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『恋する妊婦』 [舞台]

「恋する妊婦」(2008)★★☆☆☆40点
作・演出: 岩松了
美術: 島次郎
照明: 沢田祐二
衣裳: 堀井香苗
音響: 藤田赤目
出演:
 小泉今日子(ママ)
 風間杜夫(座長)
 大森南朋(橋本)
 鈴木砂羽(さつき)
 荒川良々(福田)
 姜暢雄(慎之介)
 平岩紙(ちはる)
 森本亮治(道後)
 佐藤直子(波江)
 佐藤銀平(マー坊)
 中込佐知子(あざみ)
 米村亮太朗(ともあき)
 大橋智和(秀樹)
 安藤サクラ(絵美子)
収録: 2008年2月 東京 Bunkamura シアターコクーン
番組: ミッドナイトステージ館「恋する妊婦」
チャンネル: NHKBS2
放送日: 2010年5月22日(土)
放送時間: 午前0:45~3:05(140分、うち本編130分)
製作・ジャンル: Bunkamura/現代劇

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旅から旅の大衆演劇一座「美波渡{みなと}座」を描く。
岩松了作・演出。

テレビでお馴染みの面々を芯に配している。
座長役の風間は、さすが
故・つかこうへいの下で舞台経験を積んできただけのことはある。
時に、歌手や役者について、"声がない" という言い回しをするが
風間は本来、声のない俳優である。
伸びや響きがなく、張り上げたり高い音を出したりすれば
すぐに割れて聞きづらい声とでも言おうか。
そんな声のない風間が発するしっかりした台詞回しは流石の一言。

一方
小さな声でさえマイクが拾ってくれるTVや映画においてさえ
時折聞き取れない大森南朋は
その滑舌の悪さも手伝って、何をしゃべっているやら
ただ喚いているとしか思えない場面が多々見受けられた。
キャラクター的にも
大森に似つかわしくなく、彼の良さが出ていない。
舞台出演に当たっては
本人が 舞台人"麿赤児" の息子たるところを見せたかったのか。
とはいえやはり、彼は父親とは全くタイプの違う俳優なのだ。

タイトルロールに扮するKyon。
アイドルの時代から好きなタレントだが
女優として中年期に差し掛かってきたあたりから
少し厭世的でアンニュイな役が多いように思う。
だが、その役どころに
どうしても真実味・生活観を感じられないのは、私だけだろうか。

若いのに、すごく色香を感じる鈴木砂羽は
私の好きな芸能人のランキング上位に位置する。
残念ながら、
その真髄を発揮するほど、役柄自体に深みのないのが本作。

周りを固めるのは
昔で言うアングラ、今で言う小劇場の面々。
賑やかしにすぎないと一蹴できなくもないが
彼らの存在あってこそ、
旅一座の雑多で少々やさぐれた雰囲気が創り出されている。

そうした中で展開される枝葉のストーリーが
主となるストーリーに全くと言っていいほど絡んでこないのが
この作品の欠点と言えよう。

銃による刃傷沙汰も
座員の確執から生じる退団騒動も
どこか現実離れしていて、絵空事に思えて仕方がない。
そうでなく、ただ日常の一ページを切り取って見せたいなら
今のような創り方をしていては
小津映画「浮草」のような映像作品には到底敵わない。

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