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『サマーウォーズ』 [アニメ]

 「サマーウォーズ」(2009)★★★☆☆60点
英語題: Summer Wars
監督: 細田守
脚本: 奥寺佐渡子
エグゼクティブプロデューサー: 奥田誠治
プロデューサー: 高橋望、伊藤卓哉、渡辺隆史、齋藤優一郎
作画監督: 青山浩行、藤田しげる、濱田邦彦、尾崎和孝
アクション作画監督: 西田達三
美術監督: 武重洋二
キャラクターデザイン: 貞本義行
アバターデザイン: 岡崎能士
OZデザイン: 上條安里
色彩設計: 鎌田千賀子
撮影監督: 増元由紀大
編集: 西山茂
音響効果: 今野康之
録音: 小原吉男
音楽: 松本晃彦
主題歌: 山下達郎『僕らの夏の夢』
アニメーション制作: マッドハウス
声の出演:
 神木隆之介(小磯健二)
 桜庭ななみ(篠原夏希)
 谷村美月(池沢佳主馬)
 斎藤歩(陣内侘助、夏希の伯父)
 横川貴大(佐久間敬)
 信澤三恵子(陣内万理子)
 谷川清美(篠原雪子/陣内典子)
 桐本琢也(陣内理一)
 佐々木睦(篠原和雄)
 玉川紗己子(陣内理香)
 永井一郎(陣内万助)
 山像かおり(三輪直美)
 小林隆(陣内太助)
 田村たがめ(池沢聖美)
 清水優(陣内翔太)
 中村正(陣内万作)
 田中要次(陣内頼彦)
 金沢映子(陣内典子)
 中村橋弥(陣内邦彦)
 高久ちぐさ(陣内奈々)
 板倉光隆(陣内克彦)
 仲里依紗(陣内由美)
 安達直人(陣内了平)
 諸星すみれ(陣内真緒)
 今井悠貴(陣内真悟)
 太田力斗(陣内祐平)
 皆川陽菜乃(陣内加奈)
 富司純子(陣内栄)
製作・配給・ジャンル: サマーウォーズ製作委員会(=日本テレビ放送網、マッドハウス、角川書店、D.N.ドリームパートナーズ、バップ、読売テレビ放送、ワーナー・ブラザース映画)/ワーナー・ブラザース映画/SF・アドベンチャー・青春/114分

サマーウォーズ [DVD]








「時をかける少女」(2006)のスタッフが再び結集したSF青春アニメ。

主役の声を担当した神木、桜庭が好演している。
特に、神木は声質が健二のキャラクターにはまっている。

佳主馬を演じた谷村も好演だと思うが
やはり女性の声にしか聞こえなかったのが残念。

製作委員会を見れば分かるように、
大手メディアが加わると、
本職の声優よりも、テレビ・映画で知名度のある俳優が重用される。
声を聴くことで、その俳優本人の姿が浮かぶから
顔の知れている俳優の起用には、基本的に反対である。
声の仕事もしている私にしてみれば、
声優ですら、その顔がチラつくことが多いため
外画(海外の映画やドラマ)を吹替えで見ることもまずしない。
過去に演じたキャラクターが強烈な印象を残した、
個性の強い声優も同様である。
「サザエさん」の波平をアテている永井、
「奥さまは魔女」のナレーションを担当した中村正など。
(ちなみに、本場米国のオリジナルのオープニングには、
中村がアテたようなナレーションはなくBGMのみである)
本作も知り合いの声優が多数出演しており…

主役の健二を好演している神木や富司ですら
本人の顔が脳裏を横切り、少々邪魔であった。

アニメーション作品の声の収録は
線画と呼ばれる、
鉛筆などで描かれた色の付いていない静止画を前にして
行なわれることがほとんどである。
(色の付いた動画の状態で行なわれることは非常に少ない)
カットごとに静止画が流れる中、
のちに台詞が挿入される時点に、色の線や吹き出しが現われ
それに合わせて、台本に書かれた台詞をしゃべるわけである。

つまり、動きについても
演ずる声優は、台本に簡略に書かれた文字から想像するだけで
具体的な動きや、その動きの時間的な長さや間合いは分からない。
吹き出しの長さ(=台詞をどのくらいの尺でしゃべるか)も
画像を製作するスタッフが決める。
外画では、
アテる声優とは別人であっても
実際に俳優が演技をしているわけだが、
アニメでは、
役者でなく、アニメーターが演技の重要部分を担っていることになる。
つまり、ドラマ作りの演技的側面も
作画スタッフの手の内にあると言っていい。

アニメ作品に参加するたび、この事実に疑問を感じる。
実写の映画やドラマを演じると同様に、
あるいは、ラジオドラマの収録と同様に、
声優自身が先に演じ、
演じられた台詞や間に合わせて、作画する手法に変えるべきだ。
製作プロセスを、作画優先から演技優先にすることで、
アニメのキャラクターを "生きたもの" にし
ドラマ部分がより "ドラマ" になるはずだからである。

前述したように
この作品には顔見知りが何人も出演している。
彼らの、普段のしゃべりや外画に出演する際の演技を知っているが
それに比して
声のトーンや抑揚の振り幅がとても狭く、
結果、棒読みだったり、キャラクターが埋没してしまったりしている。
勿体ないとしか言いようがない。

内容について特記することは少ない。

健二が顔を赤らめる場面で
容器に水を注ぐように、
下からスーッと赤みが満ちてくるのは面白いと思った。

吸収したアバターの集合体として現われるラブマシーンは
「もののけ姫」に登場するシシ神の夜の姿たる、
ディダラボッチの形状に似ている。
イケないわけではないが
一瞬とはいえ、他の作品に意識が流れることは
決していいこととは言えまい。

ラブマシーンとの花札勝負で
手持ちのアカウントが、賭けの下限を下回ってしまうシーン。
世界中のOZ利用者から、アカウントのオファーが殺到するまで、
"ハァハァ" という夏希の絶望に似た焦りの息遣いが入るが
単純に長いっ、引っぱりすぎ。
観客のドキドキ感を煽りたいのは分かるが、
私には長すぎて、
その作意に強い怒りを覚えてしまったため、
その直後の展開で抱くであろう感動が訪れなかった。

アバター同士のアクションは面白いが、
花札勝負までアクションを中心に据えるのはいかがなものか。
大げさにめくろうが、叩きつけようが、手札が変わるわけではない。
むしろ、静けさや沈黙を演出することで
緊張感あふれるクライマックスに仕上がる。

ゲームやバーチャルリアリティに関心のない私が
着想することはないであろう未知の世界の物語ゆえ、
とても興味深く惹き込まれる要素の多いテーマだったが、
製作の過程や意図に頭が行ってしまい、
ピンと来ない作品となってしまった。

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