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『ブルーベルベット』 [洋画(ハ行)]

「ブルーベルベット」(1986)★★★★☆90点
原題: BLUE VELVET
監督: デヴィッド・リンチ
製作: フレッド・カルーソ
製作総指揮: リチャード・ロス
脚本: デヴィッド・リンチ
撮影: フレデリック・エルムズ
音楽: アンジェロ・バダラメンティ
出演:
 カイル・マクラクラン(ジェフリー・ボーモント)
 イザベラ・ロッセリーニ(ドロシー・ヴァレンス)
 デニス・ホッパー(フランク・ブース)
 ローラ・ダーン(サンディ・ウィリアムス)
 ジョージ・ディッカーソン(ウィリアムス刑事)
 ディーン・ストックウェル(ベン)
 ホープ・ラング(ウイリアム夫人)
 フランシス・ベイ(バーバラ、伯母)
 プリシラ・ポインター(ボーモント夫人)
 ジャック・ハーベイ(ボーモント氏)
 ケン・ストヴィッツ(マイク)
 ブラッド・ドゥーリフ(レイモンド)
 ジャック・ナンス(ポール)
受賞:
 全米批評家協会賞
  ■作品賞
  ■助演男優賞 デニス・ホッパー
  ■監督賞 デヴィッド・リンチ
  ■撮影賞 フレデリック・エルムズ
 LA批評家協会賞
  ■助演男優賞 デニス・ホッパー
  ■監督賞 デヴィッド・リンチ
 インディペンデント・スピリット賞
  ■主演女優賞 イザベラ・ロッセリーニ
 アボリアッツ・ファンタスティック映画祭
  ■グランプリ
製作・ジャンル: 米国/サスペンス/121分

ブルーベルベット (特別編) オリジナル無修正版 [DVD]








カイル・マクラクランに
イザベラ・ロッセリーニ、ローラ・ダーン。
この後もリンチ監督と仕事を共にするメンバー構成も含め
「ツイン・ピークス」の習作的色彩の強い作品。

狂気と倒錯の入り混じったリンチ独特の世界が繰り広げられる。

冒頭とラストは、メインストリームとは対照的に
明るい色彩を基調とした平穏な光景が映し出される。

耳の穴の奥に広がる闇が
その大きな口をあんぐりと開けて、ジェフリーたちを飲み込んでいく。

これは
平穏な現実から暗闇の悪夢へ
と、評されることも多いようだが、
私には、むしろ逆に
平穏に描かれた世界こそ虚構で
事件をめぐる一連の出来事こそ
現実に根ざした心の闇を映しているように思える。

虚と実がいつどう逆転しても不思議のない世界を
生きているとも言えるかもしれない。

秘密と謎。
ミステリーと好奇心。
秘密のピースによって歯抜け状態になった事象は
傍から見れば辻褄の合わなくなった謎として捉えられる。
人は未知の物事を知りたいという衝動で生きている。

フランクは
狂気を体現していると言えばそうだが
実際にごく身近にもいそうな存在で
さほど異常とも感じない。

事件の発端となる耳。
耳は顔のパーツでも特異な部分だ。
鼻でさえ突端の一部しか構成していない軟骨と
それを覆う皮膚でしかないし
合わせ鏡にでもしないかぎり
自分でもよく見えない位置にある。
螺旋に近いその穴の形も人それぞれ。

村上春樹の「羊をめぐる冒険」に登場する
耳専門のモデルの彼女を思い出した。

耳はグロテスクでもあり、美しくもある。
切り取られた耳の発見を機に足を踏み入れた迷宮は
ジェフリーの耳のアップが、その出口となる。

次の展開が気になって、ぐいぐい物語りに引き込まれた。

欲を言えば、
もっとミステリーに絡んでくるかに見えた悪徳刑事ゴードン。
そのあっさりすぎる扱いが少々残念。

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『引き裂かれたカーテン』 [洋画(ハ行)]

