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『ナイロビの蜂』 [洋画(ナ行)]

「ナイロビの蜂」(2005)★★★☆65点
原題: THE CONSTANT GARDENER
監督: フェルナンド・メイレレス
製作: サイモン・チャニング・ウィリアムズ
製作総指揮: ジェフ・アッバリー、ジュリア・ブラックマン、ゲイル・イーガン、ロバート・ジョーンズ、ドナルド・ランヴォ
原作: ジョン・ル・カレ「ナイロビの蜂」
脚本: ジェフリー・ケイン
撮影: セザール・シャローン
プロダクションデザイン: マーク・ティルデスリー
衣装デザイン: オディール・ディックス=ミロー
音楽: アルベルト・イグレシアス
編集: クレア・シンプソン
出演:
 レイフ・ファインズ(ジャスティン・クエイル、英国外務省一等書記官)
 レイチェル・ワイズ(テッサ・クエイル、慈善活動家)
 ユベール・クンデ(アーノルド・ブルーム、医師)
 ダニー・ヒューストン(サンディ・ウッドロウ、英連邦高等弁務官)
 ビル・ナイ(バーバード・ペレグリン、英国外務省アフリカ局長)
 ピート・ポスルスウェイト(ロービア、医師)
 ジェラルド・マクソーリー(ケネス・カーティス)
 リチャード・マッケーブ(アーサー・"ハム"・ハモンド、テッサの従兄弟)
 アーチー・パンジャビ(ギタ・ピアソン)
 ジュリエット・オーブリー
 ドナルド・サンプター
受賞:
 アカデミー賞
  ■助演女優賞 レイチェル・ワイズ
 ゴールデン・グローブ賞
  ■助演女優賞 レイチェル・ワイズ
 英国アカデミー賞
  ■編集賞 クレア・シンプソン
製作・ジャンル: 英国/サスペンス・ドラマ/128分

ナイロビの蜂 [DVD]








ジョン・ル・カレの同名ベストセラーの映画化。
原作小説は
ナイジェリア北部にあるカノで起きた実話を基にしたもの。
映画では、舞台はケニアのナイロビ。

物語はテッサの死からスタート。
主人公との出会いに始まる
過去の出来事を並行して描きながら、
妻の死の真相と、その陰に潜む陰謀に迫る。

タイトルは、ファインズ演じる
ガーデニングを趣味とするジャスティンを表わした言葉。
過激なまでに行動的な妻テッサとは対照的に
物事に波風を立てないことを主義とする静かな男。
constant には、"誠実な" という意味合いもあるだろうが、
それ以上に、
"活発な" 妻に比して、"動こうとしない" じれったい夫
に対する皮肉のようにも感じた。
観ていて、少々苛立ちを覚えるキャラクターだ。

ケンブリッジ出のR・ワイズは、その才女ぶりを生かし
自らの命を危険に晒してまでも陰謀を暴かんとする女性を熱演。
その魅力的な美貌を惜しみなくさらけ出す姿は
厭らしさを微塵も感じさせない。
オスカーに輝いたのも頷ける。

事件の鍵を握る医師ロービアに、P・ポスルスウェイト。
「ユージュアル・サスペクツ」のコバヤシ役がそうだったように
その顔立ちは、一度見たら忘れられない。
その上、長年RSCに在籍した彼。
実績に裏打ちされた演技派となれば、鬼に金棒。
本作での出番は短いものの、残した爪あとは確かなものだ。
残念なことに、昨年ガンで他界してしまった。

テッサとアーノルドが殺害されたトゥルカナ湖。
彼らは何を目的に湖に向かったのだろうか?

テッサの足取りを追うジャスティンも、その湖で死を迎える。
ジャスティンは自殺したのか、と一瞬思わせる。
その時点では、
やはりそういう煮え切らない女々しさがあるんだよ、この人物には
と侮蔑に近い感情を抱くのだが、
後でインサートされる、外された銃の弾倉の画と
テッサの追悼ミサで読まれるハムの弔辞で、
実はジャスティンは殺害されたのだと分かる。

トゥルカナ湖は、陰謀に関わる何かが潜む場所だったのか?
結局最後まで明かされることはなかった。

ペレグリンからサンディに送られた密書をめぐるドラマが
とてもスリリングで面白い。

だが、ラストが消化不良でいけない。
ペレグリンの指示のもと、テッサらが抹殺されたのは分かるが
実際に手を汚した連中の実態が分からないままで、不気味。
湖の謎、ジャスティンの死に様、
ペレグリンを取り巻くスキャンダルの結末など
描かれずに終わる事柄が多く、カタルシスを得られない。

ストーリー展開に不満が残る一方、
テッサを筆頭に、アーノルド、サンディ、ペレグリン、ロービアら
事件に関わる登場人物の素顔が
色濃く描かれている点が高く評価できる。

R・ファインズとアフリカが揃えば
名作「イングリシュ・ペイシェント」が思い浮かぶ。
あれから約10年。
主人公の人物像だけがもう一つ浮かび上がらないのは、
彼の演技を云々するよりも
脚本における人格面の描き方の弱さと
ファインズの、特徴の少ない容姿が相俟った結果
と解釈するのが妥当だろう。
 
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