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『かぶりつき人生』 [邦画(カ行)]

「かぶりつき人生」(1968)★★★☆70点
監督・脚本: 神代辰巳
企画: 大塚和
原作: 田中小実昌
撮影: 姫田真佐久
美術: 大鶴泰弘
音楽: 真鍋理一郎
録音: 太田六敏
照明: 岩木保夫
出演:
 殿岡ハツ江(洋子)
 丹羽志津(笑子)
 玉村駿太郎(勝チン、笑子の夫)
 中台祥浩(坂本っちゃん、芸能記者)
 花恵博子(秋子)
 名取幸政(恭やん)
 長瀬正典(倉さん、フランス座の演出家)
 水木達夫(ふとん屋)
 市村博(若いやくざ)
 吉田武史(錦ちゃん)
 新田紗子(少女)
 益田凡次(支配人)
 堺美紀子(かみさん)
 和田平助(刑事)
 田中小実昌(客)
製作・ジャンル: 日活/ドラマ/94分

kaburitsuki.jpg

田中小実昌の同名小説の映画化。
のちに "ロマンポルノの巨匠" と呼ばれる神代の監督デビュー作。
女性の逞しさを描いたモノクロ映画である。

表面的なストーリーを追うのではなく、
登場人物各人の生き方に触れながら
親子・男女、といった人間関係を生々しく描こうとする姿勢が見える。

容色衰えてもストリップのステージに立ち続ける母・笑子が
男性に裸を見られることを快感に感じ
騙されても騙されても、本能的に男を求めるのに対し、
母を軽蔑しながらもストリッパーになる洋子にとって
ストリップも男も、自分の人生の階段を昇る手段にすぎない。

母とは似て非なる道を歩んだように見える洋子。
夫・坂本の存在が
ヒモ同様だった、母の夫・勝チンの姿とダブっていく。
そんな彼女が行き着いたのは
初恋の元やくざに刺されて病院に搬送される救急車の中。
共に救急車の車台に横たわるその男に、
洋子は「一緒にバーを出そう」と小さな夢を語るのである。

冒頭に流れる短いテーマソング。
♪男は男、女は女、みんなはみんな♪ という歌詞は端的にて秀逸。

洋子を演じた殿岡のダンスは
モダンダンス調でキレがありシャープで美しい。
体型も崩れ、洗練という言葉とは無縁の踊りを見せる母との対照は
生きざまの違いを一層際立たせる要素となっている。

夫殺しを画策するも、実行には移すことのない洋子たちに
人間の正直な弱さを見出すことができるとともに、
安易に殺人に発展しないストーリーに、リアリティを感じる。
美人・美男子が登場しないことも、説得力を持たせている。

残念ながら、ビデオ化・DVD化はされていないようである。

映画が斜陽化した時期に公開されたこともあり、興行的には失敗。
本作後、神代は
再建をかけ "ロマンポルノ" に舵を切った日活で活躍することになる。
 
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