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『グリーン・ゾーン』 [洋画(カ行)]

「グリーン・ゾーン」(2010)★★★☆70点
原題: GREEN ZONE
監督・製作: ポール・グリーングラス
製作: ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ロイド・レヴィン
製作総指揮: デブラ・ヘイワード、ライザ・チェイシン
原案: ラジーフ・チャンドラセカラン「インペリアル・ライフ・イン・ザ・エメラルド・シティ」
脚本: ブライアン・ヘルゲランド
撮影: バリー・アクロイド
プロダクションデザイン: ドミニク・ワトキンス
衣装デザイン: サミー・シェルドン
編集: クリストファー・ラウズ
音楽: ジョン・パウエル
出演:
 マット・デイモン(ロイ・ミラー、米国陸軍上級准尉・MET隊隊長)
 グレッグ・キニア(クラーク・パウンドストーン、米国国防総省高官)
 ブレンダン・グリーソン(マーティン・ブラウン、CIA諜報員)
 エイミー・ライアン(ローリー・デイン、"ウォール・ストーリト・ジャーナル" 特派員)
 ハリド・アブダラ(フレディ、イラク市民)
 ジェイソン・アイザックス(ブリッグス、米国陸軍少佐)
 イガル・ノール(アル・ラウィ、将軍)
製作・ジャンル: 仏国=米国=スペイン=英国/戦争・アクション・サスペンス/114分

greenzone.jpg

イラク中心部にある米軍駐留地区 "グリーン・ゾーン" を舞台に
大量破壊兵器の所在を突き止める命を受けた兵士が
イラク戦争の欺瞞を暴く戦争活劇。

全般的に、緊迫感が薄いだけに
"息をもつかせぬ" とは表現できないが
観客を全く飽きさせることのないテンポ良い展開は、特筆に値する。
この映画の醍醐味の一つと言えよう。

また、メインキャラクターの5人である
ミラー、パウンドストーン、ブラウン、フレディ、ローリー
の立場・性格の違いが明快であることで
慌ただしさと混乱の中に埋もれがちな人間模様も
くっきりと浮かび上がっている。

ただ、それによって対立軸が明確であるはずなのに
肝心の対立のドラマ・せめぎ合いが弱いこと、
孤高の存在たる主人公の追い詰められ方が甘いことで
スリルやサスペンスがもう一つ盛り上がらない。

原作小説はノンフィクションであり、
それに忠実であることが
ドラマチックな演出を制限してしまったのかもしれない。

同時多発テロを称賛するイラクの姿勢は
ブッシュの "悪の枢軸" 発言を誘発し、
国連、諸外国を巻き込んで、イラク戦争に踏み切る。

その戦争の主たる大義こそが
世界の安全を脅かす、
イラク自身がその保有を公言した大量破壊兵器の排除であった。

ブッシュがイラク戦争の旗印を掲げた2003年、
NY滞在中の私も、イラク戦争反対のデモの列に加わった。
それはそれは、おびただしい数の人たちが参加したイベントで
参加者たちはプラカートを手に
それぞれ独自のアピールに熱を上げていた。

20世紀に世界の警察を標榜してやまなかった米国は
新世紀を迎えても、その本質を変えなかったのだ。

この映画を見ても分かるように
すべての戦争に共通することだが、一番の犠牲者は一般市民だ。

劇中、フレディのとった行動は、
実質的にイラクの自立を遅らせたものとして描かれているが
果たして真実は如何なるものだったのか。
それは、各国・各人の思惑や利害が複雑に絡み
今もなお深い霧の中である。

冒頭に書いた絶妙なテンポ・構成のおかげで
俳優の演技云々にストーリーへの興味をそがれることなく
事件の真相解明や糾弾の世界に没入できた。

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