「引き裂かれたカーテン」(1966)★★★★☆80点
原題: TORN CURTAIN
監督・製作: アルフレッド・ヒッチコック
脚本: ブライアン・ムーア
撮影: ジョン・F・ウォーレン
音楽: ジョン・アディソン
出演:
 ポール・ニューマン(マイケル・アームストロング教授)
 ジュリー・アンドリュース(サラ・ルイス・シャーマン)
 リラ・ケドロヴァ(クチンスカ伯爵夫人)
 タマラ・トゥマノヴァ(バレリーナ)
 ルドウィヒ・ドナート(グスタフ・リント教授)
 ギュンター・シュトラック(カール・マンフレッド教授)
 ギゼラ・フィッシャー(コスカ博士)
 モート・ミルス(農夫)
 キャロリン・コンウェル(農夫の妻)
 アーサー・グールド=ポーター(フレディ、書籍商)
 グロリア・ゴルヴィン(Fraulein Mann)
 デヴィッド・オパトシュ(ヤコビ)
 ハンスイェルク・フェルミー(ハインリヒ・ゲルハルト、保安局局長)
 ヴォルフガング・キーリング(ハーマン・グロメク)
製作・ジャンル: 米国/サスペンス/128分

引き裂かれたカーテン [DVD]








東西冷戦下の東ドイツを舞台に
スパイ合戦を繰り広げるヒッチコックの監督50作目の映画。

学者と年増女がプロの保安局員を相手に
特に格闘技を使うわけでもなく、
取っ組み合いの末にその息の根を止める。
常人にはマネできないような高度なアクションを駆使されたら
すっかり別世界に感じてしまうところだが
その極めて素人っぽい殺し方が、実にリアルで真に迫ってくる。
超人的な格闘アクションと違い
まるで自分が戦っているかのようで
どれだけスリリングか知れない。

バスによる逃亡劇はぬるい。
せっかく憲兵や検問が登場するのだから、
もっとハラハラドキドキさせてほしい。

クチンスカのウザさは観ている者をイラつかせ
"お前のせいでバレるじゃないか" と
追われる主人公たちにどっぷり感情移入してしまう。
観客の心理を巧みに突い、て作品に引き込む憎い演出だ。

どっちにしても、
スパイで追われている人間が保証人になどなれないだろう
と思いながらも
さすがに、置いてけぼりにされ涙ぐむ伯爵夫人には同情。

さて、東ドイツでは
あれほど客席が明るいままでバレエ公演を打つのだろうか?
舞台をやる者から言わせてもらえば
いくら客電が点いたままで明るくても
公演中に舞台上から
そうそう客席にいる観客の顔まで認識する余裕などないものだが。
それでも
執念深そうなあのバレリーナなら、さもありなん、というところだろうか。

絶体絶命の状態からどうやって逃げ出すのかと思ったら
"火事だ" の一声とは思わなかった。
かごのすり替えは
見事というより
"おいおい、そんなことかよ" って少し当ての外れた種明かし。
"ふつうバレリーナがあんなにかごをにじっと見るかよ"
と、ここでも突っ込みを入れながら見ていくと
以前、同様にかごを使った亡命事件があったという話。
なるほど、辻褄は合うけれど…

最後にカメラマンの登場で
バレリーナがポーズを取って撮られるのを待っているのを見て
"ああ、この人は最初の飛行機に同乗していたあの女性だったのか"
と、気づく。
なかなか楽しませてくれるじゃない。

バスに同乗してわめき立てるKYな組織の女性、
アメリカへ亡命したいクチンスカ伯爵夫人、
スパイを捕まえて注目されたいバレリーナ。

この映画では
主人公の行く手を邪魔するような、鼻につく女性をうまく使って
巧妙にスリルを盛り上げている。
これは結構使える作劇術だと感心しきり。

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『フェイク』 [洋画(ハ行)]

「フェイク」(1997)(再)★★★★★95点
※(再):私が以前に観たことのある作品
原題: DONNIE BRASCO
監督: マイク・ニューウェル
製作: マーク・ジョンソン、バリー・レヴィンソン、ルイス・ディジャイモ、ゲイル・マトラックス
製作総指揮: パトリック・マコーミック
原作: ジョセフ・D・ピストーネ
脚本: ポール・アタナシオ
撮影: ピーター・ソーヴァ
音楽: パトリック・ドイル
タイトルデザイン: カイル・クーパー
出演:
 アル・パチーノ(ベンジャミン・"レフティ"・ルッジェーロ)
 ジョニー・デップ(ジョセフ・D・"ジョー"・ピストーネ、"ドニー"・ブラスコ)
 マイケル・マドセン(ソニー・ブラック)
 ブルーノ・カービイ(ニッキー)
 ジェームズ・ルッソ(ポーリー)
 アン・ヘッシュ(マギー・ピストーネ、ジョーの妻)
 ジェリコ・イヴァネク(ティム・カーリー)
 ロバート・ミアノ(ソニー・レッド)
 ジェリー・ベッカー(ディーン)
 ブライアン・タランティナ(ブルーノ)
 ロッコ・シスト(リチャード・"リッチー"・ガッツォ、FBI捜査官)
 ロニー・フレア(アネット、レフティの妻)
 ヴァル・エイヴリー(トラフィカンテ、フロリダ・マフィアのボス)
 ザック・グルニエ
 トニー・リップ
受賞:
 米国映画批評会議(NBR)賞
  ■助演女優賞 アン・ヘッシュ
製作・ジャンル: 米国/サスペンス・クライム・ドラマ/126分

