉という違いはある。

マカロニ・ウェスタンでスターダムにのし上がった
ジェンマの出演映画のタイトルには
やたらと、"荒野" と "用心棒" という言葉が躍る。

戦争からの帰途にあるリンゴは当初、銀髪である。
それが、故郷の町がメキシコ人に蹂躙されていると聞き
町に現れる時には黒髪となっている。
変装のためだろうが
本来これぐらいでは、
町の住民らは名家のヒーローの顔を見間違えないだろう。

アメリカ人(白人)=正義、メキシコ人=悪という構図は
米国(あるいは西欧)=世界の盟主という現代につながる
アメリカの信条を体現しているように思う(米国製作でないが)。

むやみに先住のアメリカ人を殺すフエンテス兄弟だが
わざわざ葬式に顔を出す殊勝なところもあるのが可愛い。

女好きなエステバンが足繁く通う娼婦ロジータだが
この女性のキャラクターが非常に曖昧だ。
アメリカ人でありがなら、フエンテス一味に日和って生きている。
だから、エステバンを脱獄させるのは理解できるが
彼を逃がせば、住民やリンゴたちに死者が出るのは分かるはず。
保安官が撃ち殺されたのは自分のせいだと嘆くには値しない。

パコの婚約者となってしまったリンゴの妻・ハリー。
過ぎるほど冷静な姿に、リンゴへの愛情があまり感じられない。
リンゴ、ハリー、パコ、三者三様の葛藤・苦悩があってこそ
エンディングが盛り上がるものだが
それぞれが静かすぎてもどかしい。

一味に怯え波風を立てずに暮らす保安官は
酒に走りアル中となっているが
首から垂らしたストールを利用して、
グラスを持つ手が震えるのを抑えるのは面白い発想。
胸を撃たれながらも、息絶えるまで銃を構える姿に気概を感じる。

素っ頓狂に高い声で話す "朝顔"。
アクセントになるキャラクターで、この作品で唯一特筆できる点。
花を愛する男が最後には銃を手にリンゴとともに戦ってしまう。
薬草を提供するインディアンも弓矢で参戦するのだから
三銃士的な盛り上がりも考えられた。
保安官も含めて四銃士でもいいかもしれない。

ダイナマイトを仕込んでいる時には
どんなふうに使うのか分からなかったが、
実際にガンファイトシーンでの使い方を見てなるほどと納得。

利き手を刺され、左手で拳銃の練習を積んだ割には
拳銃よりライフルを多用していて、成果の見せ場が少ないのは残念。

扉の陰に隠れている相手を敵か味方か探りあうシーンは
緊張感もありユーモアも感じる。

例によって、ジェンマの甘すぎる顔に
ガンマン・復讐劇として物足りなさを感じる。

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『砂時計』 [邦画(サ行)]

「砂時計」(2008)★★☆☆50点
監督・脚本: 佐藤信介
製作: 加藤嘉一、亀井修
プロデューサー: 久保田修、武田吉孝
エグゼクティブプロデューサー: 濱名一哉
ラインプロデューサー: 齋藤寛朗
共同プロデューサー: 長松谷太郎
協力プロデューサー: 貴島誠一郎、加藤章一、油井卓也、原田文宏
原作: 芦原妃名子「砂時計」
美術: 斎藤岩男
撮影: 河津太郎
編集: 今井剛
音楽: 上田禎
音楽プロデューサー: 安井輝
主題歌: いきものがかり「帰りたくなったよ」
VFXスーパーバイザー: 古賀信明
録音: 北村峰晴
装飾: 大庭信正
出演:
 夏帆(水瀬杏・中高生時代)
 松下奈緒(水瀬杏・大人時代)
 池松壮亮(北村大悟・中高生時代)
 井坂俊哉(北村大悟・大人時代)
 塚田健太(月島藤・中高生時代)
 岡本杏理(月島椎香・中高生時代)
 伴杏里(月島椎香・大人時代)
 戸田菜穂(植草美和子)
 藤村志保(美和子の母)
 風間トオル(水瀬正弘、杏の父)
 高杉瑞穂(佐倉圭一郎)
 立石凉子(大悟の母)
 赤堀雅秋(大悟の父)
 倉科カナ(朝田リカ、杏のクラスメート)
 ト字たかお(滝田)
 中平良夫
 久我朋乃
製作・配給・ジャンル: 映画「砂時計」製作委員会(=TBS、小学館、東宝、MBS、ドリマックス・テレビジョン、IMJエンタテインメント、電通、CBC)/東宝/ロマンス・青春/121分

砂時計 スタンダード・エディション [DVD]








