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『スリ(掏摸)」』 [洋画(サ行)]

「スリ(掏摸)」(1960)★★★☆65点
原題: PICKPOCKET
監督・脚本: ロベール・ブレッソン
撮影: レオンス=アンリ・ビュレル
音楽: ジャン・バディスト・リュリ
出演:
 マルタン・ラサール(ミシェル)
 マリカ・グリーン(ジャンヌ、ミシェルの母の隣人)
 ジャン・ペルグリ(警部)
 ピエール・レマリ(ジャック)
 カッサジ(1人目の共犯者)
 ピエール・エテックス(2人目の共犯者)
 ドリー・スカル(ミシェルの母)
 セザール・ガッテーニョ (刑事)
製作・ジャンル: 仏国/ドラマ・サスペンス/76分

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一人のスリの顛末を描いたモノクロ映画。
白黒の画面が掏りというテーマにフィットする。

スリにとって指を和らげることが大切で
それにはピンボールが一番というが、眉唾ものだ。

スリの技にしても
3人での連係プレーは見所あるが
個々の技は粗い気がして、あまりプロフェッショナリズムを感じない。
挙句、ミシェルより腕の確かな仲間の2人が先に捕まってしまう。

肩がまったく動かない不自然なミシェルの歩き方、
ストレートな男性の役をやるときの篠井英介を思い出した。

スリを行なうことが知的証明と考えている節もあるが
訓練し練習を重ね
上手いスリ仲間と組んでもなお二流感の強い主人公。
終始、冴えない根暗な男のイメージが付きまとう。

ジャンヌ演じるマリカ・グリーンは
エヴァ・グリーンの伯母に当たるのだそうだ。
顔立ちはほとんど共通点がなく、
マリカの方が優しく品のある美しさを湛えている。

暗鬱なムードが支配する作品にあって
彼女の美しさだけが救いだ。

主人公を含め、
登場人物がみな何を考えているのか非常に分かりにくい。
フランス映画特有のアンニュイに通じる部分かもしれないが
静かな中にもドラマが生まれないのは
とにもかくにも人物描写が薄いせいだ。

ミシェルとジャックの友情関係すらよく把握できないままで終わった。

ジャンヌとの会話の後
衝動的にパリを離れ、イタリア・英国に渡ったのは
一体どういう想いからだったのだろう。

パリに戻り、ジャンヌを支えるために改心したかにも見えたミシェルを
卑怯なまでのおとり捜査で逮捕する警察の意図も分からない。

捕まって初めて、
他人の、ジャンヌの存在の大切さに気づくというエンディングだが
そこまでの心の経緯が伝わってこない。
昔の接見所は手を触れることもキスを交わすこともできるほど
大きな格子だったんだ、と瑣末なことにばかり目がいった。

まどろっこしくも切ない映画。
かといって、実は
このつかみ所のない感情のやり取りが嫌いではない。

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