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『戦火の馬』 [洋画(サ行)]

「戦火の馬」(2011)★★★★☆75点
原題: WAR HORSE
監督・製作: スティーヴン・スピルバーグ
製作: キャスリーン・ケネディ
製作総指揮: フランク・マーシャル、レヴェル・ゲスト
原作: マイケル・モーパーゴ
脚本: リー・ホール、リチャード・カーティス
撮影: ヤヌス・カミンスキー
プロダクションデザイン: リック・カーター
衣装デザイン: ジョアンナ・ジョンストン
音楽: ジョン・ウィリアムズ
編集: マイケル・カーン
出演:
 ジェレミー・アーヴァイン(アルバート・ナラコット)
 エミリー・ワトソン(ローズ・ナラコット、アルバートの母)
 ピーター・ミュラン(テッド・ナラコット、アルバートの父)
 デヴィッド・シューリス(ライオンズ、デイヴィッドの父・地主)
 マット・ミルン(アンドリュー・イーストン、アルバートの親友)
 トム・ヒドルストン(ニコルズ大尉)
 セリーヌ・バッケンズ(エミリー)
 ニエル・アレストリュプ(エミリーの祖父)
 デヴィット・クロス(ギュンター)
 レオンハルト・キャロウ(ミヒャエル)
 ベネディクト・カンバーバッチ(ステュアート少佐)
 ロバート・エムズ(デイヴィッド・ライオンズ)
 トビー・ケベル(コリン、英国兵士)
 パトリック・ケネディ(シャルリエ・ウェイバリー中尉)
 エディ・マーサン(フライ軍曹)
 ニコラス・ブロ(フリードリヒ)
 ライナー・ボック(ブラント)
製作・ジャンル: 米国/ドラマ・戦争・動物/146分

戦火の馬(スティーブン・スピルバーグ監督) [DVD]






S・スピルバーグが第1次大戦を舞台に
一頭の徴用馬と、それを育てた少年との友情と絆を描いたドラマ。

主演のJ・アーヴァインは、本作がデビュー。
日本のドラマでも、子役の活躍が目覚しい昨今だが
普通に台詞を言える才能さえあれば、
必ずしも深みの必要のない、純粋な子供心を
表現するのには難はなく、
それなりに高い評価を受けるだろう、
というのが私の子役観の一つである。
棒読みせず、自分の言葉として会話できるということは
その役の背景や人間関係を無意識に理解できている証だと思う。

共演者クレジットの中には
強力サポーターのエミリー・ワトソンが名を連ねている。
彼女の出演舞台「十二夜」を、NYで観たことがある。
「十二夜」と言えば、シェイクスピア作品の中でも
最も多く上演される喜劇の一つである。
私自身も、アントーニオー役で舞台を踏んだことがあるし
客席からも何度も観ている作品であるが
このコメディにあって、涙を流したのは
彼女エミリー・ワトソンの演技に対してだけである。
喜劇として位置づけられる作品であっても
全編が笑いをとることに向けて描かれているわけではなく、
"心根の美しさや、憐憫の情を掻き立てる瞬間だってあるのだ"
ということを知らしめてくれた名女優である。
ちなみに、
本作では肝っ玉母さん・しっかり女房を演じている彼女、
「十二夜」では、公爵に恋する主役の乙女を演じていた。

馬という動物は、本当に美しい。
駆ける躍動感、飛越の美しさ、流れる鬣。
他の動物とは一線を画す華麗と優雅さを感じる。

生まれたときから、駿馬と評価された "ジョーイ" は
気性が荒く、嫌われることも多いが
プライドと自由への渇望を源とする点で
ただ気の強い荒馬とは違っていた。

アルバートの父、テッド。
のちにジョーイと名づけられる仔馬を
小作料のかたに入れ、
農耕馬としても、簡単に見切りをつけてしまう。
あまりにもアッサリしすぎていて、
妻に無断で大枚はたいてまで競り落とした理由が薄弱。
競りの段階で
仲間から、サラブレッドは農耕馬には向かないと
諌められていたのに
その反対を押し切って手に入れたのには
何かしらジョーイの才能を信じていたはずなのに…

タイトルどおり
徴用されたのちは、数々の戦場を乗り切っていくわけだが
映画の大半を占めるそのシーンについては
少々中弛みする感を否めない。

ジョーイの後を追おうとするも、
年齢制限で叶わなかったアルバートも
一次大戦が長引く中、
戦場にて、ジョーイと再会を果たす。
四白(四肢の足元が白い)で
鼻面にダイヤモンド型の白い流星があるジョーイ。
泥に黒く汚れていたために、
自分の馬だというアルバートの主張は認められない。
泥が拭われ、真実が明らかになるオーラス。
筋書きは分かっていても、ジーンときてしまう。

その後、戦争は終結し
再び競りにかけられるジョーイ。
競り落としたのは、フランス人娘エミリーの祖父で
ジョーイが戦火をくぐり抜ける中で出会った人たちの一人。
彼からアルバートの手に戻される、このシークエンスは
ドラマチックに描くのに失敗しているが、
それでも涙が静かにこみ上げてくる。

ジョーイとともに
テッドの南ア戦線で活躍した証である "小旗" が旅をする。
父子、そしてアルバートとジョーイを結びつける
大切なアイテムの一つであるが
手笛がその役目を十分に果たしているのに対し、
こちらの小旗はもう一つ効果的でない。

子供と動物には勝てない、と言われる映像界。
戦火をバックにその美しさがいや増している本作も
少年をはじめとする人との絆に感動し
ジョーイの持つ意思とプライドに美学を感じる。
 
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