ドラマ化もされている人気コミックスの映画版。
離婚後欝から自殺した母に一人取り残された娘・杏{あん}が
母の故郷で出会った同級生と育む恋愛物語。

主人公の中高期を演じた夏帆と、その恋人役・池松壮亮がいい。
実年齢を生きる彼らの演技は
生き生きとしており、その表情は実に瑞々しい。
恋人や友の間で悩み、
母の運命を後追いするかのごとき自分の姿に苦しむ様が胸に迫る。

長閑な島根の田舎景色をバックに展開することが
この作品の強みであり
逆を言えば
舞台が都会などであれば、どれほど薄っぺらなものになっていたか。

中高期を演じた若手2人に対し
10年後の成年した主役を務める松下奈緒と井坂俊哉の体たらく。

喜怒哀楽を豊かに表現する夏帆に対し
松下は、例によって終始暗い。
普通に笑っていても悲しく見える顔立ちは
彼女の売りともなる個性なのかもしれないが
それ一本槍では役の広がりも何もない。

片や、大悟役の井坂は
声の張りもなければ、台詞はほぼ棒読み。

タイトルとなる小道具 "砂時計" の
ストーリーや登場人物への心情的絡みが甘い。
描かれる時間もたった10年となれば
砂の粒に例えるほど無数の思いが詰まる歳月とも思えない。

(「誰が?」)「お前、名前は?」「水瀬杏[北村大悟]」「じゃあ、杏[大悟]が」
というやり取りが2人のターニングポイントに交わされるが
これも出会いとラスト2回で十分。
何度も繰り返したところで、ドラマに効いてくるわけでもなく
むしろ、演出の作意が悪目立ちするばかりである。

若者の素敵な恋愛ドラマに出遭った前半とは裏腹に
特に何の感慨もなきラストだった。

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『続・社長洋行記』 [邦画(サ行)]

「続・社長洋行記」(1962)★★★★☆75点
副題: THREE GENTLEMEN RETURN from HONG KONG
監督: 杉江敏男
製作: 藤本真澄
脚本: 笠原良三
撮影: 完倉泰一
美術: 村木与四郎、村木忍
録音: 刀根紀雄
照明: 山口偉治
編集: 小畑長蔵
音楽: 神津善行
出演:
 森繁久彌(本田英之助、櫻堂製薬社長)
 久慈あさみ(本田滝子、英之助の妻)
 中真千子(本田めぐみ、英之助の娘)
 小林桂樹(南明、秘書課長)
 英百合子(南てつ、明の母)
 加東大介(東海林平左衛門、営業部長)
 西条康彦(東海林平一、平左衛門の長男)
 小沢直好(東海林平二、平左衛門の次男)
 三木のり平(中山善吉、営業課長)
 江原達怡(三条河原修司、めぐみの恋人)
 藤山陽子(松野敬子、秘書課員)
 新珠三千代(早坂悦子、"香港亭"・"東京亭" のマダム)
 草笛光子(松原あぐり、銀座小料理屋 "みどり" の女将)
 フランキー堺(坂田、香港在住の日本人エージェント・あぐりの異母兄)
 洪洋(柳宗之、明の大学の後輩)
 尤敏(ユウ・ミン)(柳秀敏、"美麗公司(ビレイ・コンス)" の社長秘書・宗之の妹)
 一万慈鶴恵(東海林家の婆や)
 丘照美(女事務員)
 毛利幸子(女中A)
 内山みどり(女中B)
 桜井巨郎(板前)
 斎藤達雄(宗社長)
 沢村いき雄(すし屋のおやじ)
 河津清三郎(椿家社長)
 緒方燐作(椿家社長秘書)
 松本染升(タイガー公司重役)
 塩沢とき(香港人ダンサーA)
 園田あゆみ(香港人ダンサーB)
 向井正江(香港人ダンサーC)
 清水由記(香港人ダンサーD)
 大友伸(香港亭の客A)
 立原博(香港亭の客B)
 三船敏郎(張、秀敏の婚約者・宗社長の兄)
製作・配給・ジャンル: 東宝/東宝/コメディ/91分

続社長洋行記.jpg

「社長洋行記」の続編で、実質的には本編と言える。

香港に残された、南と東海林による販路開拓は不調。
そこで挽回の立役者として中山に白羽の矢が立つが
夫婦喧嘩から社長が再度出陣することになり、
中山の香港行きはまたまた没に。

