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『女系家族』 [邦画(ナ行)]

「女系家族」(’63)★★★★☆80点

女系家族 [DVD]








テレビドラマでも再三映像化された山崎豊子の小説、唯一の映画。
米倉涼子が主演した一番新しいテレビドラマを観たことはあった。
時代背景を考えると、
やはり60年代に製作されたこの映画が断然いい。

女の業の深さにおいても、えげつないこと極まりなし。
これぞ女系といった印象を与えてくれる。
なかでも、
三女・雛子を養女に迎え入れその相続財産を我が物にしようという
叔母・芳子を演ずる浪花千栄子が抜群。
子供の頃、醜い相続争いを目の当たりにしたことのある私には
とてもリアルなものに感じた。

2代目中村鴈治郎が大番頭の宇一を演じている。
老舗をしっかり守るそつの無さと、
その裏で姑息に動き回るセコさは見事の一言。

静かに匂い立つ、若尾文子の陰ある色気も特筆もの。

惜しむらくは
宇一による山林の私物化を追及するくだりや
長女・藤代(京マチ子)と梅村芳三郎(田宮二郎)の駆け引きをはじめ
もっと掘り下げて欲しい部分を多く感じる点。

映画がこの1本に対してTVドラマが8本、からも分かるように
2時間足らずで描くには内容が濃すぎるのだ。
この内容・このキャストなら、
3時間の大作になっても冗長的になることはない。

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