フェイク エクステンデッド・エディション [DVD]








マフィアに潜入捜査したFBI捜査官の実話に基づく映画。
公開当時、劇場で観て以来の鑑賞。

レフティとドニーの兄弟の絆、
"ジョー" とマギーの夫婦間の確執と愛。
台本と俳優たちの名演で深く描かれた人間ドラマが素晴らしい。

負け組人生を歩き続けるレフティ。
演じるパチーノの背中が悲しくそしてカッコイイ。

"呼び出し" を受け
"お前だから許せる" とドニーへの伝言を妻に残す。
そして、妻のために金目の物をすべて置いていくレフティ。
遺産だと分かるよう、
引き出しを少しだけ開けていく彼の想いに胸が詰まる。

実際のレフティはFBIに逮捕され、刑務所で病死。
ドニーを潜入させたとして粛正されたのはソニー・ブラック。

6年にわたる潜入に成功し、
数知れない犯罪の証拠を手に入れた実在の捜査官は
マフィアとしても相当に優秀で、
そして何よりハートのある人間だったに違いない。
スリルとストレスに身を晒しながら、
正悪両方の "掟" の中で生きることを強いられた主人公。
見事に演じたJ・デップの演技力に驚かされた。
「シザーハンズ」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「チャーリーとチョコレート工場」といったファンタジーもいいが
こうしたストレートな役どころこそ、ジョニーの本領だと思っている。

クレジットが流れる前、
"ピストーネにはマフィアから50万ドルの懸賞金がかけられている"
と出るが、現在は取り下げられているようだ。

劇場の片隅で、切なさに涙を浮かべながら
クレジットロールが流れるのを最後まで見つめていたのを思い出す。

実話に基づくマフィア物だが
静かに進行し、悲哀あふれる珠玉の名作。

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『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』 [洋画(ハ行)]

「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」(2007)★★★★85点
原題: PIRATES OF THE CARIBBEAN: AT WORLD'S END
監督: ゴア・ヴァービンスキー
製作: ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮: マイク・ステンソン、チャド・オマン、ブルース・ヘンドリックス、エリック・マクレオド
脚本・キャラクター原案: テッド・エリオット、テリー・ロッシオ
キャラクター原案: スチュアート・ビーティー、ジェイ・ウォルパート
撮影: ダリウス・ウォルスキー
視覚効果: ILM
プロダクションデザイン: リック・ハインリクス
衣装デザイン: ペニー・ローズ
音楽: ハンス・ジマー
出演:
 ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)
 オーランド・ブルーム(ウィリアム・ターナー・Jr)
 キーラ・ナイトレイ(エリザベス・スワン)
 ジェフリー・ラッシュ(バルボッサ)
 チョウ・ユンファ(サオ・フェン)
 ビル・ナイ(デイヴィ・ジョーンズ)
 ジャック・ダヴェンポート(ジェームズ・ノリントン)
 ステラン・スカルスガルド(ビル・ターナー、"ブーツ・ストラップ")
 トム・ホランダー(カトラー・ベケット卿)
 ジョナサン・プライス(ウェザビー・スワン、総督)
 ナオミ・ハリス(ティア・ダルマ)
 ケヴィン・R・マクナリー(ギブス)
 リー・アレンバーグ(ピンテル)
 マッケンジー・クルック(ラゲッティ)
 デイヴィッド・ベイリー(コットン)
 マーティン・クレッバ(マーティ)
 デイヴィッド・スコフィールド(マーサー)
 レジー・リー(タイ・フアン)
 ドミニク・スコット・ケイ(幼き日のウィリアム・ターナー・Jr)
 キース・リチャーズ(ティーグ・スパロウ)
 マーシャル・マネシュ(スリ・スンパジー)
受賞:
 MTVムービー・アワード
  ■コメディ演技賞 ジョニー・デップ
製作・ジャンル: 米国/アドベンチャー・アクション・ファンタジー/170分

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド [DVD]








