『昭和怪盗傳』 [TVドラマ]
「昭和怪盗傳」(TVドラマ)(1977)★★☆☆50点
監督: 岡本喜八
脚本: 廣澤榮
原作: 加太こうじ「実録説教強盗昭和大盗伝」
プロデューサー: 小林正夫、佐藤正大、梶山仗祐
制作: 宮崎慎一
撮影: 村井博
照明: 高橋彪夫
録音: 渡会伸
美術: 大谷和正
音楽: 佐藤勝
キー局: ANB
放送日時: 1977/11/19(土)21:00-22:24
番組名: 土曜ワイド劇場
出演:
仲代達矢(津田梅吉、左官工・説教強盗)
田中邦衛(刑事)
岸田今日子(キクチフミエ、女流作家)
神崎愛(二宮すゑ子、カフェの女給)
松本克平(一條渥胤、貴族院議員)
嵯峨善兵(警視総監)
横森久
大木正司
小川真司(取調べ刑事)
佐伯赫哉
早川純一
遠藤剛
檜よしえ
青山眉子(カフェの女給)
隆大介(囚人)
加太こうじ
製作・ジャンル: テレビ朝日=俳優座映画放送=大映映像/コメディ/72分
昭和初期を舞台に立ち回った説教強盗の悲哀を喜劇的に描く。
後に2時間物の代名詞となる「土曜ワイド劇場」の創成期、
奇才・岡本喜八が演出を手がけたTVドラマ。
端的に言えば、昭和のネズミ小僧のお話。
金持ちの家にしか盗みに入らない。
説教強盗の性格上、
家人に防犯の心得を説いて帰るという粋な男だ。
普段は佐官工に身を隠す説教強盗・梅吉は、
カフェの女給のすえ子と所帯を持つ。
景気不安定な時代にあって、
富裕層から金を巻き上げる怪盗ぶりは英雄視されるが、
女流作家の宅に忍び込んだ時、顔がばれてしまう。
説教強盗を演じる仲代のナレーション。
ナレーションは決して目新しくない手法だが
心理を喜劇的に進行する上で功を奏している。
ただ、台詞も含め
東京出身のはずの仲代は
江戸弁のべらんめえ調が全く似合わない。
キャストについて。
俳優座退団前の仲代が、1975年に立ち上げた「無名塾」からは
0期生・神崎愛、1期生・隆大介。
俳優座在籍者・出身者となると、ざっと確認できるだけでも
田中邦衛、松本克平、横森久、大木正司、小川真司、早川純一、檜よしえ、青山眉子などなど。
俳優座映画放送が製作にかんでいることからも分かるように
言ってみれば、
主役から脇に至るまでほとんど身内で出演者を固めた。
神崎愛が「だって、だって~」と
可愛らしい声を出しながら帯を解かれるシーンは
決してエロティックではなく、愉快なギャグである。
女流作家とは、元手いらず同士の褒め合い。
誘う女・岸田今日子 vs 「お言葉に甘える」梅吉。
2人の一戦をストップモーションでカットにするあたりに、
監督の喜劇的編集センスを感じる。
しおらしく可愛らしい妻が
徹夜明けで帰宅する梅吉を待ち構えていて
一人寝で淋しかったと床を用意する様もクスッと笑いを誘う。
映画館から出てきて、刑事・田中邦衛との追っかけっこ。
追い越せ追い抜け・激突など
上映されていた映画のシーン映像をアナロジーに用いる上手さ。
喜劇の得意な俳優が演じたら、
もっと喜八監督の演出を活かせたように思う。
別の言い方をすれば、
ギョロ目・仲代は正義の士こそが、はまり役。
主人公の梅吉は
物盗りに入ってまで説教するなんて所からも
基本的に正義感が強いのである。
だからこそ、誤認逮捕に良心の呵責を感じて自首するわけだ。
違法行為とはいえ、
社会正義を貫く人間は、時代を経るごとに少なくなり
現在では、まったく聞こえてこない有様だ。
