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『女は女である』 [洋画(ア行)]

「女は女である」(1961)★★★★☆90点
原題: UNE FEMME EST UNE FEMME
監督:ジャン=リュック・ゴダール
原案:ジュヌヴィエーヴ・クリュニ
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウール・クタール
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:
 ジャン=ポール・ベルモンド(アルフレッド・ルビッチ)
 アンナ・カリーナ(アンジェラ)
 ジャン=クロード・ブリアリ(エミール・レカミエ)
 マリー・デュボワ(アンジェラの友人)
 ジャンヌ・モロー(バーの女)
 カトリーヌ・ドモンジョ(ザジ)
受賞:
 ベルリン国際映画祭
  ■銀熊賞 ジャン=リュック・ゴダール
  ■女優賞 アンナ・カリーナ
製作・ジャンル: 仏国=伊国/コメディ・ドラマ/84分

女は女である HDリマスター版 [DVD]








ゴダール初のカラー作品であり、
コケティッシュなヒロインを演じるアンナ・カリーナの
赤い靴下や青いアイシャドーなど、鮮やかな色彩も印象的。

作品全編を飾る洒落た音楽は、
後に『シェルブールの雨傘』で名を上げるM・ルグラン。

間の多くを音楽や歌で埋めている。
ベルモンド(JP)が観客に向かって「と言って去る」なんて解説
JPとホテルの借金取りの別れ際の掛け合い
などなど、舞台ミュージカル的演出。

ゴダールの演劇的手法によって
"歌い上げないミュージカル"
とも言うべき独特のスタイルで築いている。

今のパリジェンヌがどんなだか知らないが
人も町もこの時代のフランスは、特に粋だと思う。
美しい無駄とでも言おうか、
機能主義一点張りの現代が失くしたゆとりがここにはあふれている。

ちょっと意外だったが
フランス語のrの発音って、フランス人にも苦手な人がいるんだな。

子どもの件で揉めたアンジェラとエミールに呼ばれたアルフレッドが
"テレビで「勝手にしやがれ」を観たい" から早くしてくれと言う。
'59年にヌーヴェル・ヴァーグの最高傑作と言える同作主演のJPに
監督自らこの一言を言わせるのはおしゃれ。

エールか揶揄か
"わが友バート・ランカスター" という
60年代ヨーロッパでも活躍していたランカスターに向けた台詞も
ウィットが利いている。

リュマニテ(仏共産党の機関紙)に歌手のアズナブール
飛び出す名前も時代感もたっぷり。

口を利かないと宣言した二人が
本のタイトルを使って罵り合いを繰り広げるのも愉快だな。

とにかく、アンジェラの演技には遊びがあふれている。
卵をフライパンから投げる、電話をとる、フライパンで受ける。
でもって、声色を変えての会話とかね。

2人の男と付き合っていた女が手紙を間違える話、好きだな。
一度使ってみたくなる。

JPがバーで金を借りるくだり。
質問にノンと答えたら1万フラン貸してくれ、って前置きで始まる。
そしてその質問はと言えば、「1万フラン貸してくれ」という質問!

演劇の第一要素、"繰り返し" で成り立つ会話。
舞台俳優としては最高に面白い。

最後の妊娠の話はちょっと理解できないが
ユーモアとウィット満載で、この時代のフランスが大好きになる。

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