正編でも触れたが、尤敏は美しい。
アジア人だが、日本人にはまずいないタイプだ。
当時、日本でもかなり人気が出たにちがいない。

フランキー堺は
彼でなくてもいいような、ただのたかり屋役で、
本筋にもほとんど絡まず至極残念。

新珠演じるマダムは、本田との情事に積極的。
結構、下ネタジョークが多い。
女好きの開花した本田は
商談を優先しては、マダムを袖にしてしまう滑稽ぶり。

そして、マダムの嫉妬を起点に
おしゃべり者の中山が
社長一行は芸者遊びにうつつを抜かしているというデマを撒き散らし
本田の妻、東海林の恋人・あぐり、南に慕う敬子の嫉妬を煽る。
帰国した3人が見舞われる騒動は、本作の見どころ。

「社長清水港」では
小林桂樹の想いの恋心に気づかず、夏木陽介と結婚する藤山は
本作では
逆に小林に想いを寄せて、追いかける立場。
小林が本命に振られて別の恋を見つけるパターンも同じ。
シリーズを追いかけて観ている観客には、これもまた一興。

中国語のジョークも混じるのも面白い。
今時のドラマだと、失笑で終わるボケやダジャレも
キャラクター作りがしっかりされているから、自然に笑える。
森繁・小林・加東はもちろん、
新珠や草笛など女優陣も含めて、その上手さを思い知らされる。

今回香港ダンサーで出演している塩沢とき。
「社長清水港」と比較すると分かるが、着実に太りはじめている。

映画が始まり、出演者クレジットに三船敏郎を見つけて驚いたが
映画を観ているうちに、すっかりそのことを忘れていた。

オーラスでパーティに登場して
クレジットのあったことを思い出したくらいだ。

香港スター・尤敏に、世界の三船をお相手に。
粋なキャスティングである。
"尤敏演じる秀敏の婚約者役のスター俳優は誰か?" なんて
新聞紙上で懸賞クイズにもなったようである。

ところで
シリーズの他作品にも登場するシーンに
社長のそばをハサミで食べやすく切ってやるというのがあるが
これはポピュラーな風習だっただろうか。

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『社長洋行記』 [邦画(サ行)]

「社長洋行記」(1962)★★☆☆50点
副題: THREE GENTLEMEN from TOKYO
監督: 杉江敏男
製作: 藤本真澄
脚本: 笠原良三
撮影: 完倉泰一
美術: 村木与四郎
録音: 刀根紀雄
照明: 山口偉治
編集: 小畑長蔵
音楽: 神津善行
出演:
 森繁久彌(本田英之助、櫻堂製薬社長)
 久慈あさみ(本田滝子、英之助の妻)
 中真千子(本田めぐみ、英之助の娘)
 小林桂樹(南明、秘書課長)
 英百合子(南てつ、明の母)
 加東大介(東海林平左衛門、営業部長)
 西条康彦(東海林平一、平左衛門の長男)
 小沢直好(東海林平二、平左衛門の次男)
 三木のり平(中山善吉、営業課長)
 江原達怡(三条河原修司、めぐみの恋人)
 藤山陽子(松野敬子、秘書課員)
 新珠三千代(早坂悦子、"香港亭"・"東京亭" のマダム)
 草笛光子(松原あぐり、銀座小料理屋 "みどり" の女将)
 フランキー堺(坂田、香港在住の日本人エージェント・あぐりの異母兄)
 洪洋(柳宗之、明の大学の後輩)
 尤敏(ユウ・ミン)(柳秀敏、宗之の妹)
 東野英治郎(加藤、加藤清商事社長)
 伊藤久哉(五島)
 一万慈鶴恵(東海林家の婆や)
 河美智子(田中澄子)
 紅美恵子(田中きち)
 丘照美(女事務員A)
 毛利幸子(女中A)
 内山みどり(女中B)
 桜井巨郎(板前)
 宮田洋容(結婚式場の写真師)
製作・配給・ジャンル: 東宝/東宝/コメディ/89分

社長洋行記 正・続篇 [DVD]








商事会社と決裂した製薬会社の一行が
自ら香港へと販促に乗り出す物語。
正続「サラリーマン清水港」に続く社長シリーズ第14作。

販売する外用薬は、サロンパスならぬサクランパス。

森繁演ずる社長は、予想に反して
宴会と酒が嫌いな色気さっぱりのキャラクター。
と思いきや、香港で開花の兆しを見せてくれて安心。

命令も上意下達なら
タイプミスの責任転嫁も上意下達。
サラリーマン社会の定めなり。

めぐみが口にする "実質的結婚" という言葉は
半同棲、あるいは肉体関係を意味しているのかと思ったら
子供までできているという話だった。

やっぱり、新珠は
前作で演じた芸者のような色気先行の役柄より
やり手の実業家という芯がカチッとした女性が
お色気を見せるという形の方が数段いい。

宴会大好きで、社用族の典型である営業課長・中山。
香港行きに浮かれているうちに
仕事の事情が変わって、一転留守番に。
いじられる三木の存在は不可欠。

娘のできちゃった結婚を終えた香港への渡航前夜
不満がたまる本田は、南を誘って飲みに出る。
2人で酒席を共にする前後で、
タクシーでのやりとりにおける立場逆転が可笑しい。