「パイレーツ」シリーズ第3弾というより、
前作「デッドマンズ・チェスト」の後編といった性格の作品。

チョウ・ユンファ、こういう軽いノリの役柄似合わないね。
海賊っぽいメイクをしたことで
彼の一番のチャーミングポイントの目が死んでる。
大して目立つ絡みもなく、
船長をエリザベスに譲る役割を果たしに登場しただけだ。

K・ナイトレイは
回を重ねるごとに確実に演技的に成長を見せている。
芯の強さと表情に表われる以上の情熱を感じさせ
エリザベスの魅力に磨きがかかってきた。
ただ、カリプソへの望みが消えた際
船員たちを前にぶつ演説ではジャンヌ・ダルクにはなれなかった。
演説の台詞自体が短いこともあるが
海賊こそ "自由人" という大義を説いたところで
父を殺された個人的な恨みを、
社会正義にまでは昇華させることはできなかった。

ジャックの父ティーグは
頑張った強面風の男で、キャラクターとして味気ない。

ジャックが "海の墓場" をさまよっている時
ティア・ダルマがカリプソとして人間の体から解放される時など
再三、カニが登場するが、何かの象徴なのだろうか?

"墓場" や船の牢で、ジャックの分身が登場するが
シーンとしての尺が長いし、
ストーリー・キャラクターづけ上からも効果的とも思えない。
ファンタジーに不釣合いな気がした。

ウィルとエリザベスの戦闘中の結婚式は面白い発想だが
成立させてしまってはつまらない。
どうせ10年に一度の逢瀬しか楽しめない間柄になるのだし。

ジャックとデイヴィの、マスト上での攻防戦は
回旋塔を思わせるロープを巧みに利用したアクションで
これぞディズニーといった見せ場十分だ。

次期 "フライング・ダッチマン" の船長の行方を
ストーリー展開の必然に委ねるあたり
脚本の妙だと高く評価する。
ただ、ウィルがデイヴィに刺された時点で
ジャックが、死に際のウィルに代わりに心臓を刺させるのは
誰でも分かる筋書き。
ジャックの葛藤も見せたいのだろうが、もっとテンポよく進めるべき。

ベケットの最期が今一つ理解できない。
あんな冷徹で執念深い人間が絶望するにはあっさりしすぎている。

カリプソはあの荒天を巻き起こしただけで満足したのかな?
ちょっと消化不良な退場だ。

ラストはジャック一人の画が欲しかったのだろうが
やっぱりギブス君も連れて行こうよ。
置いていく理由もないしね。

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『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』 [洋画(ハ行)]

「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」(2006)★★★☆65点
原題: PIRATES OF THE CARIBBEAN: DEAD MAN'S CHEST
監督: ゴア・ヴァービンスキー
製作: ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮: ブルース・ヘンドリックス、エリック・マクレオド、チャド・オマン、マイク・ステンソン
脚本・キャラクター原案: テッド・エリオット、テリー・ロッシオ
キャラクター原案:スチュアート・ビーティー、ジェイ・ウォルパート
撮影: ダリウス・ウォルスキー
プロダクションデザイン: リック・ハインリクス
衣装デザイン: ペニー・ローズ、リズ・ダン
音楽: ハンス・ジマー
出演:
 ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)
 オーランド・ブルーム(ウィリアム・ターナー・Jr)
 キーラ・ナイトレイ(エリザベス・スワン)
 ビル・ナイ(デイヴィ・ジョーンズ)
 ステラン・スカルスガルド(ビル・ターナー、"ブーツ・ストラップ")
 ジャック・ダヴェンポート(ジェームズ・ノリントン)
 ジョナサン・プライス(ウェザビー・スワン、総督)
 ケヴィン・R・マクナリー(ギブス)
 ナオミ・ハリス(ティア・ダルマ)
 トム・ホランダー(カトラー・ベケット卿)
 リー・アレンバーグ(ピンテル)
 マッケンジー・クルック(ラゲッティ)
 デイヴィッド・ベイリー(コットン)
 マーティン・クレッバ(マーティ)
 デイヴィッド・スコフィールド(マーサー)
 ジェフリー・ラッシュ(バルボッサ)
 アレックス・ノートン(キャプテン・ベラミー)
受賞:
 アカデミー賞
  ■視覚効果賞 ジョン・ノール、ハル・T・ヒッケル、チャールズ・ギブソン、アレン・ホール
 英国アカデミー賞
  ■特殊視覚効果賞 ジョン・ノール、ハル・T・ヒッケル、チャールズ・ギブソン、アレン・ホール
 MTVムービー・アワード
  ■作品賞
  ■演技賞 ジョニー・デップ
製作・ジャンル: 米国/アドベンチャー・アクション・ファンタジー/151分

