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『どついたるねん』 [邦画(タ行)]

「どついたるねん」(1989)★★★★☆80点
監督: 阪本順治
製作: 荒戸源次郎
企画: 源家邦
脚本: 阪本順治
原作: 赤井英和「浪速のロッキーのどついたるねん 挫折した男の復活宣言」
撮影: 笠松則通
美術: 丸尾知行
編集: 高島健一
音楽: 原一博
出演:
 赤井英和(安達英志)
 相楽晴子(鴨井貴子)
 麿赤兒(鴨井大介、ナショナルジム会長)
 原田芳雄(左島牧雄)
 大和武士(清田さとる)
 笑福亭松之助(安達太郎、英志の父)
 正司照枝(安達秋子、英志の母)
 芦屋小雁(宮田、医師)
 輪島功一(本人)
 結城哲也(原田、原田ジム会長)
 大和田正春(イーグル友田)
 升毅(ジョー)
 ハイヒールモモコ(レポーター)
 山本竜二(マスター)
 美川憲一(北山次郎)
製作・配給・ジャンル: 荒戸源次郎事務所/ムービーギャング/ドラマ・スポーツ/110分

どついたるねん デラックス版 [DVD]








"浪速のロッキー" こと赤井英和の自伝的映画。
1988年に映画「またまたあぶない刑事」にゲスト出演した赤井は
数本のドラマに出演した後に、本作で映画主演デビュー。
監督・阪本順治と俳優・赤井はこの映画で一躍脚光を浴びた。

拳で叩き壊されるリモコン。
その拍子にスローで逆再生され、
ダウンから立ち上がる敗戦ビデオの中の自分。
天気予報相手に、勝者・友田に対する怒りをぶつける英志。
英志のやり場のない怒りと辛さ。
台詞に頼らずに描かれるだけに、切に伝わってくる。

自分の話だけに
感情移入というプロセスも不要だったかもしれないが
本職だったボクシングは勿論、演技も含めて動きの切れがいい。
20数年経た今も、相変わらず台詞は棒読み気味な赤井だが
相手の台詞や動きに対する
絶妙なリアクションとそのタイミングこそ彼の売りである。

それに引き換え
美川の芝居は、新人俳優の赤井の足元にも及ばないお粗末ぶり。

麿赤兒は、桂小枝ばりの高い発声を駆使して
滑稽で親しみ深い会長像を作り出している。

始終口げんかを繰り返しながらも、一番近くで英志を見守る貴子。
貴子に扮する福島出身の相楽も
関西人に囲まれながら、違和感なく自然体で脇を固めている。

当時日本ミドル級の現役チャンピオンだった大和武士が
最後の対戦相手として出演。
ボクシングのリアリティイに一役買っている。
大和は中本賢(旧・アパッチけん)ばりのユニークなルックスで
素人だった当時から芝居のセンスのよさも感じる。
赤井同様、引退後に俳優に転向した彼が
近年暴力沙汰で有罪となったのは残念。

原田芳雄は、存在感は言わずもがなだが
そのボクシング姿が様になっている。
さすが、自宅にサンドバッグやパンチングボールをつるし
ボクシング練習生と同じメニューをこなしていただけある。
当時、すでに50に手が掛かろうという原田だったが
体の締まり・身のこなしなど、
元チャンピオンという役どころを立派に体現している。

「あしたのジョー」などのアニメや実話を通して
減量は辛いとよく耳にするが
減量に臨む英志を見ながら、改めてその過酷さを知った。

リングフロアから
ラストパンチを放った赤井の背中を映すあおりのショット。
ストップモーションとともに
歓声から静寂に、そして静かなスローバラード。
歌う原田の声も、渋くて味がある。
素敵なラストだと思う。

赤井のボクシングへの熱い想いがストレートに伝わってくる作品。

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