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『ブルークリスマス』 [邦画(ハ行)]

「ブルークリスマス」(1978)★★★★☆65点
監督: 岡本喜八
製作: 嶋田親一、垣内健二、森岡道夫
脚本: 倉本聰
撮影: 木村大作
美術: 竹中和雄
編集: 黒岩義民
音楽: 佐藤勝
出演:
 勝野洋(沖退介、国防庁特殊部隊員)
 竹下景子(西田冴子、沖の恋人)
 高橋悦史(沢木、国防庁特殊部隊員)
 沖雅也(原田、国防庁特殊部隊員)
 岡田英次(兵藤光彦教授)
 仲代達矢(南一矢、JBC外信部員)
 小沢栄太郎(五代、JBC報道局長)
 中条静夫(沼田、JBC報道部長)
 大滝秀治(竹入、JBC論説委員)
 新井春美(高松夕子、女優)
 岡田裕介(木所、雑誌記者)
 八千草薫(兵藤教授の妻)
 田中邦衛(西田和夫、冴子の兄)
 天本英世(フィクサー)
 岸田森(フィクサーの側近)
 神山繁(院長)
 小川真司(中本助手)
 稲葉義男(司令官)
 岡本みね子(南夫人)
 松田洋治(南の子供)
 大谷直子(喫茶店の女性)
 草野大悟(男)
 潮哲也(岡村)
 芦田伸介(相場修司)
 中谷一郎(宇佐美幕僚長)
 島田正吾(吉池理事)
製作・ジャンル: 日本/サスペンス・ドラマ・SF/133分

ブルークリスマス [DVD]








監督・岡本喜八、脚本・倉本聰で贈るSFドラマ。
UFO目撃者の血が青くなるというお話。

といっても、SF的には稚拙。
人知・現代科学を越えた話にすればまだ分かるが
UFOからの光線を浴びて血が青くなるのは
ヘモグロビンと結合する鉄が
電気分解によって銅に変わるという説明。
"電気分解" というごく一般的な化学作用によって
一元素が他の元素になるなどあり得ない。
鉄が銅に変わってもいいが、"電気分解" なんてのはなしだ。
それに、人間の血液中に鉄があるのは
食物から鉄分を摂取しているからで
血液中の鉄が銅に変わったところで、
銅を摂取しつづけなければ、血の青が持続しない。

さらに最終的に、
世界規模で青い血を持つ人間の殲滅作戦を敢行するわけだが
何百というUFOの船団が出没しているなら
一度リセットしたところで
再び血が青くなる人たちが現れ増加するのは必至。
作品の悲劇の前提となる巨大な謀略自体が吹っ飛ぶ。

というわけで
文系人間の私ですら、
キーポイントに疑問を抱くSF的側面は捨象しよう。
自らの知性を豪語する倉本先生も
ここでは門外漢ということ。

詰まるところ、
未知・異物に対する恐怖から
その危険性・脅威を排除するために抹殺を企図するという
人間の弱さ・愚かさを問うている。

国民の血液総点検に対してデモを展開する学生たち。
学生運動の凄まじさを遠くない過去に経験した
当時の社会心理が反映されている。
当局の真意を見抜いたような行動に
"学生は不思議に敏感だ" といった台詞があるが
正義・熱・根性・団結といった要素と隔絶した現代学生の中に
利己でなく社会という大局で物事を感じ考える者が
果たしてどれだけいるだろう?

前半は
青い血を取り巻く闇を追及する記者・南が主人公。
そして後半は
当局の特殊任務を担う自衛隊員・沖を追って話は進む。

自殺・病死などですでに故人となった俳優も多いが
脇役に至るまで錚々たる多彩なメンバーが顔を揃えている。

遅れてきた大人の清純派女優・竹下景子の美しさ・可憐さが光る。
のちに、倉本作品の常連となり、
「北の国から」では義兄妹となる田中邦衛と竹下。
ここでは、実の兄妹を演じている。

静かな色気を感じさせる沖雅也、
歳いってさらによくなる俳優と思えただけに惜しい。

冴子の青い血が、
退介を求めるようにその赤い血へ向かって流れるラスト。
脚本か演出かは分からないが、
思わず唸ってしまう感服のカット。

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