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト [DVD]








J・デップ主演の「パイレーツ」シリーズ第2弾。

例によって、ディズニーらしく細かいところから大きなところまで
面白い仕掛け満載の映画だが
特に、朽ちた水車が外れて走り出す発想が気に入った。
回転する水車上での決闘・鍵の争奪戦も愉快。

タイトルにある英単語 chest は
"(人の)胸" と "宝石箱" の意味を兼ねている。
宝石箱に入っている心臓だが、
実はしっかり胸に収まっているという洒落だ。

胴と切り離された首が
ヤドカリになって胴の後を追いかけるのも好きだ。

それにしても、デヴィ・ジョーンズはどうしても
「仮面ライダー」のイカデビルこと変身後の死神博士を思い出す。
余談だが、死神博士を演じた天本英世は、
ここのところの昭和映画の鑑賞ですっかり顔なじみだ。

クラーケルの生死、ジャックの安否、心臓の行く先、ベケットの野望。
2時間半もかけ、何一つ結論を出さず完全に続編狙いの終わり方。
すっかり拍子抜け。

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『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』 [洋画(ハ行)]

「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(2003)★★★★☆80点
原題: PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL
監督: ゴア・ヴァービンスキー
製作: ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮: ポール・ディーソン、チャド・オマン、マイク・ステンソン
脚本: テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、ジェイ・ウォルパート
撮影: ダリウス・ウォルスキー
音楽: クラウス・バデルト、ハンス・ジマー
出演:
 ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)
 ジェフリー・ラッシュ(キャプテン・バルボッサ)
 オーランド・ブルーム、少年時(ウィリアム・ターナー・Jr)
 キーラ・ナイトレイ、少女時(エリザベス・スワン)
 ジャック・ダヴェンポート(ジェームズ・ノリントン)
 ジョナサン・プライス(ウェザビー・スワン提督)
 リー・アレンバーグ(ピンテル)
 マッケンジー・クルック(ラゲッティ)
 デヴィッド・ベイリー(コットン)
 アイザック・C・シングルトン・Jr(甲板長)
 ケヴィン・R・マクナリー(ジョシャミー・ギブズ航海士)
 ゾーイ・サルダナ(アナマリア)
 ラルフ・P・マーティン(ブラウン氏)
 トレヴァー・ゴダード(グラップル)
 ブライ・クーパー(マロット)
受賞:
 英国アカデミー賞
  ■メイクアップ&ヘアー賞
 放送映画批評家協会賞
  ■ファミリー映画賞(実写)
 MTVムービー・アワード
  ■男優賞ジョニー・デップ
製作・ジャンル: 米国/アクション・アドベンチャー・コメディ/143分

パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち [DVD]








細かい細工がたっぷり。
おもちゃ箱をひっくり返したようとはこのこと。
さすがディズニー。
テンポよく展開されるがために
小細工になるところを

ボートをひっくり返し空気を確保して海底を歩くアイデアは最高だ。
自分でも試してみたくなる。

インターセプター(Interceptor)号とは名前まで気が利いている。
インターセプト(intercept)は
スポーツでも「パスなどを奪取する」のに用いられる
「横取りする」という意味の英語。
その名詞形「横取りする者」そのままに、ジャック達が頂戴していく。

見事なエンターテインメント。

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『炎の女』 [洋画(ハ行)]

「炎の女」(1965)★★★☆☆60点
原題: SHE
監督: ロバート・デイ
製作: マイケル・カレラス
原作: ヘンリー・ライダー・ハガード
脚本: デヴィッド・T・チャントラー
撮影: ハリー・ワックスマン
音楽: ジェームズ・バーナード
出演:
 ウルスラ・アンドレス(アイーシャ)
 ジョン・リチャードソン(レオ)
 ピーター・カッシング(ホリー少佐、考古学者)
 クリストファー・リー(ビラリ)
 バーナード・クリビンス(ジョブ)
 ロゼンダ・モンテロス(ユスティン)
 アンドレ・モレル(ハウメイド、ユスティンの父)
製作・ジャンル: 英国/冒険・ファンタジー/105分

