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『三等重役』 [邦画(サ行)]

「三等重役」(1952)★★★☆70点
監督: 春原政久
製作: 藤本真澄
原作: 源氏鶏太
脚本: 山本嘉次郎、井手俊郎
撮影: 玉井正夫
照明: 大沼正喜
録音: 下永尚
美術: 北川恵司
音楽: 松井八郎
出演:
 森繁久彌(浦島太郎、人事課長)
 小林桂樹(若原、社長秘書)
 河村黎吉(桑原、"南海産業" 社長)
 小川虎之助(奈良剛造、前社長)
 三好栄子(奈良とり子、剛造の妻)
 関千恵子(奈良由起子、剛造の娘)
 沢村貞子(桑原千里、桑原夫人)
 井上大助(桑原大助、桑原の息子)
 千石規子(浦島夫人)
 島秋子(久保青子、秘書室員)
 大泉滉(村尾、営業部員)
 木匠久美子(木原トキ子、営業部員)
 清水一郎(高野、営業部長)
 荒木道子(高野夫人)
 村上冬樹(千葉、庶務課長)
 高堂国典(勝田頭取)
 城正彦(勝田亮助、勝田の息子)
 坪内美子(お鶴、前社長の二号)
 進藤英太郎(藤山、"海山商事" 社長)
 岡村文子(藤山京子、藤山夫人)
 藤間紫(おこま、藤山の愛人)
 小野文春(田口、東京出張所長)
 越路吹雪(道子、お好み焼屋 "末広" の女主人)
 清川玉枝("久の家" のお内儀)
 音羽久米子("ニューヨーク" のマダム )
 野田幸信(大山太郎、東京出張所の給士)
製作・配給・ジャンル: 東宝/東宝/ドラマ・コメディ/98分

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1951~52年に「サンデー毎日」に連載されていた
毎週一話完結の短編を基にした
源氏鶏太のベストセラー「三等重役」の映画化。

三等重役とは
二次大戦後、
戦争協力者としてパージ(公職追放)された者たちに代わり
急遽経営陣に加わった者たちをさす言葉。

経営者=会社オーナーという構図が崩れ
唐突に重役入り彼らには、経営の素養・教育に欠けていたため
戦前の "一流" 重役に対して "三等" と揶揄されたわけだ。

本作の主人公である "桑原" 社長も、そんな三等重役の一人。
パージを受けた先代社長復帰の報から、物語は始まるが
悲しいかな、彼には何をすることもできないのである。

しかし、先代は復帰当日に病に倒れるというハプニング。
社長としての寿命の延びた桑原は
自分は病に負けじと、体操と乾布摩擦して励む姿が愉快。

森繁扮する浦島は
夜のお供、出張所への随行、男女関係の調整と
人事課長というよりは
本来、若原の職務であろう秘書的な存在である。

森繁の声に色がない。
所々に喜劇の上手さが垣間見られる。
たとえば、田口と道子2人を呼んで再婚を促す時になど
"上手い事(やったな)…" という演技など
単に台詞が面白いということにとどまらず、そのタイミングが絶妙。
そのシーンの感激する道子(越路)の受け芝居が大げさなだけに
対比で上手さが目立つ。

特別賞与でへそくりを確保する浦島の妙案にほくそえんだり
いちゃつく藤山とおこまに "やれやれ" と困惑したり。
はたまた、闇に消えるおこまと桑原の影に気を揉む藤山。
桑原と同部屋のおこまを疑って、3度も確認にやってくる。
桑原はたまらん。
いかにもサラリーマン社長の悲哀と間の抜けたところが滑稽だ。

看板の "会社" の文字が傾いているなど
細かい演出も楽しい。

会社における自分の役割が終わりに近づき
縁側の夫婦の姿に悲哀を感じる中に、
若原たちに仲人を頼まれることで、ささいな喜びに包まれる。

一会社の社長を中心に
サラリーマン生活の悲喜こもごもを
誇張を抑えてユーモラスに描いた良作といえる。

パート2にあたる「続三等重役」も観てみたいものだ。

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コメント 2

メタBOの若大将

はじめまして!

近日中に『三等重役(正・続)』のロケ地をやります。
是非お越し下さい!
by メタBOの若大将 (2010-04-21 12:37) 

ケイイチロウ

ご訪問、ありがとうございます!

メタBOの若大将のブログも拝見しました。
なかなか面白いですね。
やっぱりコメディは面白い!

どついたり
けなしたりで笑いをとる(笑われる)現代より
昔の笑いが好きだな~
by ケイイチロウ (2010-04-30 08:18) 

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