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『スティング/ブリムストン&トリークル』 [洋画(サ行)]

「スティング/ブリムストン&トリークル」(未)(1982)★★★★☆75点
原題: BRIMSTONE & TREACLE
監督: リチャード・ロンクレイン
製作: ケニス・トロッド
製作総指揮: ネイム・アタラー
脚本: デニス・ポッター
撮影: ピーター・ハナン
音楽: マイケル・ナイマン
出演:
 スティング(マーティン・テイラー)
 デンホルム・エリオット(トム・エジーキエル・ベイツ)
 ジョーン・プロウライト(ノーマ・ベイツ、トムの妻)
 スザンナ・ハミルトン(パトリシア・ベイツ、トムの娘)
 メアリー・マクラウド(ヴァレリー・ホールズワース、トムの秘書)
 ベンジャミン・ホイットロー(ビジネスマン)
 ダドリー・サットン(浮浪者)
 ティム・プリース(牧師)
製作・ジャンル: 英国/ドラマ・サスペンス/85分

スティング/ブリムストン&トリークル [DVD]








轢き逃げに遭い口も利けない寝たきり状態の娘を抱えた夫婦宅に
詐欺師まがいの青年が言葉巧みに入り込むサスペンス映画。
TVドラマを映画としてリメイクしたもの。

当時、ポリスのベーシスト・ボーカリストとして脚光を浴びていた
スティングが主人公マーティンに扮した。

"ミュージシャン" スティングと言うと
スタイリッシュでクールなイメージが強かったが
演技をする彼は、随所に人懐っこい表情を見せ
いい意味で、予想を大きく裏切ってくれている。
と言っても、もう30年前の映画なのだが…
ともあれ
その柔らかく親しみ深い部分があるからこそ、
マーティンの、残酷・狂気を孕んだ側面が生きている。

ドラマのほとんどが、
主要3人により、ベイツ宅という特定の空間で繰り広げられる。
マイケル・ケインとクリストファー・リーヴが出演した
「デストラップ」を思わせ、実に演劇的。
現に、映画化に先んじて、舞台化が実現している。

トムを演じたD・エリオットは
「インディ・ジョーンズ」シリーズなど
ハリウッド映画でも活躍した名脇役。
本作でも、信仰心薄く疑り深い偽善者を堅実に演じている。

ノーマ役のJ・プロウライトも、知る人ぞ知る名女優。
かのローレンス・オリヴィエの妻だった人であり、
ここでも、実直で可愛らしい妻を演じて
舞台に映画に活躍した演技力を発揮している。

エンディング・ロールで流れる『Spread a Little Happiness』は
ウェストエンドのオーソドックスなミュージカルナンバーっぽいなあ
と思って調べてみたら、
本当に、1920年代初演・80年代リバイバル上演された
「Mr. Cinders」というミュージカルのヒットナンバーだった。

この曲を含め、
スティングが、作品中の多くのナンバーを歌っている。
かと言って、
彼の人気におんぶに抱っこの
スティング・フィーチャー映画に留まっていないのは、
先にも書いたように
演劇的な脚本と、実力確かな脇役陣に支えられているからである。
日本未公開作品だというのが、何とも解せない。

マーティンがパトリシアに襲い掛かるのが少々急で、
スリルやサスペンスといった要素は弱い。
1時間半に満たない、尺の短さを考えると
マーティンが悪魔の本性を見せるまでの過程を
もっとじっくり描いてもいいだろう。

30年の時を経て、思わぬ拾い物。
 
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