色気ある草笛の本作でのお相手は、真面目なイメージの強い加東。
意外にも、このコンビもなかなか面白い。

香港のホテルの浴室。
西洋文化に無知な東海林が、バスタブの外で
ゴミ箱を桶代わりにかけ湯をする姿は
文化の違いを如実に表す愉快なエピソード。

香港入りに使われる航空便は
20世紀、航空界の雄であったパンナムことパン・アメリカン航空。
すっかり歴史に埋もれてしまったこの名前に懐かしさを覚えた。

香港のスター女優だった尤敏が出演。
スレンダーで、とても上品かつスタイリッシュな美人である。

病気で帰国を余儀なくされ、
マッカーサーの名言 "I shall return" を置き台詞に帰国する社長。
それを見送る東海林と南で、映画は終わる。

ということで
「社長洋行記」正編というより、完全なる "前編" で
これから始まるドラマの前振り・お膳立てに終始している。
幕切れは、"終" でなく "続" としたいところ。
一本の映画としては、純粋な評価はできない。

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『続サラリーマン清水港』 [邦画(サ行)]

「続サラリーマン清水港」(1962)(再)★★★☆70点
※(再):私が以前に観たことのある作品
監督: 松林宗恵
製作: 藤本真澄
脚本: 笠原良三
撮影: 西垣六郎
美術: 浜上兵衛
録音: 矢野口文雄
照明: 西川鶴三
編集: 岩下広一
音楽: 神津善行
出演:
 森繁久彌(山本長五郎、清水屋酒造社長)
 久慈あさみ(山本蝶子、長五郎の妻)
 小林桂樹(石井松太郎、秘書課長)
 英百合子(石井てつ、松太郎の母)
 加東大介(大柾、専務)
 三木のり平(小政、清水工場長)
 司葉子(都田京子、四国物産の社長令嬢)
 宝田明(都田長吉、神戸屋若主人)
 河津清三郎(吉良仁吉、三州屋主人・京子の叔父)
 志村喬(安濃徳次郎、銀行頭取)
 夏木陽介(追分進吾、営業部員・松太郎の大学の後輩)
 藤山陽子(青木妙子、秘書課員)
 草笛光子(千代子、銀座のBAR "バタフライ" のマダム)
 新珠三千代(〆蝶、新橋の芸者)
 東野英治郎(黒田駒造、黒駒醸造社長)
 藤木悠(大岩、黒駒醸造社員)
 丘照美(とく子、山本家女中)
 石田茂樹(大瀬)
 児玉清(法印)
 井上大助(増川)
 塩沢とき(ホステス)
 沢村いき雄(社長運転手)
 坂本晴哉(小岩、黒駒社員・野球チームの4番)
 宮田洋容(バスの中の男)
製作・配給・ジャンル: 東宝/東宝/コメディ/90分

続サラリーマン.JPG

「サラリーマン清水港」の続編。
前作の人間関係をそのまま踏襲し、新たなストーリーが展開する。

酒瓶による冒頭クレジット、
そして、石井宅にやってくる新聞配達のカットで始まる本編は
正編「サラリーマン清水港」と同じ。

新展開として
宝田扮する長吉が主人を務める神戸屋の借金と
それに付け入る黒駒の乗っ取り騒動が絡む。

宝田は出来損ないの2代目ボンボンが似合う。
あんな甘チャンに、マダム千代子を取られてしまっては
長五郎でなくても、男は納得いかない。
だが、世の中得てしてこうしたものだと突きつけられる思いだ。

司葉子は、若い頃から色気をあまり感じさせない。
役柄上、積極的で男勝りな京子役にはピッタリだとしても
猫背気味の姿勢やがさつな歩き方には
役者本人のものであろう癖が見え隠れしている。

森の石松をモデルにしている石井は
本作では腕っ節の強さを見せる。
実際の格闘シーンは描かず、
雨と泥にまみれた着衣の乱れで勝利を表現することで
場の滑稽さも演出している。

河津は、その風貌に
三州屋主人・吉良の、義理人情と仁義を重んじるという性格を
さもあらんと感じさせるほど適役。
吉良は、プライドも相当高く、一筋縄ではいかない。
本作の喜劇性を引き締めるアクセントであり
任侠物の清水一家をパロっていることを後押ししている。

