SSブログ

時代と言葉 [日記]

「言葉は時代とともに変化する」

私もこれを否定しません。
しかし、言葉をプロとして操る人間としては、
原作者や演出の要求がないかぎり
言葉を正しく守っていくのが使命だと思っています。

映画やドラマ・アニメなどクリエイティブな作品や
バラエティなどに出演する、言葉に無知なタレントは別にして、
ナレーターやアナウンサーといった類いの方々は
言葉の職人として、正しい言葉づかいを心掛けてほしいものです。

私はバラエティ番組が好きでよく観ます。
「ダウンタウンDX」での一幕。
同番組冒頭にて
その日に放送されるエピソードが
それが何分後に放送されるかという情報とともに
紹介されます。

すでに文中に出てきた「何分」にも関わる問題ですが、
あなたは、「3分」「4分」「何分」をどう読みますか?
「1分」「6分」「8分」「10分」をどう読みますか?

私は
「さんぷん(3分)」「よんぷん(4分)」「なんぷん(何分)」
「いっぷん(1分)」「ろっぷん(6分)」「はっぷん(8分)」「じゅっぷん(10分)」
と読みます。

「3分」「4分」「何分」など
"分" の前は "ん" という撥音便(はつおんびん)、
その他は
"分" の前が "っ" という促音便(そくおんびん)
となっています。

これらの音便の後にくるハ行「はひふへほ」は、
゜の付いた半濁音「ぱぴぷぺぽ」となり
破裂音として発音されるのです。

「1分」「6分」「8分」「10分」
を読み間違えている人は少ないようですが、
「4分」「何分」については
「よんふん」「なんふん」というふうに
半濁点なしの読み方をする若者が圧倒的に多いんです。
(何故か、「3分」については若者も読み違えない)

音便同様、この半濁音化も
発音しやすいように変化してきたものと言われています。

「よんふん」「なんふん」に慣れている若者には
こちらの方が言いやすいのだという人もいますが、
先にも述べたように、言葉は崩れていくものだとしても
私たちプロがやってはならないことだと確信しています。

ということで、話は「ダウンタウンDX」戻ります。
冒頭のエピソード紹介をするナレーターの方は
担当以来、ずっと「よんふんご(4分後)」とおっしゃっていました。
私は長年のフラストレーションに耐え切れず
2週間前に、番組HPに投稿。
翌週は「4分」台自体が登場しなかったのですが、
その翌週に当たる先週、当該のナレーターは
「よんじゅうよんぷんご(44分後)」と発音してらっしゃいました。
積年の不快感が漸く解消されました。
おそらくは私の投稿内容を伝えてくれたんでしょう。


あと、気になっているのは、
TVのスポーツ実況でよく聞く
「~に欠く」「~に欠いている」という表現。
これは、それぞれ
「~に欠ける」「~に欠けている」であって、
"欠く" "欠いている" を使いたいのであれば
「~を欠く」「~を欠いている」となるべきです。

今朝も、テレ朝の坪井直樹アナウンサーが
「~に欠いている」と言っていました。

こういった助詞と動詞・形容詞との対応の間違いは
単に、言葉を知らないことに起因していると言えます。

ニュースや情報番組を担当するアナウンサーは
最新の情報や新しい固有名詞などには
いち早く接するでしょうが、
漢字の読み方や言葉の決まりを知っているか否かは
その人が触れてきた言葉の質と量
つまりは、その人の歴史によって決まるわけです。

私は中学卒業後、ほとんど本を読まなくなり、
今となっては、台本や戯曲、芝居の資料以外、
本を開くことはめったにありません。

地方出身者ながら標準語を心掛けていた父と、
小学生のころに読み漁った推理小説やSF小説、
学校の教科書がきっかけとなって好きになった夏目漱石。
そして、流れで読んだ漱石と同世代の作家たちの作品。
今の私を支えてくれている、こういった過去の貯金に感謝です。

その貯金で賄いきれない部分は
今からでも補っていかなくちゃならないだろうなあ。

部屋を整理して
段ボールの底に眠っている積読本でも引っ張り出そうかな。
 
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

『進撃の巨人』『エドワード二世』 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。