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『シークレット/嵐の夜に』 [洋画(サ行)]

「シークレット/嵐の夜に」(1997)★★★★☆75点
原題: A THOUSAND ACRES
監督: ジョスリン・ムーアハウス
製作: マーク・エイブラハム、スティーヴ・ゴリン、リン・アロスト、ケイト・グインズバーグ、シガージョン・サイヴァッツォン
原作: ジェーン・スマイリー
脚本: ローラ・ジョーンズ
撮影: タク・フジモト、リチャード・ハートレイ
出演:
 ジェシカ・ラング(ジニー・クック・スミス、長女)
 ミシェル・ファイファー(ローズ・クック・ルイス、次女)
 ジェニファー・ジェイソン・リー(キャロライン・クック、三女)
 ジェイソン・ロバーズ(ラリー・クック、三姉妹の父)
 コリン・ファース(ジェス・クラーク)
 キース・キャラダイン(タイ・スミス、ジニーの夫)
 ケヴィン・アンダーソン(ピーター・ルイス、ローズの夫)
 ミシェル・ウィリアムズ(パミー、ローズの娘)
 エリザベス・モス(リンダ、ローズの娘)
 ジョン・キャロル・リンチ(ケン・ラサール、弁護士)
 レイ・ベイカー(ウォーレス・クロケット)
 ヴィト・ルギニス(チャールズ・カーター、弁護士)
 パット・ヒングル(ハロルド・クラーク、ジェスの父)
 ケネス・タイガー(ローズの担当医)
 スタン・ケイヒル(フランク・ラスムッセン、キャロラインの婚約者)
 アン・ピトニアック(メアリー・リヴィングストン)
 レイ・トーラー(マーヴ・カーソン)
 スティーヴ・キー(ローレン・クラーク)
 ダン・コンウェイ(ヘンリー・ドッジ)
 ベス・グラント(ロバータ)
 アンドレア・ニットーリ(ウェイトレス)
製作・ジャンル: 米国/ドラマ・文芸/105分

シークレット ~嵐の夜に~ [DVD]








大農場主である父とその3人の娘をめぐる家族ドラマ。

娘2人と近親相姦。
"怒りが私の支えなの" というローズの台詞は重い。
乳癌で失われた彼女の左胸は
それを愛撫したであろう父の手の呪いのように思ってしまうのは
私の行き過ぎた妄想だろうか。

コリン・ファース演じるジェスはいい奴かと思っていたが
姉妹と関係を持ち、
挙句は2人の前から姿を消すただのすけこましだった。

怒りと絶望から、思考の混乱する父ラリー。
父の変心と裁判で、溝ができるジニー夫妻。
徐々に壊れていく家族にあって
夫と別れ農場を後にするジニーと残されたローズの間には
慈しみあってきた姉妹の絆があった。

悲しいかな、その絆を育んだのは
暴君の父につけられた癒えることない深い傷。
この姉妹の複雑な胸の内を
J・ラングとM・ファイファーが繊細かつ大胆に表現している。

3代続いた農場を立派に切り盛りした偉大なる父、
姉妹の人生を不毛なものにしてなおそれに気づかない罪深き父。
"怒り" の中で死んでいったローズが痛々しい。

人を傷つけた認識も後悔のかけらもない者をどう裁くか。
ジニーは、遺言のごとくローズが言い残した頼みに反して
キャロラインに父の罪を打ち明けることはしなかった。
あれは "ローズの真実" であって、"ジニーの" ではないからだ。

それに、父が正気を失った今
キャロラインに父の正体を知らしめたところで
誰一人幸せになる者はいないことをジニーは知っていたのだ。

ドラマに幕を下ろすジニーのナレーション。
父たちが築いた農場を "喜びと悲しみを育てた大地" と語る。
上手く言い表したものだと思う。
2人の養女に希望を託すジニーだが
果たして、
自分が掴めなかったものを彼女たちに見出すことは幸せだろうか。
それで、自身の喪失を埋め合わせることができるのだろうか。

時々私は、青い空に包まれたアメリカの広い緑の農場に憧れる。
身の丈を隠すほどのトウモロコシ畑。
自然の美しさの中に、やりきれない寂しさを覚えたまま観終わった。

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