藤木悠は今回も
清水屋の商売敵・黒駒の側近社員として登場。
「Gメン '75」の正義漢のイメージが強いが
なかなか悪もできる顔立ち。

志村喬は、黒駒の片棒を担ぐイヤらしい役どころ。
この俳優の演じてきたキャラクターの幅広さに改めて感服。
名バイプレーヤーここにあり。

一件落着した後に
"最前からお待ちかね" で〆蝶を期待する長五郎の前に
妻・蝶子が現れるのも前作のパターンを適用。
映画作りの方程式をきちんと生かしている。

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『サラリーマン清水港』 [邦画(サ行)]

「サラリーマン清水港」(再)(1962)★★★☆65点
※(再):私が以前に観たことのある作品
監督: 松林宗恵
製作: 藤本真澄
脚本: 笠原良三
撮影: 西垣六郎
照明: 西川鶴三
美術: 浜上兵衛
録音: 矢野口文雄
編集: 岩下広一
音楽: 神津善行
出演:
 森繁久彌(山本長五郎、清水屋酒造社長)
 久慈あさみ(山本蝶子、長五郎の妻)
 小林桂樹(石井松太郎、秘書課長)
 英百合子(石井てつ、松太郎の母)
 加東大介(大柾、専務)
 三木のり平(小政、清水工場長)
 夏木陽介(追分進吾、営業部員・松太郎の大学の後輩)
 藤山陽子(青木妙子、秘書課員)
 草笛光子(千代子、銀座のBAR "バタフライ" のマダム)
 新珠三千代(〆蝶、新橋の芸者)
 東野英治郎(黒田駒造、黒駒醸造社長)
 藤木悠(大岩、黒駒醸造社員)
 フランキー堺(邸六漢、香港華僑の酒類バイヤー)
 有島一郎(都田吉兵衛、四国物産社長)
 司葉子(都田京子、吉兵衛の娘)
 一の宮あつ子(都田時子、吉兵衛の妻)
 柳家金語楼(フェリー上の寿司屋)
 丘照美(とく子、山本家女中)
 中島そのみ(宿の女中)
 石田茂樹(大瀬)
 児玉清(法印)
 井上大助(増川)
 中北千枝子(仲居)
 塩沢とき(ホステス)
 宇留木耕嗣(専務車掌)
 桐野洋雄(若い男)
 江端秀子(女中)
 大沢健三郎(新聞配達)
 沢村いき雄(社長運転手)
製作・配給・ジャンル: 東宝/東宝/コメディ/92分

サラリーマン.JPG

社長シリーズ第12作に当たる東宝喜劇映画。

三味線で始まり、
出演者のクレジットが
日本酒の酒瓶のラベルとして表示されるのは洒落ている。
清水に舞台を移す折には
浪曲まで流れる。

社長の自宅は結構こじんまりとしていて
ダイニングと呼ぶにはちと侘しく狭いスペースで
朝食をとっている姿は非常に庶民的。

三木のり平はいつ見ても面白い。

社長細君役の久慈のキャラクターがもう一つ弱い。

例によって、ダジャレが頻出するけど
このコンビでやりとりされるは不思議とクドくない。

新珠演じる〆蝶が上品すぎる。
高級であるのはいいが、
芸者ならではの男をたらしこむ色気に欠ける。

一方、草笛のマダムっぷりは板についたもの。

独特の個性と髪型で衆目を集めた塩沢ときが
ホステス役で出演しているのは一見。

タイトルが示すように
酒造工場が清水にあったり
社長以下、幹部社員28人衆が
清水一家の親分・子分衆になぞらえられたり。
ただ、役の性格に反映されているのは
石松こと、社長秘書の石井松太郎くらいだろうか。

邸との格闘ごっこで片目を負傷した石井は
どもりや眼帯姿で森の石松を体現する。

名だたる名優たちが水戸黄門を演じてきたが
その中でも、お茶の間に一番なじみが深いのは東野英治郎。
だが、やっぱり風貌から言えば
本作のように、圧倒的に悪役が似合う。

道後温泉界隈の風景を見るに
今もさほど風情は変わっていないなあと嬉しく思う。

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『三等重役』 [邦画(サ行)]

