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『新・座頭市物語』 [邦画(サ行)]

「新・座頭市物語」(1963)★★★☆☆60点
監督: 田中徳三
脚色: 犬塚稔、梅林貴久生
原作: 子母沢寛
企画: 久保寺生郎
撮影: 牧浦地志
美術: 太田誠一
音楽: 伊福部昭
録音: 大角正夫
照明: 古谷賢次
出演:
 勝新太郎("座頭市" 笠間の市太)
 河津清三郎(伴野弥十郎、市の師匠)
 坪内ミキ子(弥生、弥十郎の妹)
 真城千都世(おきぬ)
 須賀不二男(安彦の島吉、関宿の勘兵衛の弟)
 丹羽又三郎(奥村紀之介、水戸天狗党の残党)
 遠藤辰雄(三五三吉、旅籠 "油屋" 主人)
 近藤美恵子(お新、三吉の女房・弥十郎の愛人)
 中村豊(馬造)
 伊達三郎(安蔵)
 水原浩一(多七)
 南条新太郎(建部主馬)
 舟木洋一(為吉)
 武智豊子(お茂)
 杉山昌三九(山田靖之助)
 東良之助(真壁の浅右衛門)
 尾上栄五郎(与四郎)
 高倉一郎(神田欽吾、弥十郎の弟子)
 南部彰三(神田陣八郎、欽吾の父)
 玉置一恵(寺尾元彦)
 春日清(森屋市左衛門)
 浜田雄史(辰助)
 沖時男(猪之助)
 藤川準(旅篭の亭主)
 福井隆次(笹之助)
 志賀明(丑松)
 小中島亮(天狗党)
 西岡弘善(真壁の三下)
 木村玄(宇吉)
 森田健二(天狗党)
製作・配給・ジャンル: 大映/大映/時代劇/91分

新・座頭市物語 [DVD]







旧友や師匠との出会い、故郷来訪など、
座頭市の過去にまつわるエピソードを描いたシリーズ第3作。

これまで同様、本作も
追われる市、因縁の敵役との対決、恋い慕う者との悲恋
という3構造から組み立てられている。

おたねに求婚されても、
"不具のやくざの女房にしては不憫だ" と断ってきた市が
師匠の妹とはいえ、弥生からの申し出は結構素直に受け入れる。
本来、女との情のやりとりを避けるはずの市の心変わりは
何ともしっくりこない。

弥生の願いに堅気になる誓いをし
安彦の島吉に土下座をして命乞いをする市。
剣を交える代わりに、市の右腕を賭けた丁半博打に出る二人。
"三六の半" の目を "四六の丁" に変え、
勝ちを譲って去っていく島吉は、兄の勘兵衛とは大違い。
男気あふれる粋なやくざだ。

市に剣を指南した弥十郎。
プライドばかり高いのは、如何にも武士らしいが
市を泥棒猫呼ばわりする狭量ぶり。
その実、自分は愛人を持ち、それを非難されれば逆切れして斬殺。
挙句、強請りに加担し金のために善人まで斬るという悪党ぶりには
剣の達人や師匠の威厳は微塵もなく
嫌悪の念を抱かずにいられない。
と同時に、
久しい浪人生活が、心まで貧しくしてしまう悲哀も感じる。

前2作とは違い、本作はカラー作品。
モノクロの方が、座頭市の無頼なイメージに合っている気がした。

惜しむらくは
心ならずも師匠と斬りあう無念さを描く上で
妹・弥生への恋慕しか下敷きとなっておらず、
師匠の非道に対する直接的な憤りが捨象されていること。
これがあったなら、市の無念は
弥生への想いと相俟って、もっと観客の胸に突き刺さるのだが。

師匠を斬り倒し
"お嬢さん、市はやっぱりこんな男でして" と言い残して
弥生の元を去るラスト。
枯野に消えていく市の背中に、侘しくも言い知れぬ哀愁を覚えた。
3作に共通して、ラストがとても味わい深い。

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