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『吸血鬼ボボラカ』 [洋画(カ行)]

「吸血鬼ボボラカ」(未)(1945)★☆☆☆30点
※(未):日本未公開作品
原題: ISLE OF THE DEAD
監督: マーク・ロブソン
製作: ヴァル・リュートン
脚本: ジョセフ・ミッシェル、アーデル・レイ
美術: アルバート・S・ダゴスティーノ、ウォルター・E・ケラー
音楽: リー・ハーライン
撮影: ジャック・マッケンジー
衣装: エドワード・スティーヴンソン
出演:
 ボリス・カーロフ(ニコラス・フリーディス、将軍)
 エレン・ドリュー(シア、オーバン夫人の付添い人)
 マーク・クレイマー(オリヴァー・デイヴィス、「ボストン・スター」紙の米国人従軍記者)
 ヘレーネ・ティーミッヒ(キーラ、元家主)
 アラン・ネイピア(セント・オーバン、在トルコ英国領事館)
 キャサリン・エメリー(メアリー・セント・オーバン夫人)
 ジェイソン・ロバーズ(アルブレヒト、考古学者)
 エルンスト・ドイチュ(ドラソス、軍医)
 スケルトン・ナッグス(ヘンリー・ロビンス、ブリキ商人)
製作・ジャンル: 米国/ホラー/72分

吸血鬼ボボラカ [DVD]








バルカン戦争を背景にしたギリシャの孤島を舞台に
島の伝説である、狼の魂に取り付かれた人間ボボラカの恐怖を描く。
「キャット・ピープル」をはじめとするRKO製作のB級クラシックホラー。

突然発生した伝染病のために
島に軟禁状態となって展開するストーリーは舞台的である。

吸血鬼フリークの私は、かなり楽しみにして臨んだんだ。

オーバン夫人が、死んだ夫をピンで刺したのが
何か後々意味を持ってくるのだろう、
そう期待して観進んでいくが
待てども待てども、ボボラカらしきものは登場しない。

詰まるところ、この映画は
敗血症らしき伝染病に人々が蝕まれていく物語なのだ。

一人、また一人と、実際の伝染病に倒れていくのだが
軍医による科学の力で防げず、神に祈るしかなくなった状況下、
キーラが吹聴するボボラカの迷信に
将軍も洗脳され、シアに対して疑心暗鬼となる。
悪霊や吸血鬼による恐怖ではなく、
身体を襲う伝染病と、心を冒された人間の恐怖を描いたと言えよう。

ついでに言えば
"南風が吹けば病気がなおる" という軍医の見解も
科学的とは言えず、極めて迷信的ではある。

ただいずれにしても
その恐怖のテイストが非常に薄いので、スリルは全く感じない。
それでも、飽きずに観られるのは
尺自体が短いこと、吸血鬼の登場を心待ちにしていることに加えて
ドラマはしっかり描かれていることが挙げられる。
それでもやはり、ホラーと呼ぶのが憚られる。
"吸血" という要素に至っては微塵も表れない。

"持病で無呼吸で1日以上昏睡状態になることがある" という訴えと
"生き埋めにされる悪夢" の話を受け流された領事夫人は、
生きたまま棺に納められてしまう。
棺を這い出た夫人の行動は、
ヤスまで持ち出して、何かに憑かれたように描かれているが
所詮は、何度もうなされた悪夢が正夢となった恐怖と恨みから
キーラや将軍の殺害に走るだけである。

「吸血鬼ボボラカ」というタイトルに踊らされてしまったが
原題は「死の島(ISLE OF THE DEAD)」である。
画家アルノルド・ベックリンの作品「死の島」がモチーフらしい。
ベックリンは同題のもと、5枚の絵を書いているが
確認される4枚の作品を挙げておく。


1.jpg

2.jpg

3.jpg

5.jpg

将軍とオリヴァーがボートで向かう島の描写は、この絵そのまま。
不思議と想像力を掻きたてられる絵だ。

船着場の3つ首の狼の像ともども
導入となる舞台設定は興味を引くのだが…

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