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『命を賭ける男』 [邦画(ア行)]

「命を賭ける男」(1958)★★☆☆☆40点
監督: 加戸敏
脚本: 八尋不二
企画: 浅井昭三郎
製作: 永田雅一
撮影: 牧田行正
美術: 上里義三
音楽: 鈴木静一
録音: 大谷巖
照明: 加藤庄之丞
出演:
 長谷川一夫(幡随院長兵衛)
 川口浩(白井権八)
 市川雷蔵(水野十郎左衛門)
 山本富士子(おきぬ)
 近藤美恵子(おあい)
 浦路洋子(小紫/一重)
 田崎潤(坂部三十郎)
 舟木洋一(本庄助八)
 月田昌也(半間の半次)
 見明凡太朗(本多出雲守)
 潮万太郎(小仏小平)
 伊沢一郎(夢の市郎兵衛)
 清水元(放れ駒四郎兵衛)
 沢村宗之助(大久保彦六)
 徳川夢声(講釈師竜玉斎)
 浦辺粂子(おとよ)
 香川良介(石谷将監)
製作・配給・ジャンル: 大映/大映/時代劇・任侠/102分

命を賭ける男.jpg

長谷川一夫、山本富士子、市川雷蔵、川口浩
と、豪華俳優が集った大映時代劇。

権八が、好いた女の父を斬り、鳥取の地から逃れる場面に始まる。
なぜ因州・鳥取なのか、と疑問に思ったが
深い意味は全くなさそうだ。

一方、江戸で旗本が横暴を振るう、という設定は定番。
歳を重ね、悪役が板につきはじめた田崎が
無法者集団・白柄組を掌握する坂部を演じている。

白柄組との小競り合いをきっかけに
江戸の平穏を守る町奴・長兵衛の元に世話になる権八。
女絡みで逃げてきた権八は、江戸でも女に御執心。
姑息な手段で、因州からの追っ手を討ち
武士の潔さの欠片もない権八は、
オーラスで、自分を助けに来た長兵衛の身を案ずることもなく
花魁・小紫の元へと戻っていく。
冒頭、その気風の良さから長兵衛が引き取る流れだが
気風がいいというより、
義理よりも女という、自分勝手な若造にすぎない。

終盤、湯殿でのシーン。
一旦和解するも
仲間の裏切りから、長兵衛を討たざるを得なくなる水野。
自分の命と引き換えに
今後江戸の町民に狼藉を働かないという約束を取りつけ
水野が手にする槍を、自ら胸に突き立てた長兵衛。
やはり、男気ある役を演じさせたら、長谷川一夫は天下一品だ。

長兵衛の棺から離れ、おきぬが泣き叫ぶ。
"親分、あなたは死んじゃいない。
江戸の人たちの心の…心の中に、
いつまでも、いつまでも生きているんです"

言葉を切りながら言い直しながらの台詞回しは、
いかにも時代劇って感じを抱かせる。
こういった、日本映画の初期を担った作品における演技が
のちにテレビ物の時代劇の製作者・出演者たちに
大きく影響を与えているんだな、と再認識。

長兵衛の死の直後、
白柄組に、取り潰し・切腹のお沙汰が下る。
ならば、長兵衛が死ぬこともなかったじゃないか
と観る者の胸には口惜しさがあふれるはず。

他のエピソードについても
因州の恋沙汰の結末はうやむや、
江ノ島で父を無礼討ちにされたおあいの仇討ちは尻切れ。
長兵衛の恋心をようやく打ち明けられるも
妻の座はつかの間、夫の亡骸を前にするおきぬは報われない。

『遊侠五人男』と同じ脚本家と監督が手がけた時代劇だが
心から楽しめる娯楽物『遊侠~』とは大違い。
中途半端と辛気臭い話ばかりで、居たたまれない気持ちになる。
 
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