095106-1.jpg

H・R・ハガードの秘境小説「洞窟の女王」の2度目の映画化。
製作は英国ハマー・プロで、
常連となるP・カッシング、C・リーの顔がある。

試練を乗り越えてクーマに到着したら
というのが、レオがキリクラティスの生まれ変わりの証拠だというが
試練と言うのが、自分たちで仕組む襲撃のことなら
いくらでも自分たちの裁量で手加減できるはずで意味のないこと。

また、実際に試練を乗り越えたからといって
結局そのことが証明となったのか否か
確認も説明も全くない。

王女の命に反したとして15人の奴隷たちが
炎熱の中に投げ込まれて処刑されるが
ロープで一列に繋がれた奴隷たちが落ちていくカットで
炎熱への丸い穴の端を綺麗に整列して歩く姿が映る。
技術不足だから大目に見たいところではあるが
後半で、
兵たちが落ちていくカットが人形を投げ込んで撮られているのに対し
この奴隷たちについては
どこかを縦列して歩かせた映像を
炎熱の穴の映像にはめ込んで合成したことが明らかで
ガッカリというより、ちょっと笑えるカットとなっている。

反乱を起こした奴隷たちが
ホリーとジョブを殺してならない対象として認識しているがごとく
見事に王女の兵たちだけを攻撃するが
クーマにやって来た当初、いけにえにまでしようとした連中が
兵もろとも彼ら2人を襲わないのは不思議だ。

ラストで
ホリーはレオを導いて炎の中に入ったアイーシャが
老化して朽ちて死ぬ姿を見て
"2度炎に入れば不老不死の魔術が解ける"
つまり、生身であった場合の年齢に戻ると即断するが
あんな凄い魔術を前に、
"2度入れば、元の年齢関係なく老いて朽ち果てる" という危険性を
考えないのだろうか?
少なくとも私は、ホリーの台詞を観終わった後に理解するまでは
そちらしか頭に浮かばなかった。

レオはユスティンと結ばれると推測していた私には
面白い裏切りの展開だった。
ただ、ユスティンの刑の執行のカットがなく
ビデリが兵に何がしか告げたカットでシーンが終わったので
彼が告げたのは刑の執行でなく
王女に隠れて別の策略を考えての事かもしれない、
それによってユスティンは助かったのではと期待をしていたのだ。

兵が父親の元に亡骸の灰を持ってきてもなお
別の人間の灰を持ってきたんだ、と思っていた。
何のことはない、ホントに死んでいた。
それにしても、マグマか溶鉱炉か分からぬが
そんなところからどうやって死者の灰を持ってくるのだ?

ストーリーの設定は面白いのに
今一つ惹きつけられないのは、ひとえに脚本の杜撰さ。
一つ一つ細かい行動の裏づけがなければ
綻びを目にするたびに気持ちが覚め
特に冒険物では盛り上がるところも盛り上がれない。

ただ公開した時代を考えれば
美人を揃え、肌の露出の多い冒険物として
かなり人気を博したに違いない。

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『薔薇の名前』 [洋画(ハ行)]

「薔薇の名前」(再)(1986)★★★★85点
※(再):私が以前に観たことのある作品
原題: DER NAME DER ROSE(英語題 THE NAME OF THE ROSE)
監督: ジャン=ジャック・アノー
製作: ベルント・アイヒンガー
原作: ウンベルト・エーコ
脚本: ジェラール・ブラッシュ、ハワード・フランクリン、アンドリュー・バーキン、アラン・ゴダール
撮影: トニーノ・デリ・コリ
音楽: ジェームズ・ホーナー
出演:
 ショーン・コネリー(バスカヴィルのウィリアム、フランシスコ会士)
 F・マーレイ・エイブラハム(ベルナール・グーイ、異端審問官)
 クリスチャン・スレイター(メルクのアドソ、ウィリアムの弟子)
 ヴァレンティナ・ヴァルガス(農民の少女)
 フェオドール・シャリアピン・Jr(ホルヘ・ダ・ブルゴス、盲の修道士)
 ヴォルカー・プレクテル(マラキーア・ダ・ヒルデスハイム、修道院司書)
 マイケル・ハベック(ベレンガーリオ・ダ・アルンデル、司書助手)
 ウィリアム・ヒッキー(ウベルティーノ・ダ・カサーレ)
 ミシェル・ロンズデール(フォッサノーヴァのアッボーネ、修道院長)
 ロン・パールマン(サルヴァトーレ、異端者)
 レオポルド・トリエステ(ミケーレ・ダ・チェゼーナ、フランシスコ会総長)
 ヴァーノン・ドブチェフ(ニューカッスルのヒュー、フランシスコ会士)
 ドナルド・オブライアン(アッシジのピエトロ)
 ヘルムート・クヴァルティンガー(レミージョ・ダ・ヴァラージネ)
 ドワイト・ワイスト(老アドソの声)
 キム・ロッシ=スチュアート
受賞:
 英国アカデミー賞
  ■主演男優賞 ショーン・コネリー
  ■メイクアップ賞
 セザール賞
  ■外国映画賞 ジャン=ジャック・アノー
製作・ジャンル: 仏国・伊国・西独/ドラマ・ミステリー/132分