「三等重役」(1952)★★★☆70点
監督: 春原政久
製作: 藤本真澄
原作: 源氏鶏太
脚本: 山本嘉次郎、井手俊郎
撮影: 玉井正夫
照明: 大沼正喜
録音: 下永尚
美術: 北川恵司
音楽: 松井八郎
出演:
 森繁久彌(浦島太郎、人事課長)
 小林桂樹(若原、社長秘書)
 河村黎吉(桑原、"南海産業" 社長)
 小川虎之助(奈良剛造、前社長)
 三好栄子(奈良とり子、剛造の妻)
 関千恵子(奈良由起子、剛造の娘)
 沢村貞子(桑原千里、桑原夫人)
 井上大助(桑原大助、桑原の息子)
 千石規子(浦島夫人)
 島秋子(久保青子、秘書室員)
 大泉滉(村尾、営業部員)
 木匠久美子(木原トキ子、営業部員)
 清水一郎(高野、営業部長)
 荒木道子(高野夫人)
 村上冬樹(千葉、庶務課長)
 高堂国典(勝田頭取)
 城正彦(勝田亮助、勝田の息子)
 坪内美子(お鶴、前社長の二号)
 進藤英太郎(藤山、"海山商事" 社長)
 岡村文子(藤山京子、藤山夫人)
 藤間紫(おこま、藤山の愛人)
 小野文春(田口、東京出張所長)
 越路吹雪(道子、お好み焼屋 "末広" の女主人)
 清川玉枝("久の家" のお内儀)
 音羽久米子("ニューヨーク" のマダム )
 野田幸信(大山太郎、東京出張所の給士)
製作・配給・ジャンル: 東宝/東宝/ドラマ・コメディ/98分

santoujuyaku.jpg

1951~52年に「サンデー毎日」に連載されていた
毎週一話完結の短編を基にした
源氏鶏太のベストセラー「三等重役」の映画化。

三等重役とは
二次大戦後、
戦争協力者としてパージ(公職追放)された者たちに代わり
急遽経営陣に加わった者たちをさす言葉。

経営者=会社オーナーという構図が崩れ
唐突に重役入り彼らには、経営の素養・教育に欠けていたため
戦前の "一流" 重役に対して "三等" と揶揄されたわけだ。

本作の主人公である "桑原" 社長も、そんな三等重役の一人。
パージを受けた先代社長復帰の報から、物語は始まるが
悲しいかな、彼には何をすることもできないのである。

しかし、先代は復帰当日に病に倒れるというハプニング。
社長としての寿命の延びた桑原は
自分は病に負けじと、体操と乾布摩擦して励む姿が愉快。

森繁扮する浦島は
夜のお供、出張所への随行、男女関係の調整と
人事課長というよりは
本来、若原の職務であろう秘書的な存在である。

森繁の声に色がない。
所々に喜劇の上手さが垣間見られる。
たとえば、田口と道子2人を呼んで再婚を促す時になど
"上手い事(やったな)…" という演技など
単に台詞が面白いということにとどまらず、そのタイミングが絶妙。
そのシーンの感激する道子(越路)の受け芝居が大げさなだけに
対比で上手さが目立つ。

特別賞与でへそくりを確保する浦島の妙案にほくそえんだり
いちゃつく藤山とおこまに "やれやれ" と困惑したり。
はたまた、闇に消えるおこまと桑原の影に気を揉む藤山。
桑原と同部屋のおこまを疑って、3度も確認にやってくる。
桑原はたまらん。
いかにもサラリーマン社長の悲哀と間の抜けたところが滑稽だ。

看板の "会社" の文字が傾いているなど
細かい演出も楽しい。

会社における自分の役割が終わりに近づき
縁側の夫婦の姿に悲哀を感じる中に、
若原たちに仲人を頼まれることで、ささいな喜びに包まれる。

一会社の社長を中心に
サラリーマン生活の悲喜こもごもを
誇張を抑えてユーモラスに描いた良作といえる。

パート2にあたる「続三等重役」も観てみたいものだ。

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『スター毒殺事件』 [邦画(サ行)]

「スター毒殺事件」(1958)★★★☆65点
監督: 赤坂長義
製作: 大蔵貢
企画: 岡本良介
原案・脚本: 葭原幸造
脚本: 蓮池義雄
撮影: 吉田重業
美術: 鳥居塚誠一
音楽: 渡辺宙明
録音: 竹口一雄
出演:
 天知茂(上原城二)
 万里昌代(若葉マリ)
 江見渉(須賀浩)
 城実穂(愛住礼子)
 三原葉子(信濃あけみ)
 沼田曜一(黒木、助監督)
 中村彰(木戸、監督)
 江川宇禮雄(浜田、プロデューサー)
 御木本伸介(水谷、企画部員)
 林寛(南記者)
 高田稔(社長)
 高松政雄(所長)
 中川一郎(若葉一郎)
 天野照子(若葉の母)
 倉橋宏明(捜査課長)
製作・ジャンル: 新東宝/サスペンス/75分

