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『パラノイドパーク』 [洋画(ハ行)]

「パラノイドパーク」(2007)★★★☆65点
原題: PARANOID PARK
監督・脚本・編集: ガス・ヴァン・サント
製作: ニール・コップ、デヴィッド・クレス
原作: ブレイク・ネルソン
撮影: クリストファー・ドイル、レイン・キャシー・リー
出演:
 ゲイブ・ネヴァンス(アレックス)
 ダン・リウ(リチャード・ルー刑事)
 テイラー・モンセン(ジェニファー)
 ジェイク・ミラー(ジャレッド)
 ローレン・マッキニー(メイシー)
 スコット・グリーン(スクラッチ)
 ジョン・マイケル・バローズ(警備員)
 グレイス・カーター(アレックスの母)
 ジェイ・ウィリアムソン(アレックスの父)
 クリストファー・ドイル(トミー、アレックスの叔父)
 ディロン・ハインズ(ヘンリー)
 エマ・ネヴァンス(ペイズリー)
 ブラッド・ピーターソン(ジョルト)
 ウィンフィールド・ジャクソン(クリスチャン)
 ジョー・シュワイツァー(ポール)
製作・ジャンル:フランス=アメリカ/ドラマ・青春・クライム/85分

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ガス・ヴァン・サント監督作品と言えば、
「ドラッグストア・カウボーイ」「小説家を見つけたら」など、
揺れ動く若者の心理を
繊細だが、感傷に頼らず表現する印象がある。

本作では、主人公アレックスが
貨物列車に飛び乗る危険な遊びに興じる中、
過失致死を犯してしまう経緯を、時系列を前後しながら描く。

下からの、あるいは低めのアングルは
アレックスの目線を意識したカメラワーク。
そして、緊迫感を表わす長い沈黙の間合い。
若者を等身大で描く上で非常に効果的である。

列車の車輪で、胴体を真っ二つに切り裂かれた警備員。
上半身だけで這いながらアレックスに近づくシーンは
グロさはあまり感じさせないが、ショッキングな映像だ。

"セックスまで進むと、女の子との関係は面倒になる"
アレックスは、ヤリたい盛りの高校生にしてはきわめて珍しい。
そこそこ綺麗な彼女と別れ
お世辞にも可愛いとは言えない女友だちと時間を共にする。
背伸びしているでもない、斜に構えているでもない、
その冷静さは、私には
澄み切った湖面のように純粋なものに映り、羨ましく思う。
それとも、これこそが象徴的な現代の若者なのか。

"手紙にしたためれば、気持ちが楽になる" という
メイシーのアドバイスに従って、
筆を走らせ、そして火にくべるアレックス。
それで、事件に決着をつけられるのか、
忘却の彼方に葬り去ってよいものなのか。
多感な時期だけに、大人になっての出来事よりずっと
心の傷になるのではないだろうか。
自首して法の裁きを受けるほうが、その後の人生は楽に思える。
私ならどちらを選ぶかも分からないし
どちらが正解とも断言できない。
そういう曖昧さと混沌を多分に孕むのが若者の証だ。

監督が、脚本から編集まで手がけているように
プロット・構成・映像、
どれを取っても綿密に練り上げられ
決して激情的に描かない姿勢は高く評価できる。
ただ、自分の青春期を振り返り頭では理解するのだが
あまり私の胸に響いてこないのは、
私が愚鈍な大人に成り下がってしまったせいだろうか。

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