薔薇の名前 特別版 [DVD]








ビデオになってすぐに観た前回、
画面はもっと暗く、映像はグロテスクで陰惨だったイメージだった。

それが、あれから20年以上が経って観てみると
さほどでなかった。
それは、2度目で細かいところはともかく
ある程度記憶に残っていたためだろうか。

冒頭から思慮深く論理的な賢者ぶりを見せつけるウィリアム。
否が応でも、ミステリーの謎解きを盛り上げる。

登場する修道士たちはみな
その外見からも、少し変質的でインパクトの強い者ばかり。
中でも、前回もひと目見た時から忘れられなかったのは
ベレンガーリオだ。
その死に方からも脳裏に強烈に焼きついている。

ようやく見つける秘密の書庫。
いくつもの回廊が複雑な迷路のようになっている風景は
ハリー・ポッターに登場する魔法学校の寮の階段に
おそらくは影響を与えていることだろう。

やたらと敵役の多いF・マーレイ・エイブラハムは
ここでもウィリアムの旧敵を演じ
卑怯にも逃走するところで悲惨な死を迎える。

勧善懲悪的な結末ではあるが
スッキリしないのは、
物語そのものが宗教絡みの殺人が主体であるからに相違ない。

劇中にも登場するキリストに関する論争や
笑いに関する戒律など
何を正統とし何を異端とするのか
キリスト教のあり方も非常に難しい。
至極瑣末的な事柄も
大きな宗教論争に発展してしまうことが垣間見える。
同じ宗教でさえこの有様なのだから
異教徒間の争いがいまだに続くのは致し方ないのか。
"政治と宗教の論議に終わりなし" を改めて思う。

無宗教の私からすると
ミステリーの根源が小さなものに見え
肩透かしを食った印象を拭えない。

修道院を後にするウィリアムとアドソの前に現れる農民の女。
一連のおぞましい事件に遭遇し
アドソは宗教を捨て女と共に俗に生きるのかなと
ある種の期待をするラストではあるが…

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『波止場』 [洋画(ハ行)]

「波止場」(1954)(再)★★★☆70点
※(再):私が以前に観たことのある作品
原題: ON THE WATERFRONT
監督: エリア・カザン
製作: サム・スピーゲル
原作・脚本: バッド・シュールバーグ
撮影: ボリス・カウフマン
音楽: レナード・バーンスタイン
出演:
 マーロン・ブランド(テリー・マロイ)
 エヴァ・マリー・セイント(イディ・ドイル)
 リー・J・コッブ(ジョニー・フレンドリー)
 ロッド・スタイガー(チャーリー・マロイ、"紳士")
 カール・マルデン(バリー神父)
 ジョン・F・ハミルトン(ドイルの父)
 パット・ヘニング(ティモシー・J・ドゥーガン、"Kayo")
 トーマス・ハンドリー(トミー・コリンズ、ハト仲間の子ども)
 マーティン・バルサム(ジレット)
 リーフ・エリクソン(グローヴァー)
 ルディ・ボンド(ムース)
受賞:
 アカデミー賞
  ■作品賞
  ■主演男優賞 マーロン・ブランド
  ■助演女優賞 エヴァ・マリー・セイント
  ■監督賞 エリア・カザン
  ■脚本賞 バッド・シュールバーグ
  ■撮影賞(白黒) ボリス・カウフマン
  ■美術監督・装置賞(白黒) RichardDay美術
  ■編集賞 GeneMilford
 ヴェネチア国際映画祭
  ■サン・マルコ銀獅子賞 エリア・カザン
  ■イタリア批評家賞 エリア・カザン
 NY批評家協会賞
  ■作品賞
  ■男優賞 マーロン・ブランド
  ■監督賞 エリア・カザン
 ゴールデン・グローブ
  ■作品賞(ドラマ)
  ■男優賞(ドラマ) マーロン・ブランド
  ■監督賞 エリア・カザン
  ■撮影賞(白黒) ボリス・カウフマン
 英国アカデミー賞
  ■男優賞(国外) マーロン・ブランド
 アメリカ国立フィルム登録簿
  ■新規登録作品
製作・ジャンル: 米国/ドラマ/108分

