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『クライマーズ・ハイ 』 [TVドラマ]

「クライマーズ・ハイ 」(TV)(2005)★★★★90点
演出: 清水一彦(前編)、井上剛(後編)
原作: 横山秀夫
脚本: 大森寿美男
プロデューサー: 若泉久朗
美術: 深井保夫
撮影: 佐々木達之介
照明: 鈴木岳
音楽: 大友良英
出演:
出演:
 佐藤浩市(悠木和雅、北関東新聞社・日航全権デスク)
 松重豊(岸文平、同政治部デスク)
 光石研(田沢直人、同社会部デスク)
 大森南朋(佐山達哉、同社会部・群馬県警記者クラブ)
 新井浩文(神沢夏彦、同社会部)
 大和田伸也(粕谷亘輝、同編集局長)
 塩見三省(追村忠士、同編集局次長)
 綿引勝彦(伊東康夫、同販売局長)
 杉浦直樹(白河、同社長)
 赤井英和(安西耿一郎、同販売部)
 岡本信人(稲岡信也、同文芸部)
 石井愃一(亀嶋格、同整理部長)
 橘ユキコ(編集部庶務・配信部員)
 久遠さやか(依田千鶴子、同編集部庶務)
 岸部一徳(等々力竜司、同社会部長)
 谷本一(守屋政志、同政治部長)
 安居剣一郎(望月亮太、元同社会部記者)
 美保純(悠木弓子、悠木の妻)
 大川翔太(悠木淳、悠木の息子)
 木村茜(悠木由香、悠木の娘)
 岸本加世子(安西小百合、安西の妻)
 高橋一生(安西燐太郎、安西の息子)
 川口翔平(安西燐太郎・少年時代)
 石原さとみ(望月彩子、望月の従妹)
 中村優子(遺族の女性)
 伊武雅刀(末次勲、安西の登山仲間)
 河原田ヤスケ(山波、運輸省主任調査官)
 寺島進(登山指導員)
 山中聡(吉井健一)
 嶋尾康史(宮田道男)
 菅原大吉(久慈進)
 植松真美(高木真奈美)
受賞:
 第43回ギャラクシー賞優秀賞
 第32回放送文化基金本賞(前編のみ)/同出演者賞 佐藤浩市
 2007年エランドール賞プロデューサー奨励賞 若泉久朗
放送局: NHK
放送日時: 2005年12月10日(土)/12月17日(土)19:30-20:45(各75分)
製作・ジャンル: NHK/ドラマ/150分

クライマーズ・ハイ [DVD]








1985年の日航機事故を追う地方新聞を舞台にした人間模様を描く。
NHKの土曜ドラマとして放送された。
2008年に封切られた堤主演の映画版も2度観ている。

美保純の棒読みが気になる。
映画通の彼女、芝居は上手いと思っていたので意外だった。

嫌われ役を演じる光石研や岸辺一徳の薄っぺらさが
俗人らしくていい。
本領発揮といったところか。

塩見は聞こえない台詞多し。
いくらマイクが拾ってくれてもお茶の間で観るテレビドラマ。
大音量で観てもらえる映画ではないのだから
もう少しはっきり声を出してほしい。

近寄らなくなった娘・由香が
柱の脇から悠木に声をかけるシーン。
事故のこと、仕事に対する労い、
幼い娘から聞く言葉に、
思わず涙が溢れ出す悠木。
失ってしまった家族との絆・友や同僚達の信頼、
そして、知らぬ間に卑屈になっていた記者としての自分。
前編を締めるこの涙に感動する。
佐藤浩市万歳!

パートナーとザイルを組み
そのザイルとともに命も共にする登山者。
事故に熱くなる過去と並行して描かれる
現在の登山シーンは
過去、あるいは人間社会を冷静に俯瞰していて
過去と現在の対比からメッセージが明確になる。

"地元の新聞なら一番詳しいことが分かるかもしれない"
新聞を手に入れに来た遺族の母子の存在も不可欠な要素。

この作品でいい俳優だと認識した大森の
熱いが抑えた演技が光る。
前回観た時は印象が残らなかった石井も
映画版のでんでん同様、にぎやかしの肝どころを押さえている。

事故原因のネタを(素っ破)抜くために突っ走る悠木。
"何であの飛行機は落ちたんですか
どうか本当のことを書いてくださいね"
遺族女性の言葉がこだまする中
それでも彼は、土壇場で尻込みしてGOサインを出せなかった。
これがクライマーズハイが溶けた瞬間だ。
これは伊武雅刀演じる末次とのエピソードが
伏線となっているからこそ生きてくる計算された場面。

高橋一生については、これまで注視したことはないが
見かけるたびにひねた役柄を演じている印象がある。
このドラマでは友人の遺子役で
とても素直な好青年を演じている。
俳優としては、嫌われ役も目立つし飛びつきたくなるが
彼本来の良さはこういう純な役どころにあるように思う。

瑣末なことだが
前編で若い頃に山を登る佐藤浩市の顔が
タオルで頭を覆っていたせいで、まったく別人に見えた。
彼の容姿のインパクトには、
あの剛毛でふさふさの髪が大きな役割を果たしていることが判明。

改めてよく出来た脚本だ。
ついつい取り扱っている日航機事故のことばかりに
意識を持っていかれがちだが
主役はあくまで、その中で苦悩しながら闘う人間たちだ。
このTV作品も2度目の視聴となるが、
再び観ても飽きない面白さがある。
TV、映画とも二枚目を主人公に配しているが
ちょっとヒロイックに演じすぎた堤に対し
悠木役の先輩・佐藤には人間味を感じる。

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コメント 2

ジャニスカ

これは秀作でしたね。
このドラマ版との比較で映画を酷評したことがありますが、私もこのドラマは、脚本・演出・お芝居、すべてにおいて非の打ち所がないと思います。

個人的には前編の終盤、焼肉屋での悠木と等々力の対決のシーンは、大げさかもしれませんが、テレビドラマ史に残る名シーンだったと思っています。激論の中で等々力にコップ水をかけられた悠木が、畳の上に転がった氷を冷静に拾う、という描写はこのドラマの演出力と俳優さんの技量をつぶさに感じ取れる部分だと思います。

それと、放映当時、石原さとみちゃんの強烈な存在感に驚いたのを覚えています。
by ジャニスカ (2010-11-08 17:28) 

ケイイチロウ

ジャニスカさんの言うとおり
悠木が氷を投げつけたら、ドラマも悠木も安っぽくなって
すべて雲泥の差が生まれます。
思わず、「やった」と賞賛を送りたくなる瞬間でした。

さとみちゃんに関しては
恥ずかしいかな、
初回放映当時の印象は薄かったんです(汗)

by ケイイチロウ (2010-11-09 06:50) 

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