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『可愛い悪魔 いいものあげる』 [邦画(カ行)]

「可愛い悪魔 いいものあげる」(1970)★☆☆☆30点
監督: 井上芳夫
企画: 関幸輔
脚本: 安本莞二、増村保造
撮影: 小林節雄
録音: 須田武雄
照明: 上原正一
美術: 間野重雄
音楽: 西山登
主題歌: 『いいものあげる』(作詞:馬飼野俊一、作曲:乗田正美、歌:渥美マリ)
出演:
 渥美マリ (石川ゆみ)
 田村亮 (津村桂一)
 福田豊土 (滝田徹也、土地開発会社社長)
 高橋昌也 (松崎、繊維問屋 "松崎商事" 社長)
 高橋[関根]惠子 (節子、松崎の娘)
 山岡久乃 (静子、芸者置屋の女将)
 加藤嘉 (滝田、金融会社社長・徹也の父)
 夏圭子 (ハツ子、クラブのNo.1ホステス)
 八並映子 (仲子、桂一の友人の妹)
 真山知子 (菊千代、芸者)
 清水美沙子 (りき哉)
 中吉卓郎 (関沢、松崎商事経理部長)
 中田勉 (足立)
 荒木康夫 (田村)
 竹里光子 (髪結の女)
 豪健司 (クラブ支配人)
製作・配給・ジャンル: 大映/ダイニチ映配/ドラマ/83分

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肉体派女優・渥美マリが、
一介の芸者から体を武器に自立する女性を演じた作品。

初めて出演作品を観る渥美マリは
和製ブリジット・バルドーと言われただけあって
目を引く顔立ちだが
それだけに、大きな丸っこい瞳が和服に似合わない。

田村亮は、田村三兄弟で一番甘い二枚目。
若い頃から説教臭い語り口なんだ、と新たな発見。

ゆみが田村扮する恋人に処女を捧げるシーンで
波音と大きな白波の映像がオーバーラップする。
今では陳腐にしか映らないこの手法は、
まさに "おお、これぞクラシック" と言った演出。

水揚げの夜、滝田は
生娘の抱き方を説明しながら、ゆみの襦袢を脱がせるのだが
"生娘ってのは柔らかい桃の実だ" に始まる一連の台詞は
文学的であり、またとてもエロティックな響きを持つ。

クラブで飲んだ後、アパートまで送ってくれた徹也を
"好きな人か、沢山お金をくれる人以外寝ない" と言い放ち
張り倒して追い出す姿は、やたらクネクネしていて笑える。

男たちは、ゆみの肉体を求めて寄ってくる。
いつの日かクラブを経営することを夢見、
女を利用して一歩一歩前進していくゆみは力強い。
そこには、愛と金をはっきり区別した生き方がある。
しかし、それは二者択一の問題であり
愛でなく金を選び、恋人・桂一に別れを告げる結末は
当時のウーマンリブ思想を背景に、
純愛を軽視しているようで好きになれないし、
一方をとるために他方を捨てる、という考えは
あまりに短絡的で、そこに哲学はない。

女性差別排除を叫んだ時代は遠い過去。
男女区別の必要が見直され、
そのベクトルはむしろ逆を向いていると言ってもいい現代、
こういった作品は全く心に響かないのではなかろうか。

実年齢を演じる関根は、まだまだ初々しい。
それでも、ラストで
黒いドレスと真珠のネックレスに身を包み
クラブに登場する姿はぐんと大人っぽい。
生まれ持った女優としての資質の高さは隠せないものだ。
 
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