SSブログ

『兄弟』 [TVドラマ]

「兄弟~兄さん、お願いだから死んでくれ!昭和に散った兄弟の栄光と破滅そして女たちの涙」(1999)★★★☆☆60点
演出: 石橋冠
プロデューサー: 一杉丈夫、大山勝美、堀川とんこう
原作: なかにし礼「兄弟」
脚本: 竹山洋
出演:
 ビートたけし(中西政之)
 豊川悦司(中西禮三)
 桃井かおり(政之の妻)
 余貴美子(禮三の姉)
 馬渕晴子(政之らの母)
 工藤静香
 麻生祐未
 高島礼子
 梨本謙次郎
 坂本長利
 生井健夫
 村田則男
 磯村千花子
 芦田昌太郎
 並木絵里子
 今野雅人(子役)
 下川摩梨香(子役)
放送局: ANN局系列(キー局:ANB)
放送日時: 1999年03月20日(土)21:00-23:21(本編121分)
製作・ジャンル: テレビ朝日=KAZUMO/ドラマ/121分

kyoudai.jpg

作詞家なかにし礼の自伝的小説のドラマ化。
特攻隊の生き残りである兄と
その兄に半生を翻弄された弟のてん末を描く。

放映当時、キャッチーなコピーに興味を持ちつつも
そのキャッチーさが鼻について観なかった。

内容を全く知らなかったので
なかにし礼の実話と知って意外だった。

ストーリーが面白い上に
キャストも個性的な面々が揃っているので
なかなか楽しめた。

劇的な展開、役が持つ強烈な個性。
こういったものがあると、俳優は随分楽である。
不況にもかかわらず、製作数の減らない邦画にも
若者を主人公に、そうした激情型の作品が多いように思う。

そういった作品は
俳優が何もしなくても、台詞さえ言えば "成立" することが多い。
それを単なる "成立" 以上のものにするか否かは
きめ細かい演出と、俳優の取組み度合いと技量次第。

その意味で
たけしをはじめ、出演者のこだわりが薄いように感じた。
たけしの出演する映画もドラマも
実はほとんど観ていない私に、比較というものはできないが
弟を食い物にする政之が
単に、独善的な厄介者以上に
禮三が評するように "悪魔" という存在に深まっていない。
きっと深遠な不気味さを孕んでいるはずなのだ。
といって、激情的な演技を求めているわけではないが。

少ない出番で、やはり上手いなあと感じたのは余貴美子。
兄弟の狭間で気遣う女の心理がよく見えた。

演出の決定的なミスを一つ。
禮三が、ついに政之の死に顔を見るシーン。
白布を剥がれた政之のまぶたがはっきりと動くのだ。
結構重要な瞬間だと思うのだが、そこですっかり白ける。
ほんの一瞬のカットなんだから
演出家は、たけしに遠慮せず
納得がいく画を撮れるまでリテイクを重ねるべきだ。
こういう一面を切り取っても
やっつけ仕事的な、ドラマ演出の粗がのぞく。

姿勢とアプローチ一つで
ぐんと良くなる感じを受ける作品だけに勿体ない。

nice!(8)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 8

コメント 2

ぼんぼちぼちぼち

余貴美子さんが出演されているというところに とても興味を覚えやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-09-20 20:31) 

ケイイチロウ

禮三(豊川悦司)の姉役です。
でも、絡みが少ないのが残念。

早くに亡くなった范文雀さんとは
いとこ同士だけに
やっぱ似た雰囲気を持ってますよね。

奇しくも、今、余さんは
范さんが亡くなった年齢です。
by ケイイチロウ (2010-09-21 15:00) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。