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『イヴの総て』 [洋画(ア行)]

「イヴの総て」(1950)★★★★★100点
原題: ALL ABOUT EVE
監督: ジョセフ・L・マンキウィッツ
製作: ダリル・F・ザナック
脚本: ジョセフ・L・マンキウィッツ
撮影: ミルトン・クラスナー
音楽: アルフレッド・ニューマン
出演:
 ベティ・デイヴィス(マーゴ・チャニング、スター女優)
 アン・バクスター(イヴ・ハリントン)
 ジョージ・サンダース(アディソン・デウィット、劇評家)
 ゲイリー・メリル(ビル・シンプソン、演出家)
 セレステ・ホルム(カレン・リチャーズ、ロイドの妻)
 ヒュー・マーロウ(ロイド・リチャーズ、劇作家)
 グレゴリー・ラトフ(マックス・フェイビアン、プロデューサー)
 セルマ・リッター(バーディ・クーナン、マーゴの付き人)
 マリリン・モンロー(カズウェル)
 バーバラ・ベイツ(フィービー)
 ランディ・スチュアート(イヴの代わりに電話にかける女)
受賞:
 アカデミー賞
  ■作品賞
  ■助演男優賞 ジョージ・サンダース
  ■監督賞 ジョセフ・L・マンキウィッツ
  ■脚色賞 ジョセフ・L・マンキウィッツ
  ■衣装デザイン賞(白黒) EdithHead、CharlesLeMaire
  ■録音賞 20世紀FOXサウンド部
 カンヌ国際映画祭
  ■審査員特別賞 ジョセフ・L・マンキウィッツ
  ■女優賞 ベティ・デイヴィス
 NY批評家協会賞
  ■作品賞
  ■女優賞 ベティ・デイヴィス
  ■監督賞 ジョセフ・L・マンキウィッツ
 ゴールデン・グローブ賞
  ■脚本賞 ジョセフ・L・マンキウィッツ
 英国アカデミー賞
  ■作品賞(総合)
 アメリカ国立フィルム登録簿
  ■新規登録作品
製作・ジャンル: 米国/ドラマ/138分

イヴの総て [DVD]








主要俳優全員が素晴らしい演技を見せる。

B・デイヴィスの存在感たるや圧倒的。
まさにスターにふさわしい。
彼女の存在感なくして、この作品は成り立たない。
そして、かくのごとく
若手女優に役を奪われ、怒りに震えるベテラン女優の姿は
現実の世界にも珍しくない。

バーディ役のT・リッターは
山岡久乃ばりの風貌と演技は、特に私のお気に入り。

現在進行形の演劇賞授賞式で始まったあと
回想で語られる本編の冒頭。
楽屋口で出待ちするイヴを見た時点で
彼女が成功を手にするために姦計を企てる姿が想像できる。
想像できるのだが
その彼女を中心として描かれる人間ドラマが
とにかく見応えがあり面白い。

この作品の真の主役は
イヴでも、彼女を取り巻く人間たちでもなく
演劇界そのものである。
そして
演劇界の、そして俗世間のエッセンスが詰まっている。
イヴの総て、人間の業の総てと言ってもいいかもしれない。

演技はイマイチだが若く魅力的な女優役で登場するM・モンロー。
この作品後の彼女自身の活躍を暗示するかのようで
非常に興味深い。

G・サンダース演じるアディソンの、
酷いほどの冷徹な視線と言動は
守旧派のビル、マーゴ、カレン、ロイドたちとの距離感や
その本質を見抜いたイヴに対する彼の思惑を
的確に表現している。

敢えて欲を言うなら、
ビルとロイドの風貌が少し似ていることくらい。
明白なキャラクターの違いを求めるのは欲張りというもの。

勿論、素晴らしい作家と劇評家に
これほど運良く巡り合うことはまずないだろうし
イヴ本人に才能があればこそ、実現する物語だ。

"歴史は繰り返される" というラストも分かりやすい。

なぜ、もっと早く
この世界に入る頃に観なかったのか後悔するほどだ。
俳優を目指す諸君、是非これを観て参考にしなさい。

ちなみに、演劇賞のサラ・シドンズ賞。
サラ・シドンズは実在した18世紀を代表する英国人女優。
この映画公開当時、
その名を冠した演劇賞は劇中の創作でしかなかったが
この映画を機に、実際に授与されるようになったという。

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