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『禁断の惑星』 [洋画(カ行)]

「禁断の惑星」(1956)★★★☆☆60点
原題: FORBIDDEN PLANET
監督: フレッド・マクロード・ウィルコックス
製作: ニコラス・ネイファック
原案: アーヴィング・ブロック、アレン・アドラー
脚本: シリル・ヒューム
撮影: ジョージ・J・フォルシー
メイクアップ: ウィリアム・タトル
美術: セドリック・ギボンズ、アーサー・ロナーガン
編集: フェリス・ウェブスター
出演:
 ウォルター・ピジョン(エドワード・モービアス博士、言語学者)
 アン・フランシス(アルタイラ・"アルタ"・モービアス、博士の娘)
 レスリー・ニールセン(J・J・アダムス、艦長)
 ウォーレン・スティーヴンス(オストロウ中尉、船医)
 ジャック・ケリー(ジェリー・ファーマン中尉)
 リチャード・アンダーソン(クイン准尉)
 アール・ホリマン(料理兵)
 ジョージ・ウォレス(ボースン)
製作・ジャンル: 米国/SF/98分

禁断の惑星 [DVD]







宇宙移民時代に突入した23世紀。
20年前に連絡を絶った移民船ベララホン号を追って、
惑星アルテア4の調査に出た宇宙船C-57-D一行の顛末を描く。

艦長アダムスを演じるのは
「裸の銃を持つ男」などコメディで人気を博したL・ニールセン。
本作では真面目な役どころ。
外見的にも地味で、主役の一人ながら目立たない。

万能ロボット "ロビー" は親しみ深い存在。
その形状は、
本作の10年後に放映・ヒットするTVドラマ
「宇宙家族ロビンソン」の "フライデー" そっくり。
どちらも同じデザイナーが担当したようなので、当然ではあるが
"ロビー" や "フライデー" が
後のロボットのモデルとなったのは間違いない。
一方、動きが至極人間的。
当時の技術では仕方のないことだろうが
手足の関節の動きで、中に人間が入っているのが丸分かり。

ベララホン号の乗組員の中で
何故、モービアス夫妻だけが殺害されずに生き残ったのか。
博士の言を聞いても納得いかず、不明のまま物語は進行する。

さらに、姿の見えない怪物についても疑問が。
宇宙船の船内を破壊する怪物。
その足跡を基に作り上げた足型の大きさから、
恐ろしく巨大であることが判明。
人がやっと通れるほどのハッチから船内に進入したことと、
足跡から推測できる巨大な実体があることの間に、
明らかに矛盾が生じ、ここでもモヤモヤした疑問がわくのである。
のちに、攻撃を受け、レーザー光の中にその輪郭が浮かび上がるが
そこでも、やはり
人間の数倍ある巨大な体長であることが再確認されるから
疑問が見過ごせないものになるのは当たり前だ。

しかしながら、
観客にフラストレーションを溜めさせる、こうした疑問も
最後にきちんと解明される、という展開。
謎や疑問で観客の心理を引っ張る構成も、よく考えられたものだ。

あれだけ高度な技術がある星で
博士がある程度、理解・利用しているのであれば
一行は、博士に協力してもらえば
地球への交信だって、容易にできそうなもの。
尤も、それを言っては、この物語が成立しなくなってしまうが。

一時、恋敵となった艦長とジェリー。
怪物との闘いを前に、"君とはいろいろあったが" などと、
まるでこれが最期のようなやり取りがある。
そして、案の定、ジェリーは怪物にやられてしまうのである。
恋のさや当ても全く描いていないのに、
この流れは上っ面ばかりで、何ともお粗末。
恋愛など、端から描かなくていい。

謎解きのオーラス。
クレル人はイメージを客体化する技術を開発した。
ところが、それは潜在意識をも実体化する結果を招き、
それが "イドの怪物" となって自らを滅ぼした、という。
クレル人がいなくなれば、潜在意識の怪物も消えるはず。
クレル人とともに、20万年前に消滅したはずの怪物が
何故存在するのか。
それは、博士の潜在意識が新たな怪物を生んでいたから
と、心理的作用に原因を求めるアイデアは斬新。

突き詰めれば、
ここで問題となる潜在意識は、憎悪や破壊であり
それが "イドの怪物" の形をとって襲ってくるわけだが、
潜在意識に含まれる領域には、
正義や良心といったものだって存在するはず。
であれば、正義や良心が実体化した怪物も生まれてもおかしくない。
悪魔の怪物 vs 理性の怪物。
そんな人間心理の代理戦争が展開しても面白かった。

クレル人が、10進法やマイル単位のサイズが採用している点などは
地球人、殊、マイルを採用している欧米人を想起させ、
クリアできるはずの不備に、発想の限界をみる。

ドラマ的な面白さは皆無だが
時代を考えれば、
高度に進んだ文明の描写など、
テクニカルな部分も評価できるSF作品の佳作と言えよう。
 
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