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『引き裂かれたカーテン』 [洋画(ハ行)]

「引き裂かれたカーテン」(1966)★★★★☆80点
原題: TORN CURTAIN
監督・製作: アルフレッド・ヒッチコック
脚本: ブライアン・ムーア
撮影: ジョン・F・ウォーレン
音楽: ジョン・アディソン
出演:
 ポール・ニューマン(マイケル・アームストロング教授)
 ジュリー・アンドリュース(サラ・ルイス・シャーマン)
 リラ・ケドロヴァ(クチンスカ伯爵夫人)
 タマラ・トゥマノヴァ(バレリーナ)
 ルドウィヒ・ドナート(グスタフ・リント教授)
 ギュンター・シュトラック(カール・マンフレッド教授)
 ギゼラ・フィッシャー(コスカ博士)
 モート・ミルス(農夫)
 キャロリン・コンウェル(農夫の妻)
 アーサー・グールド=ポーター(フレディ、書籍商)
 グロリア・ゴルヴィン(Fraulein Mann)
 デヴィッド・オパトシュ(ヤコビ)
 ハンスイェルク・フェルミー(ハインリヒ・ゲルハルト、保安局局長)
 ヴォルフガング・キーリング(ハーマン・グロメク)
製作・ジャンル: 米国/サスペンス/128分

引き裂かれたカーテン [DVD]








東西冷戦下の東ドイツを舞台に
スパイ合戦を繰り広げるヒッチコックの監督50作目の映画。

学者と年増女がプロの保安局員を相手に
特に格闘技を使うわけでもなく、
取っ組み合いの末にその息の根を止める。
常人にはマネできないような高度なアクションを駆使されたら
すっかり別世界に感じてしまうところだが
その極めて素人っぽい殺し方が、実にリアルで真に迫ってくる。
超人的な格闘アクションと違い
まるで自分が戦っているかのようで
どれだけスリリングか知れない。

バスによる逃亡劇はぬるい。
せっかく憲兵や検問が登場するのだから、
もっとハラハラドキドキさせてほしい。

クチンスカのウザさは観ている者をイラつかせ
"お前のせいでバレるじゃないか" と
追われる主人公たちにどっぷり感情移入してしまう。
観客の心理を巧みに突い、て作品に引き込む憎い演出だ。

どっちにしても、
スパイで追われている人間が保証人になどなれないだろう
と思いながらも
さすがに、置いてけぼりにされ涙ぐむ伯爵夫人には同情。

さて、東ドイツでは
あれほど客席が明るいままでバレエ公演を打つのだろうか?
舞台をやる者から言わせてもらえば
いくら客電が点いたままで明るくても
公演中に舞台上から
そうそう客席にいる観客の顔まで認識する余裕などないものだが。
それでも
執念深そうなあのバレリーナなら、さもありなん、というところだろうか。

絶体絶命の状態からどうやって逃げ出すのかと思ったら
"火事だ" の一声とは思わなかった。
かごのすり替えは
見事というより
"おいおい、そんなことかよ" って少し当ての外れた種明かし。
"ふつうバレリーナがあんなにかごをにじっと見るかよ"
と、ここでも突っ込みを入れながら見ていくと
以前、同様にかごを使った亡命事件があったという話。
なるほど、辻褄は合うけれど…

最後にカメラマンの登場で
バレリーナがポーズを取って撮られるのを待っているのを見て
"ああ、この人は最初の飛行機に同乗していたあの女性だったのか"
と、気づく。
なかなか楽しませてくれるじゃない。

バスに同乗してわめき立てるKYな組織の女性、
アメリカへ亡命したいクチンスカ伯爵夫人、
スパイを捕まえて注目されたいバレリーナ。

この映画では
主人公の行く手を邪魔するような、鼻につく女性をうまく使って
巧妙にスリルを盛り上げている。
これは結構使える作劇術だと感心しきり。

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