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『高校生ブルース』 [邦画(カ行)]

「高校生ブルース」(1970)★★★☆65点
監督: 帯盛迪彦
企画: 藤井浩明、仲野和正
原作: 柴田成人「傷だらけの十六歳」
脚本: 伊藤昌洋
撮影: 喜多崎晃
録音: 高橋温生
照明: 上原正一
美術: 山口煕
音楽: 伊部晴美
編集: 中静達治
出演:
 関根恵子(北原美子)
 内田喜郎(加藤昇)
 篠田三郎(五十嵐)
 八並映子(トシ子)
 堀雄二(佐伯、美子)
 伊藤幸子(美子の母)
 浅見ちづ子(明美)
 成瀬亜紀子(恵子)
 川内悦子(川上礼子)
製作・ジャンル: 大映東京/ダイニチ映配/ドラマ/84分

高校生ブルース [DVD]








関根恵子(現・高橋恵子)のデビュー作。
次作「おさな妻」がデビューとなるはずだったが
主役の降板でピンチヒッターとして急遽デビューの運びとなった。

医務室で横たわる美子の唇の赤色が鮮烈的に美しい。

体育館でバスケットボールをしている生徒が
壁一枚挟んですぐ隣にいる器具庫で初体験をする高校生。
そういった舞台設定も、この性体験をさらにスリリングにしている。

15歳でヌードデビューというのは
当時、相当衝撃的だったにちがいない。
逆に今は、法規制が厳しくなって、
15歳がこういった作品に出るのは極めて難しいのでは。

私には、真面目で誠実な2枚目イメージの強い篠田だが
本作では、クラスの女子全員の生理日をチェックするような劣等生。
だが、高校生にして図抜けて大人びている。
当時彼は、すでに20歳を越えていたのだから当然と言えば当然。

佐伯と母親の親しげな2ショット写真を見つける美子。
2人の関係を想像する時に挿入される
ブラックバックの大人のまぐわいは、
高校生目線に立って不潔感たっぷりである。

中絶費用を稼ぐためとはいえ
早朝から牛乳配達に励む昇は健気である。

美術室で産むだ堕すだと話し合う美子と昇。
たくさんのギリシャ彫刻の模型に囲まれている画は
古代の偉大な哲学者たちに見守られているようで傑作。

流産せんがため
美子が昇に、自分の腹を踏みつけさせるシーンは
何とも残酷で悲しい。

絵を汚損したり、昇との思い出に見立てて金魚を殺したり
自虐的に指で触れたり
わざわざ盗んだ硫酸の使い道が効果的でない。

割れた鏡も複数回、暗喩的に登場するが
これも功を奏しているとは言えない。

肉欲からクラスメートを抱く男子高生と、
純粋な愛を求める女子高生。
女々しく惨めな少年と、強く前を見据えて進む娘。
これはラストの美子の台詞と、
何も言えずに涙ぐむ昇の姿に象徴される。
性に目覚めたその瞬間から、
男女のすれ違いは既に始まっているのかもしれない。

15歳のヌードとか、未成年の妊娠・流産といった
扇情的な部分を取り除いても
関根恵子の女優としての資質の高さを十分に感じられる映画。

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