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『星の王子さま』 [舞台]

「星の王子さま」(2013)★★★☆65点
演出・脚色: 河田園子
原作: サン=テグジュペリ
企画・制作: 演劇企画JOKO
出演:
 染谷麻衣(王子)
 中西陽介(ぼく)
 牛山茂
 舘田裕之
 鎌田翔平
 片桐雅子
ギター演奏:
 細井智
会場: 志木市民会館
観劇日: 2013年2月18日(月)
上演時間: 午後6:20~(休憩なし・1時間20分)
ジャンル: 音楽劇

"音楽朗読劇" と銘打っているが、
近年の朗読劇、リーディングの趨勢がそうであるように、
シンプルとはいえセットを備え、
役者はきちんと衣裳を身につけている。
主役の王子は、一度たりとも台本を手にしない。
朗読の域をはるかに超えた立派な劇。

ギター生演奏がとてもいい。
細井氏がつま弾く、どこか悲しげな音色と美しい旋律が
作品の雰囲気のほとんどを支配していると言っていい。
"ジブリ作品にありそう音楽" といった感想を漏らしている人がいた。
確かにそうかもしれないが、
たとえ似ていたとしても、美しいものはやはり美しく
そのメロディの美しさが損なわれるものではない。

染谷は演じる王子のキャラクターにぴったり。
小柄なのはもちろん、顔もとっても小さい。
銀色がかったカツラに、空色の衣裳に身を包んだ彼女。
ギターを除けば、彼女の存在が
本作のファンタジーを大きく支えているのは間違いない。
特に、彼女の高音の笑い声はとても可愛く、
耳に残るその笑いは、
王子が最後に "ぼく" に残すメッセージを裏打ちしている。

染谷を除き、その他の俳優は
冒頭とラストには揃って台本を手に朗読する。
この部分が朗読調であるのは当然だが、
王子と "ぼく" が台本を離れて演じる部分まで
その朗読調を引きずっているのが残念である。
二人とも、語尾が相手にかかっていかないのだ。

王子については、
生身を超えた、ファンタジックな存在だから
それでもいいのかもしれないが、
語尾が上がった方が、その子供っぽさが際立つはず。

"ぼく" に扮する中西は
役の重要性の割に、登場シーンが少ないので、
王子とのやりとりを如何にドラマチックにできるかがカギとなる。
その点からも、関わり方が弱い。
そうなってしまっては
並列されるエピソードの内容そのものが不明確になる。
私が単に疲れていたせいかもしれないが
作品の中だるみを感じたのは、そこに原因があるように思う。

主役二人以外は、脇も演じるコロス的な存在。
セットの陰で着替えもするのだが、
着替え損なったり、動線を間違えたり
といったことを、演出として敢えてさせている。
コミカルな演技も得意とする牛山は
しっかりその笑いを誘って、さすがはベテランといったところ。
一方、若い男優はどうも中途半端で
ややもすると、本当にトチったのではないかと思われそうである。

唯一の女性コロスの片桐。
"花" の役として、その見事な歌声を披露する。
ただ、正直
太めの体形と中年女性の顔立ちが
ファンタジー作品の "花" として登場するには…
その歌の上手さがために、
却ってその点が気になってしまった。

久しぶりに、原作を手にしたくなった。
 
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