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『BAT★21/バット21』 [洋画(ハ行)]

「BAT★21/バット21」(1988)★★★☆65点
原題: BAT 21
監督: ピーター・マークル
製作: デヴィッド・フィッシャー、ゲイリー・A・ニール、マイケル・バルソン
原作・脚本: ウィリアム・C・アンダーソン
脚本: ジョージ・ゴードン
撮影: マーク・アーウィン
音楽: クリストファー・ヤング
出演:
 ジーン・ハックマン(アイシール・"バット21"・ハンブルトン中佐)
 ダニー・グローヴァー(バーソロミュー・"バードドッグ"・クラーク大尉)
 ジェリー・リード(ジョージ・ウォーカー大佐)
 デヴィッド・マーシャル・グラント(ロス・カーヴァー、ヘリパイロット)
 クレイトン・ローナー(ハーリー・ランボー軍曹)
 エリック・アンダーソン(ジェイク・スコット曹長)
 ジョー・ドーシー(ダグラス大佐)
製作・ジャンル: 米国/ドラマ・戦争/105分

bat21.jpg

爆撃作戦を前に、偵察に出かけ撃墜された機から脱出。
戦場に一人放り出された将校と
その救出に奔走する偵察機パイロットの友情を
ベトナム戦時中の実話に基づいて描く。

タイトルの "バット21" とは、
電子兵器の専門家であるハンブルトン中佐のコードネーム。
同様に、"バード・ドッグ" も
偵察機を駆るクラーク大尉のコードネーム。
"バード・ドッグ" が
戦闘機を意味する軍隊スラングということは分かるが、
"バット" は文字通り、コウモリ爆弾を指すのだろうか。

夜中、すぐそばを通過するベトコンたち。
現場で米国兵が味わったその恐ろしさと言ったらないだろうな、
とベトナム戦争絡みの映画を見るたびに思う。

と同時に
常にアメリカサイドから見たベトナム戦争しか描かれないが、
ベトコンや現地の民間人だって、同じように
恐ろしい思いをしたに違いないのである。
これは、ベトナム戦争に限らず、
どの戦争にも言えることで、
トラウマを抱えた帰還兵が大勢いるのも、当然の帰結かもしれない。

子供との交流エピソード。
森に仕掛けられた串刺しの罠から中佐を守るベトナム人の少年。
お互いに礼の品をやりとりし、少年は手を振って去っていく。
戦争の緊張感の中に差し挟まれる、一時の優しい時間である。

これがハンブルトンが実際に体験した話かどうかは不明だが、
冒頭で、図らずも民間人を殺してしまったことを痛く気に病んだり
ベトコンが民間人を楯にしていれば、攻撃するな、と指示したり
といった具合に、
ハンブルトンという男には、戦争に携わる者ながら
一貫して命を尊重する姿勢が見える。

そんな人物を、
非情・卑劣な輩に扮することの多い
G・ハックマンが演じているというところが憎らしい。
実話を尊重して戦闘部分を地味に描いているであろう本作。
その中に入っては、浮いてしまうような派手な演技は一切封印。
さすが、どんな演出にも対応できる技巧派ぶりを見せている。

その中佐を救出する偵察機のパイロットには
良心の人から悪役まで幅広くこなすD・グローヴァー。
この作品では、もちろん前者である。
黒人訛りを全開にして、
ユーモアある、不器用な正義漢を好演している。

中佐一人を助けんがために
逆に、ヘリの乗組員たち四人が死亡する。
結果的に、犠牲者の数で言ったら、
助けに行かずともよかったのでは、などと一瞬感じた。
当たり前の話だが、冷静に考えれば
中佐の重要な立場・専門知識を別にしても
生存者を見殺しになどできないのだ。

救出ヘリのパイロットであるロスは、クラークの親しい戦友。
こちらの二人の友情については、描き方が中途半端で
ロスが地雷を踏み射殺されるシーンが全く響いてこない。

ところで、作品のストリームからは捨象されてしまっているが、
中佐と同乗していた戦闘機の乗組員は、どうなったのか。
墜落直後に中佐が訊ねる以外、最後まで触れられることはない。
観るほうとしては気になるのだが、
おそらくは発見不可能・死亡と言うことなのだろう。

脚色を抑え
派手なアクションものに仕立てなかったことで
主役二人の絆・友情を
静かだが確かな形で訴えることに成功している。

物語の大半、中佐と大尉のやりとりは無線のみ。
相手の姿形を知らなかった二人が
救出に成功した末に、初めて顔を合わせた感慨を
何かしら見たかったなあ、というのが心残りか。
 
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