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『ダンディー少佐』 [洋画(タ行)]

「ダンディー少佐」(1965)★☆☆☆30点
原題: MAJOR DUNDEE
監督・脚本: サム・ペキンパー
原案・脚本: ハリー・ジュリアン・フィンク
脚本: オスカー・ソウル
製作: ジェリー・ブレスラー
撮影: サム・リーヴィット
音楽: ダニエル・アンフィシアトロフ
出演:
 チャールトン・ヘストン(ダンディー少佐)
 リチャード・ハリス(タイリーン大尉)
 ジェームズ・コバーン(ポッツ)
 ジム・ハットン(グラハム)
 マイケル・アンダーソン・Jr(ライアン)
 センタ・バーガー(テレサ・サンティアゴ)
 マリオ・アドルフ(ゴメス軍曹)
 ブロック・ピータース(イソップ)
 ウォーレン・オーツ(O・W・ハドリー)
 ベン・ジョンソン(チラム軍曹)
 R・G・アームストロング(ダールストロム)
 L・Q・ジョーンズ(アーサー・ハドリー)
 スリム・ピケンズ(ワイリー)
 カール・スウェンソン(ウォーラー)
 マイケル・ペイト(チャリバ)
 ジョン・デイヴィス・チャンドラー(ベンティーン)
 ダブ・テイラー(プリアム)
 ベゴナ・パラシオス(リンダ)
製作・ジャンル: 米国/アクション・戦争・ドラマ/124分

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時は南北戦争末期。
中隊を全滅され、その報復に立ち上がる北軍少佐ダンディーの
凶悪なアパッチ・チャリバ討伐行を描いた戦争アクション。

主演はチャールトン・ヘストン。
ヘストンというと、つい三船敏郎を思い出してしまう。
言ってみれば、南北戦争は米国人にとっての時代劇。
時代劇の大物俳優という意味で思い出すのか、
存在感は圧倒的だが、演技がイマイチという点で共通するからか。

ドラマ上の敵役・タイリーンを演じたR・ハリスや
斥候として雇われているポッツ役のJ・コバーン。
この2人の脇役の演技が作品の核を支えている。
本作では、彼らの存在があってはじめて
ダンディーが主役たりえている。

この物語では
捕虜や囚人から志願兵を募るという、少々まれなケースだが
南北戦争時代、
アメリカ原住民の襲撃に対し、
南軍・北軍が共闘するということはあったのだろうか。
ここでは、それどころか
アパッチ族だけでなく、フランス軍まで相手にするのだ。

映画冒頭でタイリーンに罵られるように
ダンディーの仕事は、詰まるところ牢番である。
捕虜・囚人を管理している一将校が
仲間が虐殺されたことに憤り、使命感に突き動かされたからといって
敵兵や犯罪者との少数の混成部隊だけで
いつ果たせるとも知れぬ討伐に乗り出すのは無謀である。
無謀であるからこそ、
アクション活劇としての面白さも生まれるのだが。

討伐隊に加わるのを固辞していたタイリーンが
ダンディーの頼みである従軍を承諾する時、
負傷と失恋で酒におぼれるダンディーが
タイリーンの叱咤で戦列復帰する時。
いずれも、最後の最後まで説得相手に抵抗する。
往生際の悪いこと。
両者とも "アパッチ討伐が終わるまでだ" という台詞を約束手形に
ようやく腰を上げるのだ。
そこには、荒々しく闘う男らしさ・潔さは感じられない。

食糧・弾薬の補給の為、メキシコの村を占領するフランス軍を襲撃。
劇中盤は、この村やそこで知り合った女性とのエピソードが加わる。
バーガー扮するドイツ人女性・サンチャゴをめぐって
ダンディーとタイリーンの間にいざこざが生まれるが
これまた子供っぽい。
これはペキンパーが意識的に狙った皮肉だろうか。
強く見える者ほど、実は内面的に小さい、と。

ダンディーがサンチャゴと水浴びする池(川?)は
往時のカラーフィルムらしい美しい色彩に彩られている。
水浴びのシーンで披露される豊満な肉体は
バーガーの魅力の一つで、男性陣へのサービスショット。

バーガーとダンディーの恋は
盛り上がりを見せることなく、唐突に終わるし
前述したように、
軸をなす男2人の対立を
却って、薄っぺらいものにしている。

ストーリー上、目玉となるはずのチャリバとの一戦は
いとも簡単に片がつき
見せ場は、望まないフランス軍との闘いへ。
オーラスだけに、派手に繰り広げられるが
やはり、兵士の圧倒的な数の違いが気になる。
アパッチ戦でもそうだったが
フランス軍兵士たちは、指揮官と思われる将校以外
銃を持たず、剣だけで戦うのである。
そりゃあ、少人数でも銃砲備えてるからいい戦いになるだろう。
しかし何故、仏兵は銃を持っていないのか。
巧みな戦略があるわけでもないので
大軍を相手に壊滅しないことに納得がいかなくなってしまう。

タイリーンの戦死で
ダンディーとタイリーンの対決は果たされずに終わる。
だが、敵軍の只中に突っ込んでいくタイリーンは
銃弾を受けたとはいえ、普通に馬を駆ることができる状態。
ダンディーに別れを告げて意気揚々と走り去るから
やってきた大軍は南軍なのかと勘違いした。
犬死も同然に突撃する理由が分からず
ここで完全に興味が失せた。

現実味・具体性に欠ける状況設定、
エキサイティングとは程遠い戦闘シーン、
無駄なエピソード、
うやむやに終わる主軸の対立など、
綻びが随所に散りばめられた失敗作。
 
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