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『ブラインド・ミッション』 [洋画(ハ行)]

「ブラインド・ミッション」(未)(2001)★★★☆70点
※(未):日本未公開作品
原題: AANKHEN
監督・脚本: ヴィプル・アムルトラル・シャー
脚本: アーティーシュ・カパーディア
原作: ショーバナ・デサイ
撮影: アショーク・メーヘーター
美術: ジャヤント・デシュムーク
音楽: アーデーシュ・シュリヴァースタヴァ、ジャッティン・ラリット
衣裳: ロシャン・モーミン
出演:
 アミターブ・バッチャン(ヴィジェイ・ラジプート、元ヴィラスラオ・ジェファソン銀行支配人)
 スシュミター・セーン(ネーハ・スリヴァスタヴ、盲学校教師)
 アクシャイ・クマール(ヴィシュワース・プラジャパティ)
 アルジュン・ラムパール(アルジュン・ヴェルマ)
 パレッシュ・ラワル(イリアス)
 アディティヤ・パンチョリー(副本部長・刑事)
 アルーン・バリ(ゴエンカ、銀行頭取)
 アジート・ヴァッチャーニー(バンダーリ、銀行役員)
 パレーシュ・ガナトラ(シャイレシュ)
 マルヴィカ・シン(ディルナズ、女性行員)
 ビパーシャ・バース(ライナ)
 カシュミラ・シャー
製作・ジャンル: インド/サスペンス・犯罪/165分

aankhen.jpg

支配人の座を追われた男が
盲人を使った銀行強盗によって復讐を図るクライム・サスペンス。
オリジナルは165分のようだが
私が視聴したのは、125分ほどに編集されたバージョン。

インド物の鑑賞は
「スラムドッグ$ミリオネア」(インドを舞台にした英国映画)以来。
インド映画の特徴であるダンス。
本作も主役ラジプートを演じるアミターブ・バッチャンを
センターに据えた群舞で映画が始まる。

インド事情にまったく疎い私。
彼の地では、アミターブ・バッチャンはスーパースターらしい。
冒頭では、彼のキャラクター紹介となる専制的なエピソード。
一転、彼が "静" を貫き進行する中盤の訓練・強盗のシーンでも、
その典型的なアーリア人種の風貌と相俟って、
場に緊張感を与え、ドラマをギユッと引き締めている。

また、ネーハに扮するスシュミター・セーンは
プロポーション抜群の美人。
インド初のミス・ユニバースというのも納得の美しさ。
今、私のPCの壁紙は彼女の顔のアップである。
女優としても大成功を収めており、ハリウッドにも進出している模様。
俄然、インド映画に興味が湧いてきた。

支配人時代のラジプートは、
残酷なまでに、妥協を許さない冷血漢。
お得意様の金を1ルピーくすねた行員を
受付のガラス窓に叩きつけ、殴り倒す。

ところで
額の大小を問わず、
ネコババすれば懲戒免職になるのが定石と思うのだが
この行員、その後も銀行で働いている。
脚本が雑なのか、これがインドの常識なのか。

銀行から追放されたラジプートは
自ら設計したセキュリティ万全の銀行本店を襲撃する、
という至難の復讐劇を企てる。
ふと通りがかった盲学校での出来事をきっかけに
盲人を銀行強盗に使うことを考えつく。
成功率には疑問符がつく計画だが、発想の意外性には感服する。

ヴィシュワースの紹介のときだけ
PVのような映像とともに歌いまくる。
あまりに唐突で、こんなところで、こんなポップな音楽を流すか?
と突っ込みたくなる場面もあり、まだまだインド流に慣れない。
だが、"これぞインド映画の売り" と楽しむほうが得策のようだ。

黒幕として、存在を伏せて訓練を見守るラジプート。
第六感の働くヴィシュワースだけは、
初めから黒幕が常に同席していることを察し
ことある毎に、ボスの正体を暴いてやろうと試みる。
ヴィシュワースのふてぶてしさが招く緊迫感がたまらなくいい。

脅迫や騙しで加担を余儀なくされた盲人たちとネーハ。
訓練を通じ、彼らの間には友情が芽生え、絆を深めていく。
ドラマを生むには対立が不可欠。
彼らとラジプート。
目的を同じくしながらも動機を異にするところから
対立構造もしっかり構築されている。
まさしく、これが軸になって作品を面白くしているのだ。

サングラスをしているシーンも多々あるため
背格好の似ているアルジュンとヴィシュワースの区別がつきにくい。
よく見れば髪型も顔立ちも結構違っているのだが
ちょっと引きの画になると…少なくとも、私には分かりづらかった。

宝石の隠し場所を追及する中、
ラジプートはイリアスを殺してしまう。
約束になかった殺害を許しがたくなったネーハ。
自分がいなければラジプートを追い詰められると悟った彼女は
弟より残された仲間の2人を救うため、彼女は自殺の道を選ぶ。
ヒロイン的存在だと思っていたネーハが死ぬのには
そうあってほしくないという願望もあって、ちょっと衝撃だった。

ネーハの望みどおり
ラジプートに容疑がかかる流れとなるのだが、
ネーハが生前、用意周到に
訓練用の銀行セットを処分していた事実には、見事一本取られた。

ラストのどんでん返しは
少々ご都合主義の感を否めないが、
終演後の顛末を観客の想像に任せる終り方は味わい深い。

痛快な復讐劇だと思っていただけに
予想のつかない展開はスリル満点で
最後まで観る者を飽きさせない。
すでに、ハリウッドがリメイク権を手に入れているそうである。
日本未公開の本作、DVDも発売されていないとは残念だ。
  
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ひろし

はじめまして、ひろしです
今年に感想を書かれているご様子
私は三年ほど前だったが偶然に観て
印象に残っていてこちらへたどり着きました
どのようにしてご覧になられたのかお教えいただきたいと
思い連絡させていただきました
よろしければお教えください

大阪在住 ひろし
by ひろし (2012-09-20 12:31) 

ケイイチロウ

>ひろしさん

はじめまして。
ブログ、見てくださってありがとうございます。

最近更新するヒマがなく、
気づくのが遅くてごめんなさい。

この映画は、視聴契約しているひかりTVのチャンネルで
録画しておいたものです。

いつ、どの局の放映を録画したかは覚えていませんが
シネフィル・イマジカ(今はIMAGICA BSと改称)か、ザ・シネマのいずれかのチャンネルだと思います。

私は、
ジャンルやあらすじについての情報を敢えて入れないで、
直観や、なんとなく興味を持ったというだけで
録り溜めしておくんです。

ですから、この作品も
いざ観るまではインド映画であることすら知りませんでした。

あまり、参考にならないと思いますが
これで回答になったでしょうか。

by ケイイチロウ (2012-10-22 00:33) 

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