SSブログ

『黄線地帯』 [邦画(ア行)]

「黄線地帯(イエローライン)」(1960)★★★☆65点
監督・脚本: 石井輝男
製作: 大蔵貢
企画: 佐川滉
撮影: 鈴木博
美術: 宮沢計次
音楽: 渡辺宙明
照明:関川次郎
録音:村山絢二
出演:
 吉田輝雄(真山俊夫、毎朝新聞記者)
 三原葉子(小月エミ、ダンサー)
 天知茂(衆木一広、殺し屋)
 三条魔子(桂弓子、海運会社 "神港海運" のOL)
 大友純(阿川)
 沼田曜一(新聞社デスク)
 吉田昌代(酒場のマダム)
 鳴門洋二(パイラーの政)
 若杉嘉津子(売春宿のマダム)
 中村虎彦(松平義秀、慈善家)
 小野彰子(洋モク売りの女)
 扇町京子(ホテルの女)
 瀬戸麗子(カスバ街の娼婦)
 天野照子(弓子の母)
 原利一(パイラーの雄次)
 浪野光夫(神戸税関長)
 池月正(東京駅駅員)
 築地博(ビルの管理人)
 原聖二(神港海運宿直員)
 鈴木信治(黒ソフトの男)
 小野貞夫(黒ソフトの男)
 大谷友彦(チャカ舟の男)
 村山京司(チャカ舟の男)
 沖啓二(鉄)
 小林猛(外人)
 スーザン・ケネディ(ムーア)
 川部修詩(詩人)
製作配給・ジャンル: 新東宝/クライム・サスペンス/79分

黄線地帯 [DVD]





依頼人に裏切られた殺し屋と
彼に人質にされたダンサーの逃亡劇を軸に、
白人に日本人女性を提供する秘密売春組織の闇を暴く。
新東宝が製作し
売春地下組織の暗闇を描いた "地帯(ライン)" シリーズの第3弾。
タイトルにある「黄線」とは、
売春防止法施行以前に
電話や紹介所を通じて派遣されていた私娼の一つ。
本作では
黄色人種(日本人女性)を提供することにも掛けているようだ。

まだ若い天知茂には、トレードマークともいえる眉間のしわがない。
殺し屋とはいえ、シャープでセンスが良く知的なところは
世間でもお馴染みだった彼の資質を十分に見せている。

終盤、三原がダンスを披露しているが、
白い肢体や美しいプロポーションと相まって、なかなかセクシー。
美形というより、好感度の高いといった方が適当なその丸顔は
芯はしっかりしているが、決して嫌みはないエミにふさわしい。

セットだという、神戸の "カスバ" 街は
どことなく異国情緒を感じさせ
如何にも国際港市・神戸といった雰囲気を醸し出している。

ムーアという名の売春婦は
おそらくムーア人(黒人)をイメージしているのだろうが、
白人女性に黒塗りというか、茶塗りさせているのが丸分かり。
洋モク売りの女の、
いかにもペンで引きました、といった顔の老け皺と同様
とっても白けてしまう。
黒人や老婆の女優が揃わなかったということだろうが、
演技もさながら、
こういった嘘の積み重ねが
当時の外国映画との決定的なリアリティの差につながっている。

作品中、"ハクイスケ" という表現が出てくる。
懐かしい。
というか、私も使ったことはないが
いわゆる不良と呼ばれた連中がかろうじて使っていた言葉。
"ハクイ" は "美人の"、"スケ" は "女性" を意味する。
"まぶい" 同様、今は死語になってしまった。

ところで、国際売春組織の実体はどういうものだったのか。
慈善事業家を装う松平が
「カスパ」と呼ばれる歓楽街の裏のボスであることは分かるのだが、
日本側の顔役が松平だとしても、売春組織のドンは一体?
"売春組織=麻薬組織、その両方のトップにいたのが松平"
と考えるのが自然なのだろうが、
そこでひっかかるのが、
助け文を認めた百円札を手にした海運会社のOL。
彼女は以前から黄線地帯から目をつけれていて
外国人に誘拐されるが、
あの外国人は、松平たちとどう関係していたのだろうか?
あるいは、私が
それをきちんと説明しているシーンを見逃したのかもしれないが
外国人たちを始末しなくては、売春組織の壊滅とはならない。
衆木の復讐は親玉に復讐することだから、それでいいのか…でも…

恋人を助けるヒーローが存在しているのだから
幕開きの時点で、天知演じる殺し屋が死ぬことは予想できる。
心優しき殺し屋が警官たちに追い詰められ殺されるところで幕。
展開が面白いだけに、決着のつけ方にひねりが欲しかった。
 
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。