監督: 岡本喜八
脚本: 廣澤榮
原作: 加太こうじ「実録説教強盗昭和大盗伝」
プロデューサー: 小林正夫、佐藤正大、梶山仗祐
制作: 宮崎慎一
撮影: 村井博
照明: 高橋彪夫
録音: 渡会伸
美術: 大谷和正
音楽: 佐藤勝
キー局: ANB
放送日時: 1977/11/19(土)21:00-22:24
番組名: 土曜ワイド劇場
出演:
仲代達矢(津田梅吉、左官工・説教強盗)
田中邦衛(刑事)
岸田今日子(キクチフミエ、女流作家)
神崎愛(二宮すゑ子、カフェの女給)
松本克平(一條渥胤、貴族院議員)
嵯峨善兵(警視総監)
横森久
大木正司
小川真司(取調べ刑事)
佐伯赫哉
早川純一
遠藤剛
檜よしえ
青山眉子(カフェの女給)
隆大介(囚人)
加太こうじ
製作・ジャンル: テレビ朝日=俳優座映画放送=大映映像/コメディ/72分
昭和初期を舞台に立ち回った説教強盗の悲哀を喜劇的に描く。
後に2時間物の代名詞となる「土曜ワイド劇場」の創成期、
奇才・岡本喜八が演出を手がけたTVドラマ。
端的に言えば、昭和のネズミ小僧のお話。
金持ちの家にしか盗みに入らない。
説教強盗の性格上、
家人に防犯の心得を説いて帰るという粋な男だ。
普段は佐官工に身を隠す説教強盗・梅吉は、
カフェの女給のすえ子と所帯を持つ。
景気不安定な時代にあって、
富裕層から金を巻き上げる怪盗ぶりは英雄視されるが、
女流作家の宅に忍び込んだ時、顔がばれてしまう。
説教強盗を演じる仲代のナレーション。
ナレーションは決して目新しくない手法だが
心理を喜劇的に進行する上で功を奏している。
ただ、台詞も含め
東京出身のはずの仲代は
江戸弁のべらんめえ調が全く似合わない。
キャストについて。
俳優座退団前の仲代が、1975年に立ち上げた「無名塾」からは
0期生・神崎愛、1期生・隆大介。
俳優座在籍者・出身者となると、ざっと確認できるだけでも
田中邦衛、松本克平、横森久、大木正司、小川真司、早川純一、檜よしえ、青山眉子などなど。
俳優座映画放送が製作にかんでいることからも分かるように
言ってみれば、
主役から脇に至るまでほとんど身内で出演者を固めた。
神崎愛が「だって、だって~」と
可愛らしい声を出しながら帯を解かれるシーンは
決してエロティックではなく、愉快なギャグである。
女流作家とは、元手いらず同士の褒め合い。
誘う女・岸田今日子 vs 「お言葉に甘える」梅吉。
2人の一戦をストップモーションでカットにするあたりに、
監督の喜劇的編集センスを感じる。
しおらしく可愛らしい妻が
徹夜明けで帰宅する梅吉を待ち構えていて
一人寝で淋しかったと床を用意する様もクスッと笑いを誘う。
映画館から出てきて、刑事・田中邦衛との追っかけっこ。
追い越せ追い抜け・激突など
上映されていた映画のシーン映像をアナロジーに用いる上手さ。
喜劇の得意な俳優が演じたら、
もっと喜八監督の演出を活かせたように思う。
別の言い方をすれば、
ギョロ目・仲代は正義の士こそが、はまり役。
主人公の梅吉は
物盗りに入ってまで説教するなんて所からも
基本的に正義感が強いのである。
だからこそ、誤認逮捕に良心の呵責を感じて自首するわけだ。
違法行為とはいえ、
社会正義を貫く人間は、時代を経るごとに少なくなり
現在では、まったく聞こえてこない有様だ。
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