SSブログ

『薔薇の葬列』 [邦画(ハ行)]

「薔薇の葬列」(1969)★★★☆65点
監督・脚本: 松本俊夫
製作: 工藤充
撮影: 鈴木達夫
美術: 朝倉摂
音楽: 湯浅譲二
出演:
 ピーター(エディ)
 土屋嘉男(権田)
 小笠原修(レダ、店のママ)
 東恵美子(母)
 城よしみ(ジミー)
 仲村紘一(ジュジュ)
 太田サー子(マリー)
 フラメンコ梅路(グレゴ)
 卍太郎(ノラ)
 内山豊三郎(ゲバラ)
 芝山幹郎(哲学者)
 彦凪わたる(サブ)
 さとう陽(ラドン)
 竹永敬一(せむし)
 小林千枝子(おけい)
 五味淵澄(ピロ)
 ドン・マドリッド(トニー)
 小松方正(情夫)
 秋山庄太郎
 粟津潔
 淀川長治
 篠田正浩
 藤田繁矢(藤田敏八)
製作・ジャンル: 日本/ドラマ/105分

薔薇の葬列 [DVD]








ピーターのデビュー作であり
市井のゲイや出演者へのインタビューを交えて、
ゲイボーイの生態・愛憎を描いた映画。

若き日のピーターは、顔もふっくらしていて
東大生タレント・木村美紀にそっくりだ。

タイトルにある "薔薇" は、ゲイ(同性愛者)を意味し
古代ギリシャで男性の同性愛者が薔薇の木の元で愛を育んだことに
由来するらしい。
この映画の前年には
澁澤龍彦編集で創刊された「血と薔薇」という雑誌もあり
三島由紀夫も関わっていた。
エリザベート・バートリなどの吸血伝説とあいまって、
血と性愛は古来密接な関係がある。

レダが好きな花が薔薇だったという設定。
映像には肛門にあてがわれた白い花も登場し
薔薇の花模様を肛門の形になぞらえている節もある。

いずれにせよ、この映画の影響を強く受けて
雑誌「薔薇族」の創刊に結びつくとのことだ。

コマ送り、フラッシュ、回転、インサート、様々なアングルに加えて
音を消して音楽をかぶせる手法など
全編モノクロの画面と併せ、映像や音の使い方に凝っている。

「時計じかけのオレンジ」は
この映画のビジュアルを参考にしたという。

ジェンダーの多様化が進んだ現代、
逆にこうしてゲイを正面から捉えることはない。
当時としては画期的であり
現在の視点でも貴重な作品といえよう。

台詞にも登場する
丸山(美輪)明宏とカルーセル麻紀という先駆者がいてこそ
成り立っている映画とも言える。

ストーリーとしては
オイディプス王の悲劇を元ネタに、男女の性をそっくり入れ替えた形。

最後にエディが自分の眼をつぶすのは
親子3人の映った写真やレダの死体の脇にころがる雛人形のを
アナロジーに用いている。

デビューだけあって、ピーターは演技的には評価できないが
ゲイという存在とその純粋さが新鮮。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。