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『高き彼物(かのもの)』 [舞台]

「高き彼物(かのもの)」(再)(2009)★★★★☆75点
※(再):私が以前に観たことのある作品
作: マキノ ノゾミ
演出: 高瀬久男
美術: 柴田秀子
照明: 古宮俊昭
音響: 松本昭
衣裳: 竹原典子
舞台監督: 鈴木政憲
出演:
 加藤健一(猪原正義)
 小泉今日子(野村市恵)
 占部房子(猪原智子)
 石坂史朗(徳永光太郎)
 海宝直人(藤井秀一)
 鈴木幸二(片山仁志)
 滝田裕介(猪原平八)
収録: 2009年11月 東京 下北沢・本多劇場
番組: NHKミッドナイトステージ館 舞台「高き彼物(かのもの)」
チャンネル: BS2
放送日: 2010年1月23日(土)
放送時間: 午前0:45~午前3:05(140分)
ジャンル: 現代劇

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加藤健一事務所が小泉今日子を迎えて挑んだマキノノゾミの名作。

2000年9月に
六本木・俳優座劇場で鈴木裕美演出の初演を観ている。
出演は、
高橋長英・藤本喜久子・森塚敏・浅野雅博・歌川椎子・増沢望・酒井高陽だった。

演出よりも、出演俳優の演技の質によるものだと思うが
総じて、初演よりも話が分かりやすかった。
あるいは、
単に私の初演の記憶がおぼろげになっているだけかもしれないが
やはり加藤健一の実力に拠るところが大きいのだろう。

年取ったとはいえ、加藤は2枚目だし
高橋長英のような田舎っぽさは出ない。

だが、彼の張りのありすぎる発声や抜群の間合いは、
喜劇的側面では流石と言うべく見事に笑いを引き出してくる。
周りの役者がそれに釣り合うだけの喜劇的技量がないために
逆に、全体的なバランスの悪さが気になるくらいだ。

また、そのお得意の間合いで押し切りすぎて
真剣味を出すべき場面がつぶれてしまっている箇所も多い。

ただ、教職を辞した真相を明かす一人語りは素晴らしい。
一人芝居「審判」でも見せた
目に浮かぶような描写と説得力には脱帽。
観客を惹きつけて放さない彼の大きな魅力の一つで
私もそのファンの一人だ。

Kyonは頑張りすぎ。
笑いを取りにいく意識が強すぎて、
ここぞとばかりに声を張り上げるのが少し痛々しい。
笑いだけでなく、決然とすべきところでもただの大声。
力強い台詞=声を張り上げる、だけではないことを学ぶ必要がある。
これは、演出家の
元アイドルに対する遠慮、あるいは怠慢でもある。
それでも "よく頑張りました" とハンコを押してあげたい。

片山という役は
出番少ないのにおいしくていいなあ、とつい役者目線で見てしまう。
私ならもっとやれるのに…と出しゃばりたくなる。

秀一、平八については
どこという不可があるわけでもないが
正直、
青年座の故・森塚さん、文学座の浅野さんの方がよかった。

9年ぶりの本作との再会は有意義なものだった。

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