波止場 コレクターズ・エディション [DVD]








ドゥーガンの傍らで演説をぶつカール・マルデン演じる神父の姿は
圧倒的で、見どころの一つでもある。

神父が荷運び用の昇降機で船底から迫上がってくるさまは
昇天するイエス=キリストさながらだ。

公聴会の後、
事務所裏でテリーが殴られるとき、
父ドイルが老体で手が出せないことは納得できても
擁護する発言すらしないのは解せない。

テリーが証言した時点で
組合を取り戻せると粋に感じ、
周りの人足仲間たちも立ち上がるはずだ。

演出とはいえ、立ち上がるのが遅い気がしてならない。

芝居を始めたばかりのころ
絶品だと演出家から勧められて観た当作。
さっそくDVDを借りて観た当時、
"別に悪くはないが、特に素晴らしいところが分からない"と答えた。

観た映画量が増えて思うことは
それまでの映画に乏しかったリアリズムの志向が
はっきり見えていることだろう。
正直、見直した今回もやはり感動までは覚えない。
リアリズム演劇が根づいた現代人からすると
その革命的作品をヴィヴィッドには感じられないのだ。

だが、
のちのアクターズスタジオ創設につながる
グループ・シアターのメンバーだったエリア・カザンの
大いなる貢献であったことは
その受けた賞の多さが如実に物語っている。

私が学んだNYのアクティングスクールは
アクターズスタジオと袂を分かったメンバーが創設したのだが
本流は同じであり
私も実感を抱かぬままその恩恵に浴しているのだ。

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『バックドラフト』 [洋画(ハ行)]

「バックドラフト」(1991)★★☆☆50点
原題: BACKDRAFT
監督: ロン・ハワード
製作: リチャード・バートン・ルイス、ペン・デンシャム、ジョン・ワトソン
製作総指揮: ブライアン・グレイザー、ラファエラ・デ・ラウレンティス
脚本: グレゴリー・ワイデン
撮影: ミカエル・サロモン
特撮: ILM
音楽: ハンス・ジマー
出演:
 カート・ラッセル(スティーヴン・マカフレイ、"ブル")
 ウィリアム・ボールドウィン(ブライアン・マカフレイ)
 ロバート・デ・ニーロ(ドナルド・リムゲイル、"シャドー"・放火犯罪捜査官)
 スコット・グレン(ジョン・アドコックス、"アックス")
 ジェニファー・ジェイソン・リー(ジェニファー・ヴァイトクス、"ジェニー")
 レベッカ・デモーネイ(ヘレン、スティーヴンの妻)
 ドナルド・サザーランド(ロナルド・バーテル)
 クリント・ハワード(検死医)
 ライアン・トッド(ブライアン・マカフレイ、幼年期)
 ジェイソン・ゲドリック(ティム、ブライアンの同僚)
 J・T・ウォルシュ(スウェイザク、市会議員)
製作・ジャンル: 米国/アクション・ドラマ/136分

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殉職した消防士を親に持つ兄弟を描いた映画。

消防士が現場でタバコを吸うカットが出てくる。
戦争映画に見る西洋人のフランクさ・自由さと同様
へえ~こんなこと許されるんだ、と驚く
(現実はどうか分からないが)。
それにしても、同じようなカットが多すぎる気がする。

D・サザーランドが
「羊たちの沈黙」のレクター的なポジションで登場するが
まったくその役を生かす脚本・演出が不在。
もったいない起用といわざるを得ない。

スティーヴンを殺してしまわなくてもよかったのでは
という印象が強く残る。
彼が死ななくても、
彼の死後の各シーン(葬送は別だが)に影響はない。
あえて言えば、
アックスの放火を口外しないことに
スティーヴンが後ろめたさを感じることか。
その犯罪とてキレイに解決した方が観客のカタルシスに応えるはず。

ブライアンが研修生に注意を加えるアナロジー。
それをほくそ笑むのも仲間より兄であった方が嬉しい。

不満が多く残るが
主役2人が紡ぎ出す兄弟の葛藤と絆がいい線まで見えるだけに
ロン・ハワードにしては残念な作品。

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