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冒頭のクレジットバックに
注がれた毒薬を思わせる液体が上から溶け降りてくる画と
おどろおどろしい音楽が
観る者を、これから始まる物語へグンと引き込んでいく。

城二から須賀へ
そして、須賀から黒木へ。
移り気なマリは、"魔性の女"的な存在。
万里昌代の太い眉とはっきりした目鼻は
少しバタ臭い印象を与えるが、
その一方でとても色気を感じさせる。

江見が扮する須賀は
なよなよして言葉遣いもオカマチック。
マリが惚れるような男には見えない。
そういう部分が却って、城二の嫉妬を煽るし
観ている私も、そのいやらしさにムカつき
知らぬ間に、主人公に思いっきり肩入れしていた。

礼子役の城実穂は
ダンサーを演じている姿は
メイクのせいか、とても綺麗に見えるが
普段はちょっとオバサンくさい。

女優陣の大げさなリアクションはいただけない。

礼子は須賀に、マリは城二に対して
"悪魔" と罵る。
現在では、人を罵るのにまず使うことがない言葉だが
当時の言葉文化をうかがい知ることができる。

嫉妬から狂気に陥っていく一人の男の心理が
手に取るように分かる天知の演技が絶妙。

今なら、ストーカー行為
と、一蹴されてしまうような話だが
こうした状況は
ままならぬ恋をしたことがある人間には
非常に理解しやすいだろう。
城二は特別屈折した人間ではないのだ。

殺したマリを乗せて逃亡する車に
蜜月の思い出となる男女の人形が悲しい。

包囲する警察に向かって進み出る城二。
拳銃自殺をするかもしれない含みを持たせて終わるラストは
好みの分かれるところ。

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『ジェネラル・ルージュの凱旋』 [邦画(サ行)]

「ジェネラル・ルージュの凱旋」(2009)★★★☆65点
監督: 中村義洋
製作: 加藤嘉一、島谷能成、劔重徹、當麻佳成、細野義朗、川合敏久、松田英紀、溝口博史、町田智子、仲尾雅至
プロデューサー: 佐倉寛二郎、山内章弘、佐藤毅
エグゼクティブプロデューサー: 間瀬泰宏
アソシエイトプロデューサー: 津村有紀
ラインプロデューサー: 辻井孝夫
企画: 市川南
原作: 海堂尊
脚本: 斉藤ひろし、中村義洋
撮影: 佐々木原保志
美術: 金勝浩一
音楽: 佐藤直紀
主題歌: EXILE「僕へ」
照明: 祷宮信
録音: 横溝正俊
出演:
 竹内結子(田口公子、東城大学医学部付属病院・心療内科不定愁訴外来医師・倫理委員会委員長)
 阿部寛(白鳥圭輔、厚生労働省大臣官房秘書課付技官)
 堺雅人(速水晃一、東城大学医学部付属病院救命救急センター長)
 羽田美智子(花房美和、救命救急センター看護師長)
 山本太郎(佐藤拓馬、救命救急センター副センター長)
 國村隼(高階権太、東城大学医学部付属病院病院長)
 尾美としのり(三船啓二、東城大学医学部付属病院事務長)
 野際陽子(藤原、不定愁訴外来看護師)
 高嶋政伸(沼田利博、精神神経科准教授・倫理委員会副委員長)
 平泉成(黒崎誠一郎、第一外科教授)
 貫地谷しほり(如月翔子、救命救急センター看護師)
 正名僕蔵(磯辺信也、メディカルアーツ営業社員)
 林泰文(小峰小太郎、沼田の助手)
 佐野史郎(垣谷雄次)
 玉山鉄二(酒井利樹)
 中林大樹(川村明)
 並樹史朗(井川)
 山田スミ子(江波、田口の患者)
 根本美緒(病院事務スタッフ)
 吉井歌奈子(事故現場のレポーター)
 河原さぶ(市川、田口の患者)
 中村有志(サラリーマンの入院患者)
 黒瀬真奈美(亜希子、自殺願望の患者)
 伊藤正之(野村弁護士)
製作・ジャンル: 「ジェネラル・ルージュの凱旋」制作委員会(TBS、東宝、このミス!大賞連合、MBS毎日放送、CBC中部日本放送、RKB毎日放送、HBC北海道放送、S・D・P、朝日新聞社、TCエンタテインメント、クロスメディア)/サスペンス・ミステリー/123分

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静寂・整然の中から、大きな音とともに急患が運ばれてくる。
冒頭のこの演出からして、あざとくて引いてしまう。
さらに、
委員会で発言する井川役の並樹の下手な台詞回しに
追い討ちをかけられる。
冒頭の大切さを思わずにいられない。

