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『アナザー・カントリー』 [洋画(ア行)]

「アナザー・カントリー」(1983)★★★★☆80点
原題: ANOTHER COUNTRY
監督: マレク・カニエフスカ
製作: アラン・マーシャル
製作総指揮: ロバート・フォックス
原作: ジュリアン・ミッチェル
脚本: ジュリアン・ミッチェル
撮影: ピーター・ビジウ
音楽: マイケル・ストーン
出演:
 ルパート・エヴェレット(ガイ・ベネット)
 コリン・ファース(トミー・ジャド)
 ルパート・ウェンライト(ドナルド・デヴニッシュ)
 マイケル・ジェン(バークレー)
 トリスタン・オリヴァー(ファウラー)
 ケイリー・エルウィズ(ジェームズ・ハーコート)
 ジェフリー・ベイトマン(イヴゲニ)
 フレデリック・アレクサンダー(ジム・メンジース)
 エイドリアン・ロス・マジェンティ(ウォートン)
 フィリップ・デュピイ(マーティノ)
 ジェフリー・ウィッカム(アーサー)
 ロバート・アディ
受賞:
 カンヌ国際映画祭
  ■芸術貢献賞 ピーター・ビジウ(撮影)
製作・ジャンル: 英国/ドラマ・青春/92分

アナザー・カントリー HDニューマスター版 [DVD]








1930年代のイギリス。
英国パブリックスクールの最高峰イートン校を舞台に
展開する権力闘争と同性愛をテーマに描く。
まさに国家の縮図を描いた本作、
私たちが観るのは、原題どおり、"もう一つの国" である。

また、主人公ガイ・ベネットは、
ガイ・バージェスという
実在した英国人スパイがモデルとなっている。

教会や学園が舞台となる英国映画を観るにつけ
この国の伝統の荘厳・重厚・格式といったものを印象づけられる。
とともに、その裏に
束縛・差別・形式・抑圧など負の遺産を大いに感じざるを得ない。

パブリックスクールの寮生活は
日本人が中高の男子校に描くイメージとはかなりかけ離れている。
禁断の同性愛に身を任せる者も少なくないだろうし、
一流になればなるほど、異性との隔絶も厳しくなるだろうから
当然の帰結かもしれない。

主人公のベネットもホモセクシュアル。
左翼学生・ジャドとの固い友情が
いかにも青春物で、何とも心地よい。

ファウラーは、扮したT・オリヴァーの外見も手伝って、
権力主義者、あるいは台頭してくるファシストの権化として
見事な役回りを演じている。

ベネットに扮するのは、
のちに、「理想の結婚」のアーサー・ゴーリング役で
その俳優資質の確かだったことを証明するR・エヴェレット。

片や、その親友ジャドを演じるは、
「英国王のスピーチ」でオスカーを手にしたC・ファース。

ちなみに、この作品は舞台の映画版であり、
舞台初演キャストを紹介すると、
ベネットは、映画と同じエヴェレット、
ジャドは、これが舞台デビューとなったケネス・ブラナー。
ファースも映画化直前、舞台で主役ベネットを演じている。
英国の名優を多数輩出した名作舞台といっていい。

ベネットにせよ、ジャドにせよ、
迎合することを拒み、その真っすぐさを貫くがゆえに、
既存の階級社会からはじき出され、
スパイ活動やスペインの内乱に身を投じていくことになる。

精神こそ美しいが、その末路に悲しさを覚えずにはおかない。
一口に、俳優と言うが
舞台を主戦場に置く "役者" と呼ばれる我らに
どこかしら通じるものを感じるのは私だけだろうか。
ただ、青臭いってだけかも分からないが…
 
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