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『サイエンス フィクション』 [舞台]

「サイエンス フィクション」(2010)★★☆☆☆40点
作: 林竜之助
演出: 田中壮太郎
美術: 宮下卓
照明: 伴静香
音響: 木内拓
衣裳: 摩耶
舞台監督: 上田実
企画: 演劇企画体 ツツガムシ
制作: カク・サンナ
絵: みどり根子
出演:
 本多新也(ヤマダ ケンタロウ、俳優)
 名塚佳織(マリヤ、バイオリニスト)
 北山雅康(ミツイ コウイチ、カウンセラー)
 金城真文(シマムラ テツヤ、サワダ カオルの友人・工場の従業員)
 林宏和(サワダ カオル、サワダコンツェルンの社長)
 吉田久美(ナカハラ ヨウコ、サワダ カオルの妻)
 かな子(ミウラ アイ、大学生)
会場: 東京 神楽坂die pratze
観劇日: 2010年2月13日(土)
上演時間: 午後2:00~(休憩なし・約2時間)
ジャンル: 現代劇

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ツツガムシ第3回公演。
 ツツガムシ: 林竜之助・本多新也(演劇集団円)・田中壮太郎(劇団俳優座)が立ち上げた演劇企画。

高性能アンドロイドが実用化されようとしている100年後の世界。
商品化に必要なモニタリングを行うべく、
参加者を募りその中にアンドロイドを1体混ぜて無人島生活を実施。
誰がアンドロイドかを当てさせるという話。

全員のキャラクターの違いがはっきり描かれた台本。
その上に、外見からもキャラクターにあった配役がされており
非常に分かりやすい。

出演者は総じて、安心して観られる演技力を身につけている。

如何せん、台本にドラマがない。
一方的に心情を吐露する登場人物ばかり。
人となりをしっかり見せきらないうちに
各人が唐突に自分の抱えている問題を吐き出す。
そんなものを並べ立てられても、
人生相談所の現場に同席させられたようなもの。
アンドロイド探しに
内面に問題を抱えた登場人物たちを巧みに絡めたところで
観ている者には響かず
詰まるところ、何を見せたいのか分からない。

アンドロイド探しは、冒頭3人のシーンで提案される。
普通に考えれば、
その3人のいずれかがアンドロイドであることが必定だ。
謎解きの側面からも、サスペンスの要素が薄い。

そして、ラストで種明かしがされるのだが
アンドロイドが死んだところで、
所詮は機械なのだから、修繕すれば済むことなのでは
と、思ってしまうのはメカ音痴の考え?

マイケル富岡ばりの顔立ちの林。
2枚目である必要の全くない役どころに思うが
アンドロイドの振りをする場面以外も
気取りすぎた型芝居が鼻につく。

ミツイ役の北山は滑舌が悪いが
その滑舌の悪さも含め、独特の声でとてもいい味を出していた。
車椅子に座っているのは設定かと思ったが
終演後、挨拶に出てきた彼が両松葉杖だったのを見ると
本当に骨折しているようだ。
劇中、車椅子を押すサポーターとして、"ロボット" 役が登場。
何かしら絡んでくるのだろうと思ったら
何も話さなければ、何の関わりも持たない。
本当に補助以外の役割はなかったのだ。
余計なハプニングを避けるためだろうが
アンドロイドにロボットだから、へんな想像・期待をしてしまう。
大変でも、北山自ら一人で車椅子を操作したほうが
役作りの意味でも真実味を増す得策だったろう。

名塚には言い知れぬ魅力を感じる。
それが陰のある役どころに合っているが
冷淡で攻撃的な演技だけでなく
明るい表情、静かな台詞にも触れてみたいと思わせる。

技術的に長けた俳優たちだが、
その台詞のやり取りは
"らしく見せる" ものであって、
俳優たちの間にケミストリーは通っていない。
中途半端な技術を備えた俳優が陥る典型。
ここが演技の難しいところだが
血の通った台詞のキャッチボールができて初めて
確固たる演技術をものにしていると言える。

大学生役の女優一人だけが
少し技術的にも劣る。

よくまとまっているが
戯曲的にも、演技的にも残るものがない。

脚本家・山田太一が来場していた。
誰か知り合いがいたのだろうが、
こんな所にも観にくるんだ、と驚くとともに
どんな感想を持ったか聞きたいところ。
暖房が効きすぎているのか、
とにかく、暑くて眠かった。

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