端役とはいえ
河原さぶの大芝居を抑えるべき。
せめて、中村有志ぐらいに。

外景が夜になっているのに、中継はいまだに昼。
話の流れからいって、
昼なのだから、病院の外景が間違っている。
これはスクリプターの責任。
あるいは
スケジュールの制約があって撮り直しができなかったのなら
製作、あるいは妥協した監督の責任だ。

お天気お姉さん・根本がスタッフとして出演しているのは
マニアには一興。

倫理委員会のシーン。
監督も言及しているが
台詞をやり取りしている堺や高島たちの周りで聴いている
國村や尾見たちの表情がいい。

また、堺については再評価。
生の舞台「噂の男」で注目し
最近観た「クライマーズ・ハイ」では逆に評価を下げたが
今回のように、実直で芯が弱いくせに突っ張った役どころは
堺の真面目な人柄が見事に活きている。

陰謀の首謀者ともいえる三船は
自分の妻子が災害に巻き込まれていたと知り
手のひら返しになるのは、いかにも俗っぽくて分かりやすい。
人間なんてそんなものなのだ。
事務長には若くて貫禄がないなあと見ていた尾見だが
こういう薄っぺらい役どころにはピッタリだ。
ただ、その三船には何の処分もなく、
院長以下、変わらずに受け入れている姿は納得いかない。

"今回の白鳥さんの働きはこれくらいですかね"
と、田口に差し出された花束に
"馬鹿言うな、胡蝶蘭持って来い"
と言って、結局受け取るシーンは思わず笑ってしまう。

堺と羽田、カップルとしてはちょっと釣り合わない。
堺が子どもに見えてしまうのだ。

エンディングテーマがなぜEXILEなのか?
売れているものを使えば興行も成功するだろうという
視聴率至上主義にまみれたTBSの浅はかさ。
こういった疑問を呈するのも
映画の内容と歌がマッチしていると思えないからだ。

人気の役者、人気の歌手を使って興行を成り立たせるのでなく
低予算の作品でも
作品至上主義であれば興行成績はついてくるもの。

総体としては不可はないが
TVドラマで十分の作品で、映画にする必要を感じない。

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『最後の馬券師II』 [邦画(サ行)]

「最後の馬券師II」(1994)★★★☆☆55点
監督: 米田彰
プロデューサー: 宮崎大、大里俊博、伊藤正昭
企画: 伊藤靖浩
脚本: 七福昇天
撮影: 下元哲
出演:
 岸本祐二(小林圭介)
 清水紘治(伊達)
 土屋嘉男(椿)
 白島靖代(西山ことえ、カメラマン)
 宮本大誠(東海林)
 萩野崇(落合)
 深水三章
 朝吹ケイト
 森村遙
製作・ジャンル: ケイエスエス/ギャンブル/86分

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馬券師映画第2弾。
前作同様、主人公vs伊達の構造。

電話ボックスに車をピッタリつけて、ドアをふさぎ
"これがホントの自動車電話" ってのはくだらないが愉快な発想だ。

肩もみのくだりは
ベタなコント仕立てで思わず笑ってしまう。
キャリアのある土屋の上手さが出ているシーン。

名古屋競馬という設定なのに
中央競馬のファンファーレが流れるというのはいかがなものか。
この作品は競馬好きが観ることが多いだろうに、
"地方競馬は最後の鉄火場である"
なんて冒頭でクレジット打っておいて
こういったバレバレのごまかしはなかろう。

椿が死んだ瞬間がよく分からない。
これは演技的に言えば、
椿が死んで力の抜ける瞬間のアクションも分からなければ
死を確認する側の圭介のリアクションも悪いからだ。
古き馬券師の死という重要な場面を曖昧にしてはいけない。

さらに言えば、椿が指定した最終レースの単勝11番の扱い。
椿の死んだあと
11番の馬が一位で入線するそのレース映像終わるわけだが
圭介が11番を追って応援している姿や
レースを追いかけるアングルが非常にまずく
これが椿の11番を追っているシークエンスだと分かりにくい。
どうせ椿を殺すなら
レース前でなく、レース中とか直後がいいのに。

また、ことえ絡みの恋愛部分がまったく宙ぶらりんで
"馬も生き物だ" ってことを圭介に悟らせるだけの道具なのか。
そしてまた、
その教訓はストーリーの中でほとんど意味を持ってこない。
いっそ、女の要素は捨ててよかったのではなかろうか。

ただ前作に比べれば、はるかに馬券師らしい話になっていた。
いずれにせよ、ビデオ物・B級